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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第八章 ※独占禁止法は適応されませんでした。
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第120~122話R √1-8 ※独占禁止法は適応されませんでした。

R版差し替え済み



五月二十四日



 二日間の放課後教室の勉強会、そこそこ自習などにも力を入れた結果――


「おお……」


 教えてくれた姫城さんのおかげか苦手な数学はクラス平均点を少し下回る程度で赤点はもちろん回避。

 ほか教科に関しては平均点を上回るぐらいで、中学三年生あたりから考えるとかなり良好な結果に終わった。


 ユキも上々だったようで、マサヒロも国語の点数底上げにつながった。

 ユイは勉強会で勉強をしていた記憶はないのに、なんと全科目九十点超えという点数を取っていた……何者なんだよお前は。


「…………」


 姫城さんは百点に数点届かないぐらいで、ほぼ満点を取っていた……しゅごい。

 そうこうして高校最初の中間テストを皆で乗り切ったのだった――





 とうに過ぎし春を懐かしみつつ、夏の訪れを感じる蒸し暑さがテストの始まった頃から顔を見せており、後一日で来たる衣替えを心待ちにしていた五月下旬。

 ワイシャツを前へとグイグイ引っ張り、そこに右手を平らにして”疑似うちわ”として空気を送り込む……が、それほど効果はみられない。

 労力の無駄と考えた自分は、さっさと諦めることにした……そんな暑さというものに体力やら気力やら思考能力やらが奪われていく中、月曜のロングホームルーム。

 前に向き直って見ると――


「体育祭の季節です――」


 委員長が何故か教卓前でロングホームルームの司会的なことをし、担任は手頃なパイプ椅子に座り込んで文庫本を読み耽っていた。

 ……体育祭? ああ……もうそんな時期か。


 委員長はというと競技を淡々と言い連ねながら、黒板に書き出していく。

 ふむ……全員参加の五〇メートル走に、七〇〇メートル・一〇〇〇メートル走は希望制とのことらしい。

 大玉転がし……って高校になってもあるのか……それと二人三脚に障害物リレー、借り物競走――

 

「――ということで、各出場種目の出場者を決めたいと思います」

「「えー」」

 

 するとクラス中からブーイングの嵐が巻き起こった。

 

「いいよー、俺は家でゲームしてたいよ」

「いや俺、その日デートが──って俺彼女いねぇじゃん!」

「いいけど、楽なのがいいなー」

「疲れるのはやだー」

「体育祭に参加しないで何が学生だぜ! 燃えてきた!」

「灼熱地獄熱血業火、ファァイヤァァァァッ!」


 と、まあ俺のクラスの現状だ。

 ちなみに最後から二番目で言っているのは、なんとこのクラス初登場の”福島コナツ”……熱血キャラだったのか。


 それで、俺が勝手にクラスメイトの考えを分析とすれば「体育祭否定派」「どっちでもいい派」「体育祭大賛成熱血派」の三つに分かれる。

 ちなみに俺はどっちでもいい派に属し……まぁ意見の多い方でいいかなと言った具合、ちなみにユキは――


「うーん、どっちでもいいかなー」


 うーん、流石ユキさん気が合うな! 俺はどっちでもいいー、がベストだと考えています、はい!

 そして姫城さんは――


「ユウジ様との体育祭ならっ!」


 まさかの爆弾発言。 

 クラス中に聞こえる声で言ったばかりにクラスは騒然とし始めた、そんな中でも……船こいでる担任すげぇよ。


「みんな静かにー」

「おお委員長助かっ──」

「静かにしてれば何してもいいけど……面白いし」

「おおい! 


 委員長そりゃねえよ! ってか最近委員長キャラ変わってない?


「ユウジ様」

「おおう!? ……なんで姫城さんが、ここに居るんだ?」


 結構席離れていた気がする上に別に席移動を許していないこのタイミングである、いつのまに差を詰められていたのか。


「静かにしていれば──良いのですよね?」

「え」


 やばい、嫌な予感しかしない。


「えい」


 だきっ、と姫城は俺が困惑しているのをいいことに――右腕へと笑顔で抱きついた。


「「ええええええええええええええええええ」」


 ああ……ああ!

 ついに、やっちゃったよこの人───! 衆目の中で、かつ豪華クラスメイトフルメンバーを目前にして、である!


「「し、死に晒せやぁぁぁぁ」」


 クラスの男子が一致団結、心が一つになった瞬間だった。

 女子たちは女子で――


「姫城さんがそうなんだー」

「意外だよねー」

「大胆~」

「ここでスキンシップとはやりおる……しかしユウユキ派のアタシとしてはぁ」


 黄色い声できゃあきゃあ言っている中に……ユイお前は何を言っているんだ。 

 

「では冗談もここまでにして、競技を決めたいと思います。まずは選択競技を――」


 おい委員長、何も無かったかのようにすまし顔で始めるんじゃない。


「てか姫城さん! いつまでそうしてるんだ!」

「いつまで……ですか? 愚問ですよ、ユウジ様」

「いや、そろそろ本当に──」


 そう、彼女はあまり冗談を言うような性格ではなく――



「この命が尽きるまで、あなたのお側に。」



「!」


 紅潮させた頬と真っ直ぐに俺を見る眼差し、彼女はとても真面目で真剣で……彼女が本気であることを理解した。

 いや、でもさ──


「その台詞は使い方が違うと思うぞ!?」


 なんだ、そのかっこいい台詞。

 バトル漫画の思いを寄せる女性が自分の命を盾にしてでも守ろうと、傍にいようと──しているそうな台詞じゃん!

 ああ……なんか恥ずかしくなってきたぞ。


「「ハゲろおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」

「「きゃあああああああああああああああああああ」」


 いや、ハゲないから……この歳でまだハゲられないから。

 そして姫城さんの大胆すぎる告白に女子勢は大歓喜――


「むー……」


 一人ユキを除いては、だが……ああ、好感度が下がる音が聞こえる。


「ということで、競技決めるんで座ってくださいー」


 委員長はこほんと咳払いすると、黒板に書かれた競技名をコツコツと指差した。


「それでは……二人三脚、一円から」


  ……えっ、えっ? はい?


「千円で」


 そんなクエスチョンマークが脳内を埋め尽くさんばかりの中、平然と忽然と突然に姫城さんが腕を天井にグッと真っすぐ上へと伸ばし、傍から見ても綺麗な挙手をしていた。

 それと共に落札額の提示……!?


「「!?」」


 クラスの皆が絶賛困惑中、そして俺も理解出来ていない……何がどうしてこうなった。

 そんな中、只一人状況を理解したのか分からないが挙手する姫城さん。

 ……てか一円スタートなのに千円落札ってどういうことだよ!?


「ということで、姫城さん落札です」


 いやいや、どういうこと?


「よ、よし!」


 当の本人こと姫城さんは、なんか落札出来て喜んでいた。

 きっと姫城さんは勉強が出来ることから考えて頭の回転が速いだろうから、このようにすぐさま現状を理解出来て挙手したに違いない。

 

「……」


 しかし……頭の回転が自転車をこぐ速さよりも劣りそうな俺には、展開が良く分からない。

 というか何故に競り風? 普通に挙手制でいいん……てか委員長、もうあんたキャラ的にふざけすぎなのは別人がなりすましてるだろ?

 そして姫城さんも、理解したからかもしれないすけどキラキラ燦々目を輝かせながら純粋に便乗しないでくださぁい!


「ちなみに落札されてもお金は頂きません、あくまで覚悟の程を確かめる為です」


 意味ないじゃん。


「それでは……借り物競争、一円から」


 借り物競走いぇん…ギャルゲとかでは度々目にするが、実際やってるとこは見たことがない。 

 というか、この世界ギャルゲ化してんのか……それならこんな競技があってもさほどおかしくはないな。

 ま、ということで個人的に借り物競争が気になるし……試しに挙げてみるか。


「十円」


 て、ことで俺は挙げてみる。


「……」


 シーン……独壇場には変わり無いけど、なんだろう、この込み上げてくる寂しさ悲しさは。


「下之くん、決定ですー」

「はぁ」


 ……てか、やはり何故競り?


「続いて障害物リレー、一円から──」


 次第にノリを理解し始めたクラスメイトがノリはじめ、もしかすると普通に決めようとするよりも盛り上がって種目が決まっていった。

 委員長なかなか切れ者なのか……?


「そして二人三脚──」


 さて希望種目は最低二つ出なければいけないとして、運動は苦手というほどではないが好きではない俺としては疲れる長距離走は避けたい。

 そうなれば、借り物競争や二人三脚のような速度だけが求められないような種目を狙いたいところだ。


「「はい」」


 俺が手を挙げたのだが、それ以外にはユイと――ユキと姫城さんが手を挙げていた。


「……え?」


 




 という訳で、俺は借り物競争と二人三脚をやることになった。

 さて組むとすれば無難にユイかな、気心も知れてるし――なにより異性だけどまったくドキドキしないのは競技の精度的にポイント高い。


「全員二回は希望種目で手を挙げたようですね──では二人三脚と障害物リレーは二人一組なので、各それぞれ組を作って──」

「ユウジ様っ~!」

「!?」


 姫城さん、まさかのフライングスタート――して標的、俺。


「私と組んでください!」

「お、俺?」


 正直姫城さんとユキが妙に敵対している印象なので、角を立てない為にユイと組むつもりだったが……こうなるよなぁ。 


「ユ、ユウジ! 私と二人三脚やろ!」

「だ、ダメです! ユウジ様は私と組むんです!」

「やだ、私はユウジと組むの!」

「ユウジ様は私とですっ!」

「ううん、ユウジは私と!」


 ああ、美少女二人が俺を取り合ってくれるような状況……男冥利に尽きるものだ。

 しかしまさかこんな俺が取り合いになる日が来ようとは。

 浮いた噂のない、絶望に打ち拉がれる日々からは想像どころか妄想すら出来なかった。


 しかし男子が殺気立っているのが見えているのでほどほどにしてください、殺気で人をヤれそうな気がしてくるんだよマジで。


「ユ、ユ──」

「はい、うるさいので自由決めは中止です」

「「えええええええええ!?」」

「あ……」


 ユキとマイから大ブーイングだが、正直助かった。

 ここで選べと言われたっら俺は正直選べる気がしないし、選んだあとややこしいことになるのが目に見えていた。


「くじ引きです」


 するとそう言いながら委員長は、どどんと立方体の箱をどこからか取り出した。

 マジで委員長がグッジョブ部すぎる……これなら悔恨を残さない公平な決め方と言えよう。


「それではまずうるさかった二人三脚の四人決めてください」


 すまん。


「絶対私がユウジと組むからね、マイ!」

「それはこちらのセリフですよ、ユキ!」


 などと二人の間でバチバチと電流が走っていそうなイメージを思い抱きながらも――

 あれ? なんか違和感があると思ったら二人名前呼びになってるんだな、とか思ってしまった。

 ……俺から見るとあんまり仲は良く無さそうに見えるのに、親し気な相互の名前呼びはどういうことだってばよ?


 そんな中でくじが引かれるのだった――


「どうでもいいけどアタシ空気すな」


 ユイのことすっかり忘れてた。

 あの濃いキャラクター性もヒロイン二人には太刀打ちできなかったのだろうか、などとどうでもいいことを考えながら俺もくじを引いたのだった――

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