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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第十九章 私の兄がこんなにかっこいいわけない。 ーわたあにー
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第632話 √d-11 わたあに。 『ユウジ視点』『四月二十一・二十二日』「ダイヤル2・3」

未来・某所にて

マナカ「思い……出した! 私から奪っていくやつを絶対に許さない! ――綴る!」

アイシア「まさか嵩鳥さん、第八階梯まで!?」

井口「……とりあえず嵩鳥さんの書いたのをコピペすればいいんですよね」

マナカ「第八階梯闇術、サン○ーストームヘリクス!」

アイシア「うおおおおお! サラ○ィガ!」

井口「ネタがさっぱり分かりません……」

「……おい」

「何? お兄ちゃんっ」

「なんでお前がいるんだよ」

「お前じゃないよ? 桐だよ?」


 ここはほかならぬ高校である、本当はこんな小学生のような見た目の女児などいるはずがない。

 

「……小学校とか行ってねえのかよ」

「今日は休みってことにしたー☆」


 こんな歳からサボリ癖が付くとか将来は不良一直線じゃないか……などと思っている場合じゃない。


「その猫かぶり気色悪いぞ」

「な、なんじゃと失礼な! わしのこのいい子キャラは父母の方々に大好評なのじゃぞ!」


 知らんがな。

 こいつは将来を期待させる見てくれなのだが、素がこのババア喋りな上に……俺たちを面倒くさいことに巻き込んだ側の人間なのだ。

 いくら俺が幼馴染だと認識していたユキがギャルゲーのヒロインで実在しないとしても、シナリオの都合とだけで殺す道理はないだろう。

 だからこのロリババアの今こうして俺の学校に来る意図が分からず、警戒の意もあって俺はこの桐という子に当たりがきつかった。


「……何が狙いだ」

「ただお兄ちゃんの学校に来てみたかっただけだよ?」


 嘘つけ。


「……まぁシナリオの都合と言えばお主は納得するか」

「まだその方が分かりやすくていい」


 いわゆる、ギャルゲーで言うところの「自分の妹がこっそり高校に来ちゃった」的なシチュエーションでありイベントなのだろう。

 

「ちなみにこの後お主の教室に行き、ユキとお主の間に滑り込んで『えへへ、お父さんとお母さんみたい』というところまでがイベントじゃ」

「……説明ありがとう」


 分かりやすい分いいけどな……いいけど、そこまでネタバレされて俺はどうしろと。


「更にそのあとユキが転びそうになるのを捕まえて、偶然にも抱き合うシチュエーションもあるぞ」

「説明ありがとうなぁ!」


 ドキドキが半減だよ……まぁ桐が本当のことを言っている前提だが。


「そんなユキとの距離を見て危機感を持った第三のヒロインが――」

「強い言い方して悪かったから、これ以上ネタバレはやめろ」


 …………で。

 まぁそのあと桐の言う通りの展開になったというか。


 桐が教室に来てクラスの主に女子に可愛がられ、話していたユキと俺の間に滑り込んだと思うと例のセリフを言った。

 ……ネタバレのせいでドキドキシチュエーションではないが、悪い気はしなかった。

 


四月二十二日



 そういえば何故か今日は委員長が欠席して、女子通のユイ曰く皆勤記録を持つ委員長が休むなんて……!

 とのことで、委員長に造詣の深いクラスメイトが割と騒然としていたことは今は割とどうでもいい。


 そのあと桐の言っていた第三のヒロイン云々についても当たり、ユキに並ぶいいとこのお嬢様っぽい見た目の黒髪和風美人の姫城舞が俺を刺しかけた。

 刺しかけたというのも冗談ではなく、持ってきたナイフで呼び出した階段を下りた先の地下倉庫入り口でグサっと殺られるところだったのだ。

 ……命の危機もあり、必死だったので割と何を言ったのかすべては覚えていないものの何故か結果的に俺は姫城さんに好かれてしまったようである。

 どうしてこうなった!

 

「ユウジ様は前世で私を愛してくれたのです。それも私の傷についても受け入れてくれると言っていただいて救われたのです、水着といっても一緒にお風呂に入るまでの間柄となったのですから――」


 …………前世とか言われましても姫城さん、俺にどうしろと。

 そうこうして桐の言っていた第三のヒロインこと姫城さんが周りに加わったのである。





 家に帰って来て課題をやっつけて家事を手伝うとあっという間に夜も遅くなる。

 録画してある深夜アニメの録画を垂れ流しながら俺は眠りに就くことにした――



== ==



 俺は白い世界に居た。

 そんな白い世界には俺一人と、古いダイヤル式のテレビが一台だけ存在していた。

 古いダイヤル式とかテレビの昭和特集で見た限りであり、初めて手で触ることになる――もちろんこれは夢だと分かっているが。

 ダイヤルをカチャカチャと回すが画面の中は砂嵐、というかこの世界アンテナケーブルを繋ぐジャックも無いのにテレビなんて見れるわけないじゃん。

 そう思いつつもすることも無いのでチャンネルを回していくと――



 ダイヤル『2』



 おっ、なんか映像が映り始めた……そうして俺はそのテレビ画面を凝視し始める――



* * 

 


 ミユが産まれて一年ぐらいだろうか。

 もちろん数か月産まれ違いの俺なこともあって、立って歩き少しの単語を口にすることは出来てものちの記憶には残らない。

 三つ子の魂百までというが、まだ三歳どころか二歳をやっと迎えたぐらいだ。


 だからこの記憶は俺が忘れてしまった本当に小さい頃……らしい。

 というのもこういう思考は出来ているし、見えている景色がそうとも認識できるのだが。

 実際の二歳前の俺が何をしようと考えているかは別だ――俺はあくまで幼少期の自分の周りを見せられているだけである。


『なんで……なんでよ! こんなことって……ひどい』


 母親が泣いている、母さんが泣いている。

 その傍には知らない男がいる、いや俺は覚えていないだけでこの人は――


『ユウトさん……ユウトさん!』

『ミサキ……』


 俺の……生前の親父なのだろう。

 俺が物心つく前に無くなった親父が今、悲しみに暮れる母親を抱きしめている。

 どうして泣いているのだろうか、幼心の俺は分かるはずもなくただじっと二人を見つめているらしかった。


 母親は手に母子手帳を持っている。

 誰の母子手帳だろう、少なくとも俺と……隣で手を繋いで立っているミユもいるし、少し遠くから見ている姉貴らしい子もいる。


 じゃあ誰なのだろう。


『ごめんねミキ……産んであげられなくてごめんね』


 ミキ……俺には聞き覚えのないその名前が、妙に引っかかる。

 幼い俺とミユはその悲しみに暮れる両親を見て、影響を受けてか二人泣きはじめた。

 姉貴だけは泣かなかった、でもそれは我慢しているように見えて――


 それから母さんが居なくなって、一人残された親父が呟いた。


『…………俺がどうにかするよ、ミサキ』


 どうにかすると言って、どうにかなるようにも思えなかった。

 しかし親父の表情は真剣そのもので、何かを決意していた。



* *



「……なんだったんだ今のは」


 テレビを見ていると思ったら幼い自分視点になっていた……どういうことなんだ。

 考えている余裕もなく、俺は今度は勝手にテレビのダイヤルに手を伸ばし――


『ダイヤル3』


 

* *



 俺の記憶の中の母さんは泣いてばかりだ。

 今度は黒い服に身を包んで、一枚の写真を抱きしめながら泣いている。


『ユウトさん……!』


 その写真に写っているのはさっき見たばかりの親父だった。

 ……母さんの着ているのは喪服なんだな、それできっと親父が亡くなったタイミングなのだろう。


『なんで私を置いていっちゃうのよ……こんなのってないわ……!』

 

 隣にはまたさっきよりも少し背の伸びたミユがいる。

 ああ、もしかしてダイヤルの数字は俺の歳を示しているのか……? ということはこれは三歳の忘れられた記憶なのかmそいれない。


『いつか……いつか私が助けにいくわ……ユウちゃんやミユちゃんが大きくなったら……!』


 助けにいく、というのはどういうことなんだろう。

 親父は事故で死んだんじゃないのか……? 


『それまで消えるなんて許さないわよ……』 


 そうして短い映像は終わる。

 


* *



「…………意味分かんねえ」


 記憶の通りなら、俺の小さい頃に二回母さんが悲しむような出来事があったことになる。

 まず分かるのは親父の死として、二歳の頃のは――俺の想像なら。


「もしかして、本当はミユの下に妹か弟がいたのか……?」


 ミナ、ミユ、ときてミキならば……妹と考えられるのかもしれない。

 その産まれるはずのミキが、何らかの理由で産まれなかったということ。


「今の今まで知らないなんてな……」


 物心ついてからの母さんというのは、小学生までは働きながら家事をして姉貴と俺とミユを一人で育てた。

 そして俺が中学生になる頃、母さんは家を空けるようになり中学二年の姉貴が家事の殆どを担うようになった。  

 母さんは仕事だと言っていた、でもさっきの”俺たちが大きくなったら(父親を)助けに行く”という言葉を考えれば。


「母さんは何をしてるんだ……?」


 謎が深まっていく、それと共に世界の色は白から灰色へと変わっていき深い黒へと沈んでいく。

 そうして俺の不思議な夢は終わる。

 

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