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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第十七章 ずっと近くに居た私と、世界のこと
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第590話 √c-4 ずっと近くに居た私と、世界のこと

 どうもナレーションのナレーター……ではなく嵩鳥マナカです。

 いわゆる私がこれまでの物語や世界でちょくちょくとナレーションを担当してきて、おそらくは”桐やユミジ以上”にこの世界を知っている私から話させてもらいますね。


 私……と言うと分かりにくいですね。

 やっぱり私はナレーターという扱いで、実際に話中に出てくる方をマナカとしましょう。


 結論から言えばマナカがユウジに対して早くに接触し、副委員長に指定したことで――ほかのヒロインとのルートフラグはすべて折れてしまいました。

 基本的にホニさんと雨澄のルートは終えているので、あとは生徒会に入る・入らないの分岐となるのですが、私が先手を打ったことで生徒会入りは無くなりました。

 既に終わったルートではありますが、同時にユウジが生徒会に入ったことで発動するクランナルートのフラグも折れているわけです。

 更には私の早く動き出した行動によってユウジのクランナにセクハラを働く未来が消滅し、そこから派生する姫城ルート系の可能性も無くなりました。


 つまりはこの物語は自然とマナカルートに固定されたのです。


 ということでこの世界の終わりまで、おそらくはマナカルートが続くことになります。



* *



四月二十七日



「今日も付き合わせて悪いですね、下之君」

「……いや、いいけど」 


 俺と委員長は放課後残って、委員長の仕事を行っていた。

 といっても雑用みたいなもので、後日配布するプリント複数枚のホチキス留めなどを黙々とやっている。

 こうして二人で机を合わせて向かいながら作業するのは週に一度、既に三回目となると事務的な作業にも慣れてくる。


 そんな時にふと思い出したことがあり、俺は内心で複雑な心境ながらも聞いてみることとした。


「……あのさ」

「なんですか?」

「なんというかだな……前に言ってた俺が好みとか……自分がヒロインだとか、ってのはどういうことなんだ?」


 もう三週間も前に、俺を推薦した際に言った委員長の言葉だった。

 俺が好みかは今はまず置いておくとして、後者の自分がヒロインだという発言は桐などに聞いてみた結果が彼女に注意しろという答えだった。


「そのままの意味ですよ。私こう見えても、下之君を何年にも渡って想い続けていたのですから」

「何年にもって……」

「あいにく下之君はいつも女の子に囲まれていましたから、私の出る幕はなかったのです」

「おいおい、その言い方だと俺が男女関係にだらしないみたいだろ……そんなことはないし、至って普通だよ」

「そうは言いますが、いつも下之君の横には上野さんか美優さんがいらっしゃったではないですか」

「……それは――」


 そう、委員長は俺が今の状況に至るまでのことを見てきていてもおかしくないのだ。

 覚えている限りでも中学時代から偶然にもずっと同じクラスメイトだった、更には必ず彼女は委員長を務めていた。

 だからこそ嵩鳥のことを委員長と俺はこれまでも呼び続けているのだった。


 裏を返せば委員長も俺の中学時代を把握しようと思えばできるわけでもある。


「懐かしいですね。クール傍若無人な毒舌系幼馴染の上野さんに振り回されながらも、しっかり妹の美優さんのことを気にかけるシスコンぶりを発揮していましたね下之君」

「……ああ、そんなこともあったな」

「東に怪我をした美優さんが居れば行って看病をして、西に疲れた美優さんがいれば気の利く差し入れを持って行き、南に悩む美優さんが居れば相談に乗り、北にナンパされた美優さんが居れば颯爽登場して男の魔の手から逃れさせる……立派なシスコンでしたよ」

「雨ニモマケズみたいなノリで言うな、いやまぁ確かにそんな記憶があったような気がしないでもないけども……」 


 どうにも桜に振られた直後に、それより前の記憶のところどころ吹っ飛んでいるせいあって……言われればそんな気はするのだが、直接的なシーンを思い返せないことの方が多かった。


「さらには下之君を好き勝手に振り回す幼馴染の上野さんも居たものですから、いやはやヒロインカースト最下層の私には割って入るほどの力はなかったのですよ」


 ヒロインカーストってなんだよ、もしそんな制度が実在するなら俺の中のギャルゲーに出てくるヒロインの見方が変わっちゃうだろ!


「上野さんたちが居なくなったと思えば、巳原さん達とのオタサークルを形成してしまったので入りずらかったわけです。なので満を持して、新学期のこのタイミングで先手を打たせてもらったわけです」

「わかった、よーく分かった」


 これ以上委員長に喋らせてしまうと古傷が開いて俺が致命傷になりかねないので止めてもらう。

 ……ほかの話題に切り替えよう。


「そ、それにしても委員長とはかれこそれ何年も同じクラスなんだよな」

「はい、運命の赤い糸を感じますね」


 ……その返しに俺はどう答えろと!?

 この話題もダメなようだ、チェンジ。


「そういえば委員長はなんでずっと委員長をやってるんだ? 少なくとも中学三年間もずっと委員長だった記憶があるんだが」

「そうですねー、ぶっちゃけてしまうと……委員長自体は面倒臭いですよね」

「え、中学三年間と今合わせて四年連続委員長記録更新中なのにか?」

「はい、でも決まらずにグダって適当な人に委員長をやられるよりは良いと思ったので。実際これまでの私の委員長も、特に卒なく問題もなかったですよね?」

「……まぁ特に意識したことはないってことは、委員長がしっかり働いてくれてた証拠なのかもな」

「そう言ってもらえるとありがたいです。あとは強いていうならば委員長特権がありますから」

「委員長特権?」

「はい、委員長特権でクラスメイト名簿が見れるんです」 

「……なぜに?」

「合法的に個人情報ゲットするチャンスですから」


 合法的……?


「だから私が委員長をやっているのは奉仕精神とか使命感とかからではなく、自らの欲望の為ですから安心してください」


 いや……安心はできないのだが。

 こうして委員長と駄弁りながら委員長活動を終える。



* *



 マナカがクラスメイト名簿を見る為というのも、不思議な話ですが。

 それは彼女の持つ”能力”が出来る限り露呈しないためのカモフラージュでもありました。


 彼女はクラスメイト名簿を見る必要もなく、メガネを外せばそれらの情報を手に入れることが出来るのですから。


 本当に委員長になった目的は、委員長という立場でクラスメイト全体と浅く広く付き合うための手段でもありました。

 それは彼女がクラスメイトの心を知ろうと思えば知ることが出来る上での、ある意味で学校生活を平穏無事に過ごしつつtも彼らとの関係に境界を引いていた為でもありました。

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