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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第八章 ※独占禁止法は適応されませんでした。
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第119話R √1-7 ※独占禁止法は適応されませんでした。

R版差し替え済み



五月二十一日



 私、篠文ユキはユウジの幼馴染。

 幼少期からの付き合いで、小学校も中学校も高校も一緒の気心の知れた男友達というか腐れ縁みたいな存在かな。


 ユウジという男の子は基本的には普通なんだと思う。

 凄い主張をするわけでもないし、かといって常に消極的かと言えば違くて。 

 それでも時折ドキっとされられることがある、多分それをユウジは意図してないし冷静になればなんてことはないんだけどね。


 ユウジのこれまではどちらかといえば優しい顔つきで、高校生になったらちょっと男らしくなったけど……まぁだからなんだと思ってしまうわけで。

 私はユウジのことを異性として意識したことはなくて、実際友達に「いつ下之っちと付き合うの~」「結婚報告まだー?」とか聞かれるけど、私はいつも――


『だからそういうのじゃなくて普通にユウジとは友達だよ』


 別にムキになるわけでもなく、至って平静にそう答える。

 そして友人もそう返してくるのが分かっていて、たまにする挨拶みたいな? 変かもだけどね。


 そう、ユウジとは友達。

 もしかしたら親友かも? 長い付き合いだしね。 

 でもそれ以上には考えたことなくて。


「(その、はずなんだけどなぁ)」


 最近ユウジを多分好きなんだろうなぁ、って子と知り合った。

 というよりもユウジとユイと高橋君をメインにちょくちょく入っていた私の輪に、入ってきたって感じなんだけど。

 たぶん悪い子では無さそうだけど、ちょっとやること・話すことがズレてそうな気がする……うまく言えないんだけどね。

 

 そう、私の幼馴染のユウジに彼女が出来るかもしれないのだ。

 これは友人として、幼馴染として歓迎するべきところだと思うんだよね。

 男の子として割と悪くないのに(・・・・・・)これまでどうしてかモテなかったユウジに春が来たとお祝いするべきだと思うのに。


「なーんかモヤモヤする!」


 なんだかモヤモヤするんだ。

 誰も悪くなくて、むしろ私が身勝手なだけなのに――面白くない!


 テスト前の、ホームルーム前の時間にお手洗いを終えて、洗面所で顔をにらめっこしていると――


「「あ」」


 隣に居た子と目が合った。


「おはようございます」

「お、おはよう」


 その子は姫城マイ――たぶんユウジが好きな女の子だ。


 お嬢様みたいな気品もあり、美人だし、それでいてスタイルが羨ましくなる位にいい……ユウジが触ったの、大きかったんじゃないかな。

 そして私よりも全然成績いいし……私が勝てるところって。


 いやいや勝ち負けって意味分かんないんだけど!? 

 なんで私は――


「そういえば篠文さんにお聞きしたいことがあるのですが」

「えっと、なに?」

「ユウジ様とどれぐらいの付き合いなのですか」

「つ、付き合ってないから!?」


 …………ハッ!


「? ちょっと言葉が悪かったかもしれませんね、ユウジ様と友達(・・)になってからどれほどでしょうか?」

「友達……」


 何故だろう、友人にはユウジは友達だと言いまわっていたのに――姫城さんにそう言われるとムカっとするのは。

 いやあ、そんな……私が変に意識してるわけで姫城さんは純粋な興味で聞いてきたに違いないよね――

 

「よ、幼稚園ぐらいからだけど?」

「なるほど、そうでしたか。その間に何もなかったのですね」


 絶対この子私に割と敵意向けてるよね!? 勘違いじゃないよね!?


「というか幼馴染だし、そういうのじゃないから」

「そうですか――なら安心して付き合えるというものですね」

「っ!」


 私の言葉と思いは食い違っているのかな。

 今まではちゃんとかみ合っていたはずだった、実際ユウジはいい友達だけど異性としては見れなかったし。

 でも――これまで偶然にもユウジを誰も異性として見ている子がいなかったのも確かで。


 だから私は――


「……付き合えるって、言うけどさ。ユウジはどう思ってるの?」

「…………」

「ユウジは姫城さんと付き合いたいと思ってるわけ?」

「…………何が言いたいのでしょう」

「身勝手なんじゃないかなぁ、幼馴染の私に気持ち聞いただけでそう――勝った気になれるのはさ」

「…………はぁ」


 私らしくない、そして姫城さんとしてもあまりにも理不尽な――私の八つ当たりがさく裂する。


「勝った負けたというのは良く分からないのですが。篠文さんは、ユウジ様のことが好きでないんですよね?」

「異性として見た事ないし! というかさ、ユウジ”様”って何? それ変じゃない? 様付けするってよくわかんないんだけど」

「……私の好意を向ける殿方をどう呼ぼうか勝手ではないのでしょうか」

「うん、勝手だけどさ――ユウジはどう思ってるのかなって」 

「あなたはどんな権限があってユウジ様の気持ちを代弁しようとしているのですか!」

「幼馴染ですけどー? 幼馴染を思うのは普通だと思うんですけど……!」

「な、なっ……」


 そうして私たちは激しい言い争いに発展したのだった。

 今思えば完全にケンカふっかけているの私で、完全に性格が悪すぎる。


 ただでさえテスト前でサツバツとした校内の、それも女子トイレの洗面所前では修羅場が繰り広げられていたというね……。


「大体姫城さんは表面上しか見てないかもだけど、ユウジはやる時はやるってずっと付き合いのある私は知ってるんだから!」

「そんなこと見ていれば分かります! そんな殿方と長い付き合いで好意を抱かない理由が分かりません!」

「幼馴染はそういうものなんですー!」

「見る目がないですね!」


 そしていつしかユウジについての言い合いになっていき―― 


「というか姫城”さん”付けして遠慮してたけど、なんか嫌!」

「奇遇ですね、私も篠文”さん”とはお呼びしたくありません」


 二人の主張が一致した結果――


「マイでいいよね!」

「ユキでいいですよね!?」


 良く分からない流れで私たちは呼び捨てで呼び合うようにあったのだった。

 ……そして後日クールダウンした私たちは、この時の言い争いを恥じるようにもなり。

 以後は出来る限り普通のクラスメイト同士、思いの差はあれどユウジと関わるもの同士の関係に落ち着くのだった。



*  *



「なぁ桐」

「なんじゃ?」


 テスト終わりに家に帰って来て部屋に戻って来れば桐が居た。

 出迎えてくれるのか、溜まり場にしているのか分からないが……まぁ幼女の見た目に似つかわしくなくスルメをしゃぶっているので後者なのかもしれない。


「ギャルゲーって俺の認識なら、なんか選択肢でルートが確定する気がするんだが。今、もう確定してたりするのか?」


 ギャルゲー、美少女シミュレーションゲーム。

 オーソドックスなものなら、プレイヤーに選択肢が提示され、それにより以後の展開が分岐していくというもの。

 分岐した結果、これまで登場したヒロイン複数人と付き合える可能性から絞られて行く……そう俺は考えていたのだ。


 だが現実に俺への選択肢が提示されるなんてことはなく、ただ時が流されるままに過ぎていく。

 しかし俺としてはなんとなく、今の世界におけるヒロインのルートが固まって来たと予測していたのだった。


「ふむ、確定しておるな」

「誰だったり、とか聞けるのか?」

「もちろんじゃ。そしてそのルートとは――わしじゃよ」

「嘘をつくな」


 確実にここまで俺サイドからはフラグを折ってきたのにルート確定とか、マジカンベン!


「むぅ、釣れないのう……まぁ、確定はしておらんが絞られてはきておる。すでにギャルゲーにおける全ヒロイン共通ルートは終えたと思っていいじゃろう」

「なるほどな」


 ギャルゲーには大抵共通ルートというのが存在する、まぁ枝が分岐していく前の太い幹のようなものといったところか。

 全ヒロインの共通ルートを終え、俺が考えていた通りにヒロインの候補が絞られて行く、というのは考えていたことで合っているようだ。


「ちなみに誰と誰?」

「わしとわしじゃが」

「お前二重人格かなんかなの」

「さて、どうじゃろうな」


 そんないつ回収されるか分からない布石みたいの撒かなくていいから。


「半分冗談はさておき、わしから明言は出来ぬが……お主もなんとなくは分かってきたのじゃろう?」

「全然分からないので教えてください」

「嘘をつくな! わしの二十の能力の一つこと嘘発見機”ラブデスター”でお見通しじゃ!」


 なにその花札会社が出してそうな電気式おもちゃ。


「少なくとも今殆ど関わっていないヒロインがヒロインレースに参加してくることはない……もうヒント言い過ぎじゃぞ、そろそろわしが規制されるぞ!?」

「ロリの見た目して時々際どいこと言ってるのは多少規制されてもいいと思う」

「倫理くん委員会の犬め!」


 そうこうしてなんとなく分かった。


 最近のあからさまな姫城さんとユキの俺を巡っての対立は――二人の共通ルートに入った可能性が考えられるということ。

 ということは俺はどちらかと付き合うわけか……こう、ギャルゲーの主人公じゃなかったら手放しに喜べたんだろうか。

 もっともギャルゲーの主人公じゃなかったら縁の無いことだったんだろうけどな……。

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