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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第十五章 テガミコネクト
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第500話 √4-15 テガミコネクト

アオルートは少しおやすみ。

500話の節目には、下之家の日常を。


 学校が終わり、帰宅してみるとホニさんが家事を終えたところだったようだ。


「おかえりなさい、ユウジさん、クランナ」

「ただいま、ホニさん」

「ただいま帰りました」


 俺とクランナ二人揃って、居間へと足を向かわせると、どこかほんにゃりとした笑みで迎えてくれるホニさん。

 家事終わりのちょっとした贅沢、熱いお茶と堅焼きのしょうゆ煎餅を嗜みながら録画していた昼ドラを見るのだと言う。


 夕方四時は、まだ家族は居間に揃わない。

 姉貴は未だ学校で生徒会、俺とクランナは今日は仕事が少ないからいいよと、姉貴に言われ言葉に甘えて帰ってきた。

 ユイとアイシアは先に帰宅して、桐はとっくに学校は終わり帰ってきていたようだった。


 姉貴以外が帰宅しているのに居間には揃わない、それもそのはず。

 みんな自分の時間があるのだ、食事の時ぐらいしか全員集まらないと言うのは普通のことだろう。

 俺も、洗濯物を出してここで水を飲んでからとりあえず部屋に戻るつもりだった。


 ユイはゲームか課題をやりながらゲームか、アニメか?

 クランナはジャパニーズカルチャーなどを知るべく、学校帰りや休日に買ってきた本や雑誌を読みこんでいると、本人から聞いた。

 アイシアは……謎だ、時折電話をしているような話し声が聞こえるだけで、何をいつもしているのか、誰と話しているかももちろんわからない。

 桐は一人オセロや一人将棋、パソコンを使ったチェスのオンライン対戦などをやっているという。


 俺はユイに貸してもらったアニメのサントラを音楽を聞きながら課題、と時折メールで友人と会話したり。


「今日も家事お疲れさまです、ホニさん」

「いえいえ、クランナどうもです」


 二人が話しているシーンはあまり俺にとって印象ない。

 だが、今のを見ている限りは関係性は良好のようでほっとする。


「じゃあ、またあとで来るかな」

「私も失礼しますね」

「はい~」


 そうして俺とクランナは自室へと戻った。



 学生服から私服に着替えたところで、パソコンを起動。

 テキストを呼び出して、返信用に考えていた小説に誤字が無いかチェックしているだけで三十分は経った。


「そろそろかな」

 

 俺はまた居間へと向かった。 

 キッチンには既にホニさんが立っていた。


「ホニさん今日の夕飯どうしよっか」

「ユウジさん……帰ってそうそうごめんなさい」

「大丈夫大丈夫! ちょっと冷蔵庫見てくる」

「……ありがとうございます」


 基本的には俺と姉貴とホニさんの交代制であり、今日はホニさんだった。

 ちなみに俺と姉貴は生徒会なので、遅れる場合はホニさんが作り始めてくれるのだ。

 それが申し訳ないので、こうしてホニさんの回でも、率先して料理を手伝うことにしている

 

「今日の夕飯の……とりあえず味噌汁は豆腐大目でいいですか」

「オッケーオッケー、豆腐は賞味期限迫ってるし使い切っちゃおう」


 などと二人夕食の準備をしていると、



「遅くなってごめんねー、ただいま!」



 姉貴が買い物袋を提げて帰ってきた。

 少しとはいえ生徒会活動だったのに、買い物も気づいたものを買ってくれた。


「おかえり姉貴、買い物任せちゃって悪い」

「いいのいいの! 今日帰り際に気付いちゃったのー。あ、冷蔵庫空いてるよね?」

「空いてますよーミナさん」


 三人でキッチンに揃うことは多く、たいていはホニさんがいて、姉貴もほとんどいる。

 課題やらで忙しい時かつ、俺の当番じゃない日は二人に任せてしまう時もある。


「じゃあ、ちょっと着替えてくるね」


 自分の学生制服を少し引っ張って示す。


「姉貴、俺たちでやっておくから今日は休んで……って言っても聞かないよな」

「うん、聞かない! すぐに戻ってくるから!」

「ゆっくりで大丈夫ですよ、ミナさん」 

「ありがと、ホニちゃん」


 そうして姉貴は自室へと戻り、実際に数分で帰って来るのだ。

 二人野菜の皮をむいたり、冷凍していた豚肉を解凍したりしていると、


「姉貴、無理しすぎないといいんだけどな」


 生徒会も家事も、思えば俺がそこまで手伝っていない頃の姉貴は本当に忙しかっただろう。

 なのに嫌な顔も見せず、にいつも笑顔で……もっと早く俺は気づくべきだったな。



「大丈夫ですよ。ユウジさんがいますから、きっとミナさんもこれからは大丈夫だと思いますよ」



 そう、微笑むホニさんの言葉を聞いた。

 それを聞いて、現金かもしれないが――


「ああ、そうだな」 


 曖昧には返さない、返したくない。

 ”そうかもな”とか”だといいな”みたいなものは返しはしたくなかったのだ。


「それにホニさんがいてくれて、俺も多分姉貴も助かってるよ。ありがとう」

「そ、そんな! 我は当たり前のことをしてるだけで……家に好意で置いてもらっているわけですし……」


 顔を少し赤くしながら、少し後ろめたさもあるような口調で言うホニさん。

 そして俺は、

 

「そんなこと言うなよ、もう俺たち家族なんだから」

「っ……!」


 ホニさんの頭の上に手を置いていた、本当についやってしまったというか。

 これは――そうか、”アイツ”にやっていたことだったんだ。


 俺は、ホニさんとミユとを一瞬重ねてしなったのかもしれない。

 それが申し訳なかった。


「あ、悪い! 嫌だったよな、スマン」

「そんなことありません!」


 ホニさんのこれまででも一番に声を荒げて、そう言い放った。


「あっ……ごめんなさいっ」

「勝手に触った俺の方が悪いんだ、こちらこそゴメンな」

「いえ、その、そうではなくて……ほ、本当は! 時折――」


 そう、頬を紅潮させていいかけるホニさんの一方で。


「遅くなってごめんねー」

 

 姉貴がやってきて、


「ごめんなさい……なんでもないです」


 ホニさんがほんの少し拗ねたように、ジトっとした目へと一瞬変えたのを見逃さなかった。

 それに少し疑問を持ちつつも、姉貴を加えた夕食作りを再開した――



 


 途中から姉貴とホニさんが二人で作るからと、言われたのでじゃあ俺は風呂を洗おうかな、とキッチンを出た。

 風呂洗いは気づいた人にやってもらうことになっており、夜六時の時点で洗われていなかったら俺が洗う、という自己ルールを設けていた。

 そしてキッチンから、居間から出てすぐの扉で仕切られた脱衣所を通る。すると、少し前時点で水音が聞こえているのが分かる。


「あら、どうしました?」

 

 私服としているらしい赤ジャージを、袖からめくってと足と腕の露出部分増やした上に髪を簡単に結ってポニーテールとしているクランナがいた。

 なんとも金髪の美少女がそんなことをしていると、かなーり色っぽい 


「いや、クランナが洗ってくれてたか。ありがとう」

「そんなことありませんわ! ホームステイしている身としてはこれぐらい出来なければ!」 


 デッキブラシを持っていない方、スポンジを持った手でグッとしながら言う。


「というか、料理がめっきりなので……こういうことしか出来ないというか」


 途端にズーンとクランナが一気に落ち込んだ。

 料理に関しては……なんというか、個性的な味で。


「いや最近は腕上がってるぞ、監督の俺が言うんだから間違いない」

「しかし監督! それでも監督やミナさんには敵わないのですわ!」


 料理下手が発覚したのが四月の下旬、それ以降クランナに料理の指導を頼まれることがある。

 練習に付き合って欲しいと、手伝い続けて一か月。

 前面真っ黒の炭となり箸で持とうとすると崩壊した玉子焼きから、少ししょっぱいぐらいまでの脅威の伸び率だ。

 誇っていいぞ。

 

 ちなみにいつからか、料理の場面では監督と呼ばれるようになっていた。

 何故か俺にはいつもですわ口調で高飛車なのに、その時だけはかなり素直というか。

 ……根は真面目だからなあ、交換留学だというのに生徒会を志望すると言う時点で分かるんだが。


「いや継続は力なり! 諦めないことことに必ず意味がある! 姉貴は無理でも俺を超す日は近いぞ!」

「ほ、本当ですの!?」

「ああ、嘘じゃない。精進あるのみだ」

「はい、監督!」

「あ、改めて言うけども掃除ありがとうな。邪魔した」

「いえいえ、もう少しで終わりますので――」


 そうして風呂場を後にすると、シャカシャカというデッキブラシの音が擦れる音が聞こえてきた。





「構うのじゃ」

「だが断る」


 と、いいつつも桐の部屋に来ている。

 食事後に「わしと遊べー」と服を掴んで言ってきたためだ。


「ここまで来ておいて、女々しいヤツめ! 受け入れるのじゃ!」

「だァが! 断る!」


 まあ、心の中では最近はオセロやら一緒にやっていないなと思いながら座っている。

 桐からはあまりギャルゲーのことについて話さないようになったし、俺からも特に聞くことというのは最近の手紙についてぐらいだった。


「今日は人生ゲームじゃ!」

「二人で人生ゲームかよ!」

「ホニさんも後で来る」

「途中参加……ホニさんなら余裕で許せる! 十マス進めたところからでもいいな」

「おい、ホニさんが来るならと態度も変えてっ! わしにももっと優しくするのじゃ!」 

「謹んでお断りします」

「丁寧に言われる方がキツイのじゃー!」


 こんな掛け合いも懐かしいなあ、と思いながら人生ゲームがはじまった。





「というか、休日でもないのになぜ……」

「いいからいいからー」


 俺はユイの部屋にいた、桐に少し付き合ってからのユイかと思うと何故か”たらいまわし”という単語が浮かんだ。

 見渡すと、アニメのDVDやらビデオテープ、アニメやゲームの主題歌とかのCDに、ぎっしりと本棚に詰められたマンガラノベ。


 まさにアニメルーム。


「ユウジにはこのアニメを見てほしい」

「え? アニメ鑑賞か? ……流石に一クール分とかは勘弁してほしいぞ」


 ちなみに一話三十分で、一クール十二話ぐらいなので単純計算すると六時間だ。


「大丈夫、劇場版だから八十分だ」

「結局長いわ!」


 今は午後十一時、明日も学校があるというのに。


「なら、今日と明日で二回に分けてもいい! 一緒に見よう」

「というか一人で見ればいいじゃん」

「いや、なんというかだのう……アニメは二人で見た方が楽しい?」


 ……まあ、気持ちは分かるが。


「まあ四十五分ぐらいなら」

「! なら今すぐ用意するっ」 


 やはりアニメという共通の話題で、盛り上がれるのは嬉しいのかユイはウキウキだった。


「部屋を暗くするオニ」

「お、おう……なんだその語尾は」

「映画とは関係ない語尾オニ、きまぐれオニ」


 ……うぜえ!


「じゃあ、俺自分の部屋に戻るわ」

「やめるオニ……いややめてください、一緒に見ましょうぜい」



 ということで成り行きで見ることとなったのはAORAという劇場アニメだった。

 ちなみに気づいた時には見終わっていて、時計は十二時四十分となっていた。

 もう、いいか。と思いながら、感想をぼそり漏らした


 

「結構面白かった」

「いいよね! 屋上に特に積み上げられた机のシーンは――」





「はぁ」


 今日も色々あったな、と自室へと戻り就寝しようとベッドに入ってため息が漏れる。

 既に夜も深夜一時で、深夜アニメは録画しておやすみしているところだ。


「明日ぐらいに手紙届くといいんだが……」


 やっぱり俺の出した手紙で途切れるというのはキツイ!


「時折ノートや、携帯でネタをまとめていたし書ける準備は万端」


 特に不安なこともない、俺はすぐに眠りへと落ちた。





「久しぶりですね」

「かもしれない?」


 そこは教室、一人の少女しかいない教室。

 明るく陽の光が教室を包み込んでいる。


「ふふ、元気そうでなによりです」

「まあ、お前が居て安心してるよ」


 深い緑色の長い長い髪を持ち、その前髪が顔を隠している。


「目が覚めた時にこの場所の記憶は覚えていないんですか?」

「そうだな、さすがに色んな女の子を手玉に取ったと言うのは覚えてない」

「いつから、ここでは記憶が維持されるようになったんでしょうか」

「さぁ、どうだったか……今の自分が意外と冷静なのが、少し違和感があるけども」

 

 目の前の少女を見つめていると、



「それはそうですよ、夢なんですから」



 少女が微笑んだように見えた。


「そうだな、夢なら仕方ないな」





 暗転。

 そして起床。

 

 目が覚めると、夢の内容は何も覚えていなかった。

 今日も一日が始まる。

 



六月八日

AORAの放映時期と小説での時間軸が一致しないとか言ってはいけない。

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