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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第十九章 私の兄がこんなにかっこいいわけない。 ーわたあにー
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第622話 √d-1 わたあに。 『ミユ視点』『一〇年四月一日』

あけましておめでとうございます

多分十日ぐらいまでは毎日更新出来ると思います


前ルート途中から採用した略称サブタイと『日付』に加えて『誰視点』かについても今後はサブタイトルに表記します。

 「ファーストワールドver.α」起動を確認。

 媒体ソフトに「はーとふるっ☆でいず!」を指定。



 キャラクター書き換えの準備が整いました。



 メインキャラクターデータ―― 


 適合する人物No.3「高坂こうさか 実沙みさ」の検索――該当1件。

 「下之美優」への移植・書き換えの実行。プロフィールの書き換え――実行中21%――52%――73%――100%完了。

 人物の適合化に成功。


 現状の整合化――実行中19%――38%――97%――100%。



 「高坂実沙」のキャラクターが今シナリオ上に出現するのを確認しました。



 「ファーストワールドver.α」起動成功。



* *



 私は自分が嫌いだ。


 素直になれない自分が嫌い、意地っ張りな自分が嫌い、謝れない自分が嫌い――嫌い。

 八つ当たりした自分が嫌い、大事な人を傷つけた自分が嫌い、それで勝手にショックを受けて傷ついた自分が嫌い――大嫌い。

 嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い。


 大事な人に八つ当たりをして傷つけて、それでもこれ以上自分は傷つきたくないからと引きこもった自分が許せない。

 自分一人だけの安全な世界の外に出る勇気も、彼に謝る勇気どころか、彼に会う勇気もない自分が許せない。

 全てから逃げ続ける自分が――許せない。


 ああ、なんで私は生きてるんだろう。


 人として死んだような生活をして、それが永遠に続くのに慣れてしまった自分はなんなんだろう。

 どこで間違ったんだろう。

 いつ私は足を踏み外しちゃったんだろう。


 どうして私たちの関係は壊れてしまったんだろう。


 わからない、何が間違いだったかもわからない。

 なにが正解だったかもわからない。

 どうすればよかったのだろう、私になにが出来たんだろう。


 何度考えても答えが出なくて、自分が憎くて、人に迷惑をかけ続けているのが分かっていてもやめられなくて、罪悪感は気づけば覚えていて。

 現実から罪悪感から”彼”から私は逃げ続ける――クソだと勝手に決めつけた現実から、逃避し続ける。



 今日も私は暗い部屋に一人。



* *



二〇一〇年四月一日



 慣れたものだった、私にとってこうして世界が始まるのは。

 実際私は何が変わることもない、暗い部屋の中の唯一の明かりであるバックライト付きパソコンの年月日が変わるだけ。

 やることは決まって、”過去の世界の物語の復習”か、通販で買い集めたギャルゲーかマンガかラノベを消化するだけ。


「……もうこれ何度読んだっけ」

『五周目です』

「あー……じゃあもう内容暗記してる気がする、他のにしよう」


 喋る相手が出来たのはだいぶ前だ、といっても相手は古い携帯ゲーム機の画面なんだけど。

 彼女はユミジ、人工AI的なものらしい。

 ユミジという名前はその……ちょっと私的に引っかかることがあるのだけども。


『そういえばミユ、話があります』

「んー、この携帯食食べてからでいい?」


 通販で買った携帯食(いい加減飽きた)を朝食に食べているとユミジがいつもの機械的な話し方で言ってくる。

 話半分で聞き流そうとしたところ――



『今回の物語のヒロインは”下之美優”です』



 ……………………はい?

 私は口内から水分を奪い続けていた携帯食(カ●リーメイトのフルーツ味)を思わず取り落としてしまった。


「聞き間違いだよね? 今回のヒロインがなんだっけ」

『ミユです。ミユの起動した”はーとふる☆でいずっ”で残された最後のヒロイン”高坂実沙”のシナリオ適合者はあなたなのです』

「……嘘でしょ?」

『本当です』

「いやいや、だってそれじゃ私がヒロインってことはその――」

『下之ユウジとの恋愛となりますね』


 ……………………いやー、それは、またまた。


「な、無いから!? ユウ兄相手とかっ! そもそも私がヒロインとか論外だしっ! もっと……もっと可愛い子とかいるじゃん!」

『下之ユウジが相手、ということには否定的ではないのですね』

「うっ…………いや、だって兄妹だよ? 実の兄と妹だよ? ないないない、そんなのラノベかギャルゲーに留めておくべきで――」

『ならギャルゲーのヒロインに選ばれたミユは問題ないですね』

「…………マジなの?」

『本気と書いてマジと読みます』


 ……この人工AIこんな人間味あったっけ。

 それよりも、それよりも!?


「ど、どうすんの!? 引きこもり系ヒロインとか攻略しようがないじゃん! 詰みじゃん!」

『これを機に部屋を出てしまえばいいではありませんか。実際時々の食事や深夜風呂に行く際は出ているのですし』

「そ、それとこれとは!」

『ファッション引きこもりではありませんか、部屋近くに都合よくトイレはあり通販もミナが届けてくれるならば生活上風呂に行く必要もないわけです』

「それは……臭うのやだし、ミナ姉のご飯食べたいし」

『調子いいことばかり言わないでください、いつまで逃げているつもりですが、そして今回はミユがヒロインな以上――もう逃げ場はないですよ』


 ユミジ……ユミジが小うるさい人間みたいに説教臭いよー!

 なんなのこの人工AI、こんな節介焼きだっけ!? こんな構ってくる子だっけ!?


「それにきっとユウ兄は私のこと許してないし、会わせる顔がないっていうか……」

『顔洗えばすぐにでも会えますよ』

「そういう意味じゃなくて!」


 結局ユミジを言い争いをして、今日一日を終える。


 ……今日エイプリルフールだったんだ。

 ねえユミジ、実はヒロインが嘘でしたっていうネタバレを今日の最後まで聞いてないんだけど。


 ……嘘、だよね?


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