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第535話 √5-16 より幸せに

 

 そして俺は彼女らと戦う為の準備を始めた。

 少なくともナタリーに頼りっぱなしでは、今後隙を突かれて倒されかねないと考えた。


 そこで本当の基礎の基礎、体力トレーニングなどを始める。

 なぜ俺はそこまで急くようにして対抗する術を考え、実行し始めたかといえばやはりそれはあの異世界に突然放り込まれたような戦闘巻き込まれたことにある。

 もし桐が「明日敵が襲ってくるから力を付けるのじゃ」と言ったとしても信じなかっただろう、百聞は一見に如かずというかいざ体験してその真実味を理解したのだ。

 雨澄は冗談でもなんでもなく俺たちを倒しに来ていることを理解した、決してドッキリでもたちの悪い冗談でもない、明確な敵意を俺たちに放っていたのを覚えている。

 だからこそ出来ることをしなければと思ったのだ、そこまで学の無い俺が考えて出来ることを実行し始めたのだ。


 俺自身そこまで運動音痴ということもなく、かといって運動が好きなわけでもない、どちらかといえばインドア派な俺である。

 体育の成績も普通なこともあって、運動神経は普通であった。

 少なくとも俊敏に動けてかつ、ホニさんたちを守れるほどの力を付けなければと踏んだ俺は基本のトレーニングから始めた。


 早朝のランニングをして、生徒会が終わって帰った日には時間があればユイに手伝ってもらって腹筋や腕立て伏せ他もし始めた。

 手伝うよう頼んだユイには「突然ユウジどうしたし、何か覚醒したし?」と聞いてきたので「アニメ見てたら運動に目覚めた」と言って納得してもらった。

 いやそれで納得するのはどうだろうと思わなくもないが、手伝ってくれるだけ感謝する。


 早朝トレーニングに一部家事、普通の学業に生徒会にまた家事でトレーニング……これを続ければ普通ならば倒れてしまうだろう。

 そこで桐がどこからか手に入れたという”謎ドリンク”だった、非常に不味い一品なのだが飲むと疲れと眠気が吹っ飛ぶのだ。

 明らかにやばい成分で構成されていそうだが、桐曰く「保存料・合成着色料不使用で身体に安心じゃ」と言っていたものの問題はそこじゃないだろうと思うのだが背に腹は代えられない。

 ちなみに精製・入手方法は秘密とのこと。


 更には生徒会に入った伝手も使って、とある二人に協力を申し出た――





 と、まぁトレーニングを始めましたということとは別にとある変化があった。

 それはというと少し遡って戦いの直後、ホニさんを守るために戦う決意をした時のこと――


「実は言い忘れておったのじゃが、家に張られた結界が一〇〇%の能力を発揮するのはわしが居る時だけでの。わしが不在でも八〇%の効果は保障出来るが不安が残るのじゃ」

 

 更に”招かざる客返し”という機能も桐が居ないと効果はすべて発揮できず、ごく稀にしらみつぶしに探し当てられてしまう可能性も捨てきれないとのこと。

 それ言い忘れちゃダメなやつだろ! というツッコミを抑えつつも、それでどうするのかと俺は聞いてみると。


「わしが不登校になってホニに付きっ切りというのも現実的でない、かといって家に一人残っていれば不安が残る。そこでじゃ――」


 そして桐は予想だにしない衝撃的な提案をした。


「ホニもユウジと一緒に学校について行けばよい」

 

 まさかまさかの提案だった、いやそれは無いだろう!

 だって雨澄の通っている学校だろ、と俺は反論したのだ。


「といってもユウジの見ていられる場所の方が都合がいいと思うのじゃが? それに藍浜高校にいるわしの協力者に頼んで”異能抑え”の機能も発動させておこう」


 ちなみに協力者は二人いて、俺の知る人物とのことだったが誰かは教えてもらえず仕舞だった。


「下手に家に残るよりもユウジの近くにいるということで多少は安全ということじゃ、ということで編入手続きも協力者に頼んでおいたから今日からホニは紅丘学園一年二組の生徒じゃ」


 と、いうことで半ば強引に桐に押し込まれた結果ホニさんも学校に登校することになったのだった。

 その分ホニさんが日中に家事をすることは出来なくなったものの、桐が「なんとかする」と言っていたので信じることとする。


「それに雨澄が使っていた結界はある程度の労力と精神力と設置にかける前準備含めて時間をを要すのじゃ。そう連日使えるものではなし、学校全体に結界を張ろうとすれば莫大な時間と精神力を消費して現実的でない。それに協力者の”異能抑制”もあるしの」


 ちなみに彼女が使ったとされるのは”広範囲点繋式”らしい、おおよそ半径数百メートル規模で展開されていたとのこと。

 そして桐が使っていたのが”狭範囲点繋式”で、半径十数メートル範囲に絞って展開する省力スタイルらしい。

 だがそう聞くと桐も彼女の比ではないにしろ労力と精神力を消費しているのではないかと疑問になり聞いてみる。


「心配するでない、それに言ったであろう。わしはお主を全力でサポートすると」


 しかし桐はそれについての明確な言及を避けた、それが少し気がかりではあるが桐からその聞きたい答えを聞きだせそうにはなかった。 


 

五月十七日



 ということで、早速早朝のランニングを終えていつもよりも少し早起きのホニさんがしている家事の手伝いに参加し登校時間を迎えた。

 ちなみに姉貴ほかの下之家全員にホニさんが学校に通う事になったことは昨日中に伝えてある。

 あまりに唐突だったために姉貴に「ユウくん初耳だよ!?」と衝撃を受けていたが「サプライズなんだ、悪いな」と返しておいた。

 あとあと姉貴にはホニさんが日中居なくなることでの家事や黙っていたこと(正確には俺もさっき知ったばかりなのだが)について話し合って、折り合いをつけることはできた……休日の買い物デート権で。


「じゃあ桐行ってくるね」

「ユウジとナタリーがおるから大丈夫だとは思うが気を付けての」

「うん、ありがとね」


 そうして登校時間が遅い桐と、生徒会活動が副会長限定である為に先に出た姉貴以外。

 俺とホニさんと、ユイとアイシアにクランナが揃って下之家から出て来て並んで歩くという美少女一行+俺の登校が始まったのだった。 

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