表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第十七章 ずっと近くに居た私と、世界のこと
489/648

第610話 √c-22 わたせか 『十月四日』

嵩鳥「……あと三分の一しかなんですけど!?」

アイシア「実は三十三話構成なのも私が話数管理した結果なんだよね」

嵩鳥「なんで!? どうして!?」

アイシア「書くことないし、序盤に書きたいこと書いちゃったし」

嵩鳥「いやいやいや! 尺さえあれば濃厚なラブコメを……」

アイシア「それルート7でやるからごめんね」

嵩鳥「ああああああああああああ!」

 そうしてすべてがなかったことになるのです。

 曖昧な空間で話されたすべてを誰も覚えていることはありません。

 違う時間軸と場所から集められた者たちも元いたところへ戻っていきます。


 これまでもこれからもアイシアさんに管理されるのです。

 今話している私のナレーションでさえ少しすれば――


 過去では――『左右さん……あまり私の脚本内で下之君相手に変なことしないでください』

 井口さん、彼女がルリキャベのライターなことを過去の私は知るところから。

 未来では――『と、ともかく私もこれから混ぜてください!』

 井口さんのデバッグチーム入りとなったところから。


 そこからまたそれぞれの世界は再び始まるのです。



* *



十月四日



 体育祭があまりにも見切り発車だっただけで、文化祭に関してはおおよそ二ヶ月ほどの準備期間が与えられる。

 もっともクラスなどで本格的な準備が始まるのは一か月前なのだが。

 文化祭委員は役割分担から資料作成とかまぁ時間が必要だから二ヶ月でも余裕という感じはしない。

 ちなみにクラスメイトの美術部員は夏休み前から文化祭に向けて活動しているそうで、ひと月前の今はスパートらしい。


 クラスの出し物は結局面倒臭そうなカレー屋に決まったがユキが言うんだからしょうがないなあ……。

 そして文化祭委員だというのに料理が出来るということから調理場担当にも任命された。

 神様でも仏様でもいいんで、俺の身体一つじゃ到底足りないんでもう一つください。

 影武者的な分身的な……。


 カレー屋に決まった俺たちは、いわゆる制作物こそ少ないが。

 スパイスマイスターことユキさんの本気っぷりによって、カレー作りの試行錯誤を放課後残れる人で残って繰り返している。

 

「嵩鳥って料理できたんだな」

「こういうメガネっ子真面目系委員長は料理が標準的に出来るって普通じゃないですか」

「……そういうメタなこと言うなよ」


 真面目系とか自称するのは逆効果かと。


「まぁ下之君と料理する機会だからと慌てて二か月前に料理の練習始めたんだけど」

「……そういうの普通の声量で言うのやめてくれるか」


 なんか気恥ずかしいから!

 ラノベ的にはここは小声で言って俺がえっなんだって? でしょうに!

  

「あ、料理に使うウコンとナツメグとチリペッパーとドーナツとポッ●ーとお茶切れちゃったみたい。誰か買い出し行ってくれない?」


 クラスメイトのとある女子がスパイスの入っていた空の瓶を振りながらアピールするように言った。

 というか後半のドーナツ以降はカレーに使わないだろうに、そこで調理しながらも菓子摘んで女子会してるやつの補給物資じゃねえか。

 仕事しろよ、ガーリックを制服のポケットにぶちこむぞ。


「私行きます」


 そんな中で手をあげる嵩鳥、ぜひ行って来てくれ。


「いいんちょ! じゃあよろしくねー」

「はーい」


 嵩鳥がパシリ……じゃなかった委員長ポイントを稼いでいるなあ。

 などと他人事で委員長を傍観していると――


「あー、荷物持ってくれる優しい男子はいないかなあ」

「…………」

「出来れば実は姉妹二人に対してシスコンでスク水が大好きで姉が生徒会役員の男の子がいいかなあ」


 ……誰のことでしょうねえ。


「行きますよ、下之君」

「……嫌なんだが」

「ええぇっ、私への好感度低くない」


 俺の性癖を聞こえよがしにバラしてりゃスルーしたくもなるわ!

 それとスク水は好きだけどシスコンじゃねーし! 


「……分かったよ。ドサクサ紛れに頼んできたお茶とか重そうだしな」

「さすが下之君。よっハーレム主人公」


 そういうので俺の嵩鳥に対する好感度ダダ下がりだよっ!





 そして昇降口に来たら雨が降っていた。

 晴れてこそいなかったが朝から曇りで、天気予報の降水確率も低めだったんだがなあ。

 台風シーズンだからしょうがないといえばしょうがないし、姉貴に言われて置き傘をしておいてよかった。


「……うわあ雨かよ」

「そういえば梅雨イベント忘れてたから丁度いいですね」 

「梅雨イベント……?」

「下之君、私傘忘れちゃって。よければ入れてくれません?」

「いいけど」

「やった! これで定番の相合傘シチュエーションをゲットですね」


 ……そういうギャルゲー脳どうかと思うぞ、嵩鳥。


「さっさと買って帰って来ようぜ」

「そうですね」


 俺は自分の置き傘を取り傘を開く。

 割と高い傘らしいがセール処分品で格安で買えたと姉ちゃんが胸を張っていたのを思い出す。


 そうして俺が傘を持ち委員長が隣に並ぶ。

 一応傘は大きいけども二人がすっぽりとまでは行かない……まぁ止む無しだな。


「あの下之君、肩濡れてますけど大丈夫ですか?」

「実は俺の左肩、防水仕様になってるからな」

「そういうことにしておきます」


 隣の委員長はどうやら雨にはかかっていないようで、更に表情を見る限りどこか上機嫌だった。




 

 そうして買い物の帰路。

 台風シーズンな伏線回収もバッチリである。


「傘の意味がねえええええ」

「あああ、せっかくの相合傘シチュエーションがああああ」

「靴の中が超気持ち悪いことに……」

「っ! こ、こんなの制服透け放題ですよ……(チラッチラ)」

「見てる余裕ねえから! あああ袋の持ち手がああああ」

「えええええ高校生男子はブラ透けに欲情するのではああああ」


「この台風レベルの暴風の中でどうしろと!?」


 行きこそ普通に雨が降っていたものの、買い物を済ませてスーパーを出た途端に土砂降り&暴風の応酬。

 傘が吹き飛ばされんばかりなので止む無く畳み、俺たちは駆けていた。

 そんな中で嵩鳥のブラ透けだの気にしている余裕なんぞないわ!


 そうこうあって体も買ってきたものもびしょ濡れにしながら俺たちは学校に戻っていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ