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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第二十章 この中にもう一人、幼馴染がいる! ーなかおさー
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第669話 √7-2

クソゲヱリミックスも8周年ですね。

進んでいるのか進んでいないのか終わりに近いのかそうでもないのか、更新がスローだと自分でも分からなくなってきました。

ルート7は変な執筆方法とやる気様の影響でちょっと進みが悪いですね、今年度の完結を目指したいものです。



「あ、お兄ちゃん!」


 

 そこには記憶の中の容姿と、とって付けたようなのじゃ喋りのロリが――


「おはよーお兄ちゃん! ね、ね! あそぼ!」

「お、おい桐……だよな?」

「んー? 何言ってるのお兄ちゃん、桐は桐だよー?」

「わ、わしは!?」

「わし……たわし?」


 たわしと言いながら首を傾げるやたら可愛いロリしか目の前にはいない。


 可愛いけど……可愛いけど! コレジャナイ。


 おいおいちょっと待ってくれ記憶の中の桐と違うんだが、もうちょっとこう達観した物言いで俺を上から目線で時折からかってくるような。

 ……実は俺の記憶が間違ってるんじゃ!?  世界が間違っているとよりもそっちの方が信ぴょう性がある!

 それでも聞かなければならない、確かめなければならないことがあるのだ。


「な、なあ桐。俺ってこれまで誰かと付き合ったことあったっけ」

「えーとね……マイとホニさんとユイとオルリスとミナとアオとヨリとマナカとミユ……だよ!」

「あ、合ってる」


 ……というかそう羅列されると、俺マジでそんな付き合ってきたのかよ……マジかよ。


「というかおに、お主は、なんで、何故、そのことを、覚えてるのじゃ?」

「え?」

「え?」


 …………。


「おはよー桐」

「おはようじゃユウジ、というかこんな朝早くに幼女を起こすとは成長がじゃな……」

「これだよ!」

「どれじゃ!?」


 そうそう、こんなのじゃ喋りしながら悪態を付くこの感じ! 懐かしい、安心感!


「どれってお前……さっきまでキャラ設定忘れてたぞ、どうしたんだ」

「キャラ設定言うな! これはわしの地じゃ……って忘れてたと? はて」


 のじゃ喋りのせいでかわいそうに、この歳で痴呆に……。


「それよりもじゃ! お主は何故これまでの記憶がリセットされておらぬのじゃ!」

「俺に聞かれてもな、それを桐に聞きに来たのに」

「む、むぅ……」

 

 桐の表情からして本当に心当たり無い様子、一体どういうことだ?


「わしの二十もの能力の一つ”記憶操作”が働いておらぬとは……今からかけてもいいかの」

「いや、流石にそれはダメだろ」

「お主の事情なんぞ知らぬわ! 喰らえ”記憶操作”!」


 やべえこの桐本当に記憶の中の桐だ、この微妙に性格が悪いし話を聞かないこの感じ!

 そして桐は小さい腕を伸ばして俺に向かって両手を広げ何かを送り出すようなポージングをする、つまりはそれが能力発動の合図だった。


「うおおおおお卑怯なあああああああ…………あれ?」

「では問おうか。お主はどれだけのおなごと付き合ってきたのかの?」

「…………九人かな」

「なるほどなるほど確かにお主の初恋は桜でありそれ以降は…………ふむ?」 

「前の世界では実妹とイチャコラしました」

「いやいやいやいや!? なぜ能力が発動しておらぬ!」

「いやいやいやいや! 俺に聞かれても知らないんだが!?」


 どうやら桐、良く分からない実態の能力の一つ”記憶操作”を使えなくなったらしい。


「瞬間移動! 鍵開け! ライト! 譲渡! 結界! 和菓子精製! 異世界転生! わしTUEEEE! ……まるで使えぬ」

「マジか」


 二十とか言ってたけど本当にそんな能力があったんだ、とか後半の能力は何の意味があるんだとかは今はどうでもいい。


「わしが……まさか……これでは……のじゃ喋りが痛々しいだけの単なるロリに!?」


 痛々しい自覚あったのかよ。


「どうせ能力無いならさっきみたいな年相応の喋りすればいいのに」

「どうせとか言うんじゃない! ……さっきみたいと言われても覚えてないのじゃが、わしは本当にそんな喋りを?」

「ああ、姫城と付き合った世界ぐらいでしか見られなかった桐の対高校用猫かぶりを更に素にした感じ」

「お主、普通にかつての世界を覚えておるんじゃな! ……しかしわしがそんな喋りを、ううむ解せぬなあ」

 

 ちなみに桐も現状把握を出来ていないということで、桐部屋訪問は収穫無しだった。

 時間返してくれ。



* *



「はっ」



 そうして目覚めるといつもの、見飽きた暗い部屋で既にもうリスポーン地点のような気がしている。

 前の世界の私こと下之ミユは死んだんだ!

 パソコン画面の右下に表示された日付は二〇一〇四月一日。


 ああ……そっか、リセットされたんだ。

 

 私がメインヒロインという夢のような時間は終わりを迎え、何もかもが私が引きこもり一年目のタイミングに逆戻り。

 分かっていたこととはいえ藍浜高校入学も叶わないわけで……それらに対して私が何も思うことがない、ってことはないかな。

 しかしそっかぁ……メインヒロインを経験して世界がリセットされて、現実に私はヒロインじゃなくなったとしても……今の私には実感がまるで沸かない。

 で、これからそっけないというかデフォルト状態に戻ったユウ兄と会って話すことでようやく分からせられて、最終的に現実を受け入れて自分に言い聞かせるしかないわけだ。

 

 なるほど、これは中々……きついなあ。

 

 自分で言っててアレだけど、こんなにも私はユウ兄好き好き状態を維持しているのに相手は覚えてないんだからね。

 そりゃ委員長ルートでナタリーも暴走するわな。

 あ、私ログ見てナタリーの一連のことは知ってるんで、にしても今から私も襲いにいっちゃおうかな……。 


『元メインヒロインさん、具合はどうですか』

「ユミジは起きがけの私に何の恨みがあってそんな煽ってくるの」


 私の野望を打ち消すような近くの携帯ゲーム機からの音声がこの世界初会話になった。


「……まあ前世界でヒロインしたなー、って感じ」

『なるほど、特にミユには異常はないようですね』

「異常?」


 その言い回しは何か私以外で異常が出ているような言い方じゃん。


『この世界に移行してから不具合というかバグが大量発生しているようで』

「へえ、例えばどんな?」

『まずは……下之ユウジの記憶リセットがされていなかったり、桐に異常が出ていたりしていますね』

「へー……えっ!? ちょっと待ってさらっとヤバくないのそれ」

『ヤバいですね。軽くヤバい? どころではないですね』


 なんで唐突に分かりづらい上にそんな古いCMネタ挟むのこの人工AI腰回りの肉摘むぞこんにゃろう、実はこのAIもバグってるんじゃないの。


「というかユウ兄の記憶リセット出来てないってことは……私との世界の記憶があったりする?」

『そうなりますね』

「更には……まさか私以外との付き合った記憶もあったりして」

『まぁそうなるな』


 特別な瑞雲をくれそうな口ぶりの方は鎮守府にお帰りください。 


「というか桐の異常ってどゆこと、どうせ二十ある能力のうちカンヌキの能力が使えなくなったとかそんなんじゃ――」

『なんと言いますか……時々”わし”とか”じゃ”とか言わなくなって年相応の女児喋りに』

「やべえ」


 キャラ崩壊してんじゃん、重症ってレベルじゃないよそれ。


『あと妹度が高いのでミユのポジションが脅かされます』

「い、いや私そんな妹してないし……どちらかというと同級生の女子みたいなもんでしょ」

『この残念滑り台ヒロインはついに自分のアイデンティティさえ手放しましたね』

「おいこら残念滑り台ってどういうことだこのポンコツAI、てか私滑ってないからハーレム世界だから滑らないから」

『ハーレムの中にも……メインとサブがいるのですよ』

「妙にそれっぽいこと言うな! 私はサブじゃない、メイン……は言いすぎとしても準メイン!」

『準中型免許ですね、二トントラックが運転できます』


 何の話だよ普通免許の話はしてないんだけどヒロインについて話してるんだけど。

  

「で……妹度が高いってどういうことなの」

『よくお兄ちゃんお兄ちゃんと下之ユウジの後ろをちょこちょこ付いて行った頃のミユ並の妹度です』

「どんだけ幼い私だよ!」

『否定しないんですね』


 ぐっ……このAIきらい!


『それもそのはずですよね、実際に桐が”もし”本当に下之家末妹だったらという想定のようですからね。ミユの幼少期に似るわけです』

「…………というかさユミジ」

『はい』

「桐ってさ、今更なんだけど何者なの?」


 私にとってもきっとユウ兄にとって実は良く分からない存在、桐。

 ある日唐突にユウ兄の前に現れた幼女にして、妹を自称しながらもこの現実とゲームのハイブリッドな世界を認識している。

 多分ユミジに似た存在……なのだと思う。

 いわゆるこの世界を詰ませない為のサポートをしつつも、時にはこうして私の話し相手になってくれるような。


『そうですね、私に近い存在ですよ』

「いやそれは分かるけどさ。それにしてはユミジよりも人間味がありすぎない?」

『そりゃ私人間味ありませんよ、人工AIですし』


 最近は正直人間味に溢れて来てますけどね、この人工AI!


『まぁ確かにミユのご指摘はもっともです。私と大きく違うのは桐はサポートキャラクターでありながら、彼女もまたヒロインの一人ということです』


 ……いやあの性格とはいえロリロリした容姿の桐とユウ兄の組み合わせとか犯罪臭がするんだけど、それは今はおいておこう。


『そしてそのヒロインが登場する原作は誰が書いたものか、もうほぼ答えですね』

「……!」


 このハイブリッドな世界の内のギャルゲー”ルリキャベ”の原作者は、委員長のはず。

 そんなハイブリッドな世界を構築した創造神の一人、嵩鳥マナカこと委員長は私たちに全てのネタばらしをしてはおらず、語っていないことがある気がするのだ。 

 話した相手はユウ兄だったけど、おそらくは私たち相手に話したとされるこの世界の真実は完全ではないと私は考えている。

 ……いや、本当はヒントは隠されていたのだと思うけどね。


『ですから、下之君が買ったゲームは――私の観察した下之君周辺をギャルゲー風に脚色したものなのです!』


 委員長の語った告白だった。

 ユウ兄周辺、それをその時はクラスメイトや同じ学校に通うユキやクランナや雨澄たちを指すものだと思っていた。

 実際にそれは間違っていないのだと思う、ミスリードでもなんでもなく、ただわざわざ名前を出さなかっただけで、私が、私たちがただ勘違いをしていただけで――


「桐も……実在したってこと?」

『いいえ、正確には実在するかもしれなかった存在でしょうか』

「するかもしれなかった……?」

『それだと日本語が変ですね、言葉を正すのなら――』



 そうして次にユミジは衝撃的なことを言い放った――

  


『下之家の三女として産まれるはずだった”美樹”こそ桐のモデルとなった子なのですよ』



「なっ……」

『…………あれ、言えちゃってますね。本来ならこう<規制>みたくなるはずだったんですが』


 いやいやいやいやいやいや!?

 美樹って、いや私もなんか聞いたことあるよ!

 確かお母さんがお酒に酔った時に時折口ずさむ名前というか、誰かまでは分からなかったしあとで聞いても受け流されるしで知る機会なかったのに。


『完全にバグってますねこの世界、こういうネタバレが規制されないのは致命的な気がします』

「いやバグとか言ってる場合じゃなくて……」

『ということは桐の魂の半分がミユにとっての祖母ミカコの魂だったり、それをどうにか繋ぎとめたのが父親ことユウトで、その代償に境界に取り残されて今も行方知らずなユウトを母ミサキと、ユイの父親かと思ったら母親だったナオトではなくナオが一緒に探しているということも言えちゃい……ましたね』

「はああああああああああああああああ!? 言えちゃったじゃないんですけどおおおおおおおおおおおお!?」


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