第462話 √b-46 神楽坂ミナの暴走!
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…………また夢を見ていた気がする。
ただ、また内容を殆ど覚えていない。なんとなく残る感覚はというと、それは懐かしいものだった。
俺はかつての記憶を夢の中で思い起こしていたのだろうか、目覚めた今となってはそれは分からない。
生徒会も落ち着いてきたし、最近の主な出来事といえばテスト勉強ぐらいだろうか。
さあ、今日も学校だ。
六月二十日
「おはよー、ユウジさん」
「今日も早起きだなあ、おはよホニさん」
「うんっ、早く起きるとなんか気持ちいいよ!」
こうしてホニさんに連日お世話になっていた。いつしか「睡眠とか大丈夫?」と聞いてみたけども「毎日お昼寝してるから大丈夫!」と返答され。
テレビをぼんやり眺めながらタオルケットをひざにかけてこっくりと船をこぎながらいつしか長い髪を放らせて床にすやすやと眠りに就くホニさんを思い浮かべて萌えた。
風邪とかひかないように気を付けてほしいところだ。
「うーん、俺のレパートリーも少ないなあ」
今日はちょっと楽をして冷凍で薄く切られたタケノコやニンジンなどが混ぜられた中華ミックスとキャベツと豚バラ肉で肉野菜炒めを作っているものの、これも数週間に一回は作っている。
主婦の方々はどうやってお弁当にその他朝食夕食をやり過ごしているのか疑問に思えてくる、やっぱりレシピ本とか片手にやっているものなのだろうか。
最近の当たりはクリームソースにシーフードミックス(これも冷凍食材頼りで情けない)を挙げたシーフードクリームコロッケはそれなりに良かったけども……ううむ。
「ユウジさんユウジさん! ちょっときんぴらの味見してくれるかな?」
「おう、どんとこい!」
「あーん」
端できんぴらを取って俺の口に運んでくれる。
「ぱく……いい味、今日もしょっぱすぎず薄すぎずに美味しいな。さすがホニさん」
「えへへ」
「ホニさんもぜひに野菜炒めの試食をば」
「え、じゃあいただきます」
「ホニさん、あーん」
ホニさんに箸で取った野菜炒めの一部を口へと運ぶ。
「はむ……うん、ご飯が進みそう! 美味しいよ、ユウジさん」
「ホニさんのお墨付きとあっちゃ成功だ、ありがとな」
それからクランナ・アイシアと起床しシャワーを浴びたぐらいにユイ、桐と起きてきて人がそろう。
「おーい、ユイ。リボン入りこんでる」
ユイはグルグル眼鏡時代なら別に疑問に思わないのだが、素顔ということもあって制服が乱れててるとどうにも違和感と言うか悪目立ちする。
「ぬ、いけね」
「てか制服よれてるし……ちょっと止まってろ」
「え、うん……」
「……よしっと、一応生徒会役員だからな」
「どもっ、ユウジ」
っと鍵を……あ。
「クランナやアイシアは折りたたみ傘持ったか?」
「私は大丈夫です」
アイシアはクールに即答し、鞄から水色の折り畳み傘を取り出して見せる。
一方ではっとしたクランナは、
「あ、忘れてしまいましたわ!」
「というそんなあなたにコレ」
「ありがとうございますユウジ……ユウジは余分に持っておりますの?」
「まあな、誰かに貸すことがあるかもしれんし。今日は家に入って取ってくる手間が省けたから役に立ったもんだ、さてと。桐、ホニさんあとはよろしくな」
振り返って玄関先で待っててくれる二人に声をかける。
「ふああ……いってくるのじゃー」
「はい、皆さんいってらっしゃい!」
寝不足気味の桐と対照的にキリリと手を振るホニさんに見送られながら通学路を行く。
「アイシアは理科基礎どこまで進んでる?」
「そうですね、元素記号を覚え始めました」
「おー、同じだな。案外ほかのクラスの進行度も同じぐらいなのかもな」
「こっちの世界史はセレウコス朝ですが、ユウジはどうですか?」
「と、飛ばしてんな……俺のクラスはメソポタミアだよ」
「二組の歴史教師はマメ知識の披露が多い方でしたっけ? それも影響しているのですか?」
「そうそう、面白いんだが進まなくて――」
彼女とはこうして勉学方面での会話をするようになったのだった。
そう”こっちの彼女”とは。
「それで――アイシア?」
「――どもっ、シアだよー! おっ、ユーさん学校まで仲良く手を繋ぎましょ!」
「は? へ」
そうして握られる手、豹変した彼女はもう一人のアイシアこと自称であり通称シア。
片方の無機質な性格と異なり無邪気に輪をかけて無邪気なのが彼女だ。
「なっ……!」「ちょ」
後ろで話していたクランナとユイが早速の反応をみせる。
「ユウジ! アイシアの手を離しなさいっ」「そうだそうだユウジ! リア充は爆発したくなかったら、はよ!」
どちらも機嫌は良くはないようだ。それを横目にいやらしい笑みを浮かべたシアは手を離したと思うと腕に抱き着いてきた。
「「あっ」」
二人の表情が険しくなった、本当に予告もナシに奇襲をしかけてくるんだよなあ彼女は!
「でねユーさん、昨日懐中電灯弄ってたらさー」
「アイシア、離れなさいっ! こんな道の真ん中だというのに礼儀をわきまえるべきですっ」
「ユウジは最近調子に乗っているとみえるのう、ハーレムだからと鼻の下を伸ばしているとバッドエンドしか待っていないのだよ!」
それからユキやマサヒロと合流してさらにカオス感が増し、マイの合流で簡易修羅場げ形成されていくのだった。
「飽きた」
「え?」
お昼時にいきなりそんなことを言い出すミナ、食べていた弁当の箸を置いて突然にそんなことを言い出すわけである。
「…………」
で、続かねえのかよ! ……そう、こういう時は聞かないとダメなんだよな。期待に満ちた目で見るな、毎回俺がフリを受けるとでも――
「何が飽きたんだ?」
「お弁当のおかず! さすがにコンビニ飯のローテーション飽きたぁ!」
一瞬で負けたわ。
……そういえばミナの昼食って毎日おにぎりかパンでもれなく種類を食べつくした上に、コンビニ弁当設定日も二日に一回あるが、それもほぼ全種類食べてしまったようだった。
「じゃあ何か、お湯でも持ってカップ麺でも食べるのか?」
「悪くない! ただ、ただだよ! それはクラスにあの鼻孔をくすぐるラーメンスープの匂いを蔓延させてしまう、それは一種のテロだよ!」
まあそうだな。以前どっかのスポーツバカが試したところ、ダイエットに勤しみ昼食抜きという選択を用いた女生徒はその匂い要因に仇よろしくの目を配らせていた。
最終的にはなぜか男子生徒の間で争奪戦になり多くの血が流れた、生徒総即席麺でもしないと実に波乱を呼んで仕方ない。てか俺も争奪戦に参加してもいいぐらいにあの時はキツかった。
「ふうむ、ミナは自分の弁当に飽き飽きしていると」
「そうそう」
「自炊しろ」
「やー、面倒くさい」
こんなの俺の姉k(ry
とりあえずなんて怠惰な幼なじみなんだろうか。そしてそんな幼馴染はこんな提案をしてきた。
「ということでお弁当交換会をしましょう!」
立ち上がってそう宣言し、それを呆気に取られて見上げるいつものメンバー。
その中で数秒経たぬ間に唖然を微笑に変えて口を開く者がいた。
「賛成です、私も参加します」
マイが先手を切った。
「好きな方へ自分の手料理を食べてもらえる絶好の機会です。舌から籠絡していくのもいいかもしれませんね」
そう、なぜか挑戦的に。誰かを煽るように言うマイに疑問を覚える。いつものマイの妄言じゃないか、賛同するなんて――
「わ、私も賛成! 張り切っちゃおうかな」
「これはチャンスですわ、ええここで……」
「ア、アタシも頑張ってみようかぬう」
ユキにクランナ、そしてユイまでも参加を表明した。
あ、ちなみにクランナやアイシアも昼食を一緒にする時があって今日はその日。この場にいるアイシアはクールな方なので黙ったまま他人の動向を伺っているようだ。
「交換会に品評会のようなものも兼ねてみてはいかがでしょう、審査員はそうですね……やはり沢山お食べになる方がいいですし、やはり料理経験があり冷静かつ適格かつ平等に判断を下していただけそうなお方」
「このマサヒ」
男子Aが何かを発言しようとしてミュートされたが気にするな。
まずはマイが無表情の中に期待を隠し切れない瞳を向けてくる。そしてそれに気づいたその他数人の視線も俺へと集約された。
「え、俺?」
「そそ、ユウくんがやってみたら?」
「ちょっとまてなんかお前の主目的からズレてるんだ弁当交換会なのに――」
「いーのいーの、みなさんは特に異議はないですよね?」
「「はい」」
女子勢全員口をそろえての、肯定。
「じゃあ明後日の昼食は交換会とユウくんによるお弁当審査回ねっ!」
「そうですね」
「そうだね」
「そうですわね」
「そうだぬ」
各々賛同する女子勢……波乱の予感?