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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第十九章 私の兄がこんなにかっこいいわけない。 ーわたあにー
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第658話 √d-37 わたあに。 『ユウジ視点』『八月五日』



八月五日 



 めでたくミユと恋人同士になった翌日のことである。


 いや、やっぱアレって白昼夢の類だったんじゃねえかな。

 それとも本当の意味での夢オチとか、それにしてはあまりに状況描写が細かすぎてドン引きなんだけど。


「クーラー効いた中で食べるアイスさいこー」


 俺の部屋で、俺のベッドに座ってフレーバー違いのアイスキャンディーを舐めるミユが隣にいるわけだが。


 祭りのあとに帰ってくると、俺とミユは手を繋いで帰ってきたわけだがそれは前からしていたし問題ない。

 やたら女性陣の多い我が家だけに、一応まだ感づかれたくない思いから何も無かった風を装ったけども。

 なんか勘の鋭い姉貴あたりは不審に思ってそうだったのがなあ……妹と付き合い始めましたなんてどう報告すりゃいいんだよ。


「ユウ兄のもちょうだい」

「おい」


 真夏日に地球温暖化なんて知ったことかとクーラーをガンガンに付けて、二人アイスを食べていたわけだった。

 そんな時に考え事をしていて少し溶けかけていた俺が手つかずだったアイスの先にミユが食らいついた。

 

「こんにゃろ……結構持っていきやがって」

「ごめんごめん、私のも食べていいから」

「言ったな? じゃあ遠慮なく」


 俺が食べているのはミルク味で、ミユが食べていたのはキャラメル味だった。

 ミユが先ほどまで舐めていたアイスキャンディーにかぶりつき、少しもぎとった。

 すると、まろやかかつコクのあるキャラメルのフレーバーが口の中に広がって……ふむこれはなかなか。



「……アイス越しに唾液交換、しちゃったね」


 

 口内のキャラメル風味が、あまりの衝撃に吹き飛んだ。


「ぶっ!」


 な、なにを言い出すのかこの妹は……!


「どこでそんな言葉覚えた!」

「インターネット……かな」


 い、インターネットだと……!

 そんな卑猥な言葉をミユに教えやがって!


「妹をそんな淫乱に染め上げたインターネットという種そのものを根絶やしにする! ちょっとモデム破壊してくる」

「それはマジでやめて、ほんとうにやめて」


 引きこもりを卒業してもインターネット中毒気味なのは治らないミユにとっては死活問題であり、本気の目をしていた。

 泣きそうだった。


「…………まあ、ともかく。兄的にはそう言う言葉を使うのは感心しないな」

「今どきの女の子ってこういうもんだよ、諦めなよ」


 マジか、最近の女の子って進んでるんだな……っていやいや。


「さっきまで引きこもってたミユが今どきの女の子なんて知るわけないだろ」

「は、はぁ!? 傷ついたんだけど、繊細なガラスの乙女心にヒビが入ったんだけど!」

「で、(情報の)ソースは?」

「…………インターネットです」


 なんでもかんでもインターネットで知った気になるなよ!


「……じゃあ言い方変えるよ」

「それがいい」


 それがいいとかつい反射的に言っちゃったけど、そもそも言い方変えたところで――



「間接キス……しちゃったね」



 なんで言い方変えたのに色っぽい表情すんの、俺を殺す気なの?

  

「そうそうそれで………まままままままあ、そうだな!」

「て、照れるからやだったんだよ! だから茶化したのに!」


 茶化す気持ちは分からんでもないが、卑猥な表現はやめてください、将来が心配になってしまいます。


「そういえば……俺たち恋人同士だもんな」

「……うん」


 しかし恋人同士だからと劇的に変わった印象はない。

 少なくとも俺が、ちゃんとミユと付き合っているという現状を受け入れている以外は。


「……今日二人きりなんだよね」

「……そうだな」


 何故かこの家の住人は俺とミユを除いておおよそが出払っていた。

 クランナアイシアは買い物へ、姉貴は珍しく同世代の友人と遊ぶらしい、ユイは商店街のゲームセンターへ、桐とホニさんも外に出かけている。

 ロリなのにババアな桐は基本インドア派だけに本当に珍しい。


「ということは既成事実を……」

「既成事実ってなんだよ!?」


 言葉にしないけども流石にそれはマズイだろ! 十八禁指定になっちゃうぞ!


「それはアレだよ……マウストゥマウス的な」

「あー、アレね……いやいやいや!」

 

 まぁそれなら少しは健全……だけども、やっぱりダメだろ!?

 男子高校生的に興味ないトピックではないことは確かだけども、だけども!

 こう女子側から言われると微妙に引いてしまうわけで――

 

「引きこもっている間にもミユがこんなにムッツリスケベになっているなんて、兄的にはショックだわ」

「む、むっつりすけべ!? ユウ兄にも言われるとか天…」

 

 純粋にガーンとショックを受けてるみたいだけど、いやムッツリってレベル超えてるよ。

 ……というか、俺”にも”ってことは誰かにも言われたのか。


「な、なによ! ユウ兄は委員長とチョメチョメしたくせに! ずるい!」

「なんで委員長が出て来るんだよ今それは関係ないだろアレは流れがあってだな」


 ……流れ、ってなんだよ!?

 自分で言っててわけわかんねえぞ!

 そもそも前にミユに言われたが委員長と付き合ったことなんてないんだが!? アレな関係でもないんだが!


「じゃあユウ兄、恋人同士になったらなにすればいいのさ!」

「そ、それは……」


 名誉DTにして幼馴染に捨てられた俺に聞くなよ……あぁ、なんか思い出すと悲しくなってきた。


「ま、まず一緒にいてだな」

「一緒にいるね」

「それに、楽しく会話して」

「ユウ兄との会話楽しいよ」

「色々遊んで」

「ゲームとかよくするよね」

「たまには喧嘩もして」

「割とよくするよね」

「デートも行って」

「自販機と深夜コンビニと夏祭り楽しかったね」

「贈り物とか」

「キャラメル美味しかったよ」


 …………俺の考える恋人象と、ミユとの関係これまでとあんまり変わんなくね。

 いや最後のは贈り物って言うのには申し訳なさすぎるだろ、ミユがそう思ってるならいいけども。


「つまりは私たち、傍から見ればバカップルということに」

「マジかよ……」


 そんな、俺はあくまで妹との正常な接し方だとてっきり……今世紀史上最大の衝撃である。

 ……家族が俺とミユの喧嘩を見る時の周囲の冷やかさな目線の正体が分かってしまった。


「私の引きこもり期間中断絶してたけど、それまでも大体同じ感じだったよね」

「まあ……そのはずだな?」


 思い出した記憶の中に二人楽しくゲームや、自販機巡りの記憶だってある。


「だから、もうちょい進んでもいいじゃん……それとも私とキスするの、そんなにいや?」

 

 …………べつに嫌なわけじゃない。

 男子高校生的に興味がないわけでもない、それでも付き合った今でも付き合っているのは俺の妹だと思うと、一線を超えるのに抵抗がある。


「いや、じゃないけど」

「じゃあして」

「……俺からするのか!?」

「あたりまえ! 夏祭りの時は私からしたんだから、して!」


 ほ、ほっぺだったじゃねえかよ……という恨み節を内心で思う。

 で、目を閉じるのはやめてくださいませんかね、明らかに待っているような雰囲気だすのやめてくださいませんかね。

 もう、恥ずかしくなってきたし目瞑ったままのミユ置いて居間に退避しようかな。

 いやでもしかし、でもなあ――ええいままよ!


「…………へたれ」

「お返ししただけだ、へたれ呼ばわりされる筋合いはない」


 俺はあくまで頬のキスに、頬のキスで返しただけである。

 これで俺の精一杯である、もう勘弁してくれ!


「女の子に恥かかせないで――よっ!」

「んっ!?」


 すると不意打ち気味に俺の顔をミユの手がホールドし、急激に近づいてくるミユの顔――

 そしてついに――


 ガツンッ!


「っ~~~~!」

「いてええっ!」


 マウストゥマウスならず、トゥーストゥトゥースになってしまった……春日かよ。

 勢いあまって二人は一応キスっぽいことにはなったものの、実際は歯同士をぶつけて共に痛い思いをすることになってしまった。


「な、なんで上手くいかないのよぉ……」


 涙目で口元を抑えるミユが少しだけ可哀想に見えてしまった。


「……時間はあるんだから、もうちょい気長に構えようぜ」


 だから俺はヘタレともとられかねない言葉でミユを一応は慰めた。


「……う、うん」


 こうしてミユとの初キスは、歯同士の衝突で幕を閉じたのだった。

某家にて


嵩鳥「いや、某家とかボカしても私の家なんですけど」

桐「いやー考えてみれば事情をよく知るお主の存在があったからのう、事実上ユウジサイドに堕ちたミユの部屋には流石に集まれぬし」

ホニ「ごめん、ユウジさんミユ」


シナリオ上ほぼ関われない私としてはぐぬぬと思いつつも、一応ユウジ君の現況を知っている私の家に桐とホニさんが遊びに出かけると言う口実でやってきたそうで。

桐の言う通り、シナリオ上ユウジ君とミユの二人きりという状況を作り出す為には女子勢が住む下之家から出かけてもらう必要があり、しかして一方で二人の動向が気になる桐とホニさんは私を訪ねたらしい。

そして今ミユが一緒にいるユウジ君の部屋をモニタリングしているのですが……まぁ盗撮ですね、というかこの主人公盗撮されてばっかりだな。


……パソコンでモニタリング出来るのに私ヒロインルートの時にユイに監視させたのはなんでだって?

それはその、流石にずっとパソコンに張りつけませんし……あの時も本当はこうしてモニタリング出来たけどやらなかっただけです!

未来の私でなく今の私に出来る範囲でやりたかったからです……だからといってユイの買収はあーあー聞こえませんね!


ユミジ『流石に今私たちが同じ家にいるとミユたちも素直になれないですからね』

嵩鳥「いや別にあなたは居ても問題ないのでは」


ゲーム機ですよね。


ユミジ『私としてはミユの恋愛模様を見ていたいのです』


すっかりこの人工AI母親気分ですよね。


ホニ「ほぁあ……食べさせあいっこしてます」

桐「しかしてこのミユとかいうの、作中でまともに初めて夏祭り回があるほどに優遇されていてイラっとくるの……ひと払いの結界やめようかの」

ユミジ『桐、私は今結界解いたらあなたを絶対に許しませんからね』


怖いよこの人工AI、ミユに関してはヤンデレ入っちゃってるんじゃないですか。

そして不自然なまでにもご都合的にも下之家からほぼ全員が出かけているという状況は桐の二十もの能力の一つだかにある人払いの結界によって為されている事なのです。


桐「じ、冗談じゃよ…………おぉっ! セップン来るか、ミユなかなかに肉食系じゃのう」

ホニ「ミユ、だいたん……」

ユミジ『頑張ってくださいミユ』


そうしてミユの決死の行動によってついに――


嵩鳥・桐・ホニ「「あっ」」


……なんでしょう、ギャルゲーなら絶対無さそうな初キスは歯ゴッチンでした。


ユミジ『これも思い出ですね』


だからアンタ誰目線なんですか。

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