第436話 √b-21 神楽坂ミナの暴走!
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「あと、ユウジ! アタシはユウジが好きだああああああああああああああああああああああああああ」
体育館外へと響き渡るような、まるで叫びのような告白。
後ろにいるからユイの表情は見えず、この行動に何の意味を持つのか理解できない。
「「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」」
体育館が驚愕の声に包まれた。
俺は嫌な汗が背中やら顔やら首やらから凄い勢いで流れていくのを漢字ながら棒立ちしている。
ぶっちゃけ床に手をついて失意体前屈してしまいたい、家に帰りたい、消えてしまいたい、水に流れてしまいたい。
「……えー、ということで精一杯頑張りますので。生徒会副会長補佐の巳原ユイをよろしくお願いします」
そして何事もなかったかのように後ろに数歩下がって、紹介終わり。
…………。
「「フォローなし!?」」
生徒が全員ツッコミを入れた。
まあ当たり前だな、うん。
続けて「え、副会長への告白だよな……」「色々起こりすぎてどうしたらいいんだ」「ア、アイドル候補のユイたんが早速告白ですとっ!」
「え……下之くんって何者なの?」「余計副会長が怪しいわね」「巳原さん私好みだったのに、絶対に許さない」とにかく不穏で混沌が満ちていた。
「……ユウくん?」うわー。一年生・二年生・三年生の順番で必然的に前の方にいるミナがそんな風に口を動かして首をわずかに微笑んで傾けた……肩が震えてたり拳を強く握りしめてる辺り、虫の居所はよくはなさそうだ。
「ユウジ……」わあ。ユキがすっごい悲しそうな顔してる……あ、俺がユキを見たら俯いた。へこむわ、ガチで落ち込むわ。
「…………」アイシアの貫くような鋭い眼光と、というかすっごい冷めた目をしてらっしゃる。うわキツイよ、とってもキツイよ!
もちろん教師が黙っているわけでもなく、近くにいた教頭が怒り心頭に壇上に上がり。
「生徒会役員のあなた方! どういうことですかっ、このような私的なことで朝会を……え、なんですか暁さん? ……え、え? いや、それは……ダメです! ダメですから……はい、はい。わかりました」
チサさんと何か話したかと思うと顔を青くして粛々と戻っていった。
……ぶっちゃけ凄まじい人だよな、チサさん。あの空間で何があったかは知ると後悔しそうだ、うん。
「では続いて、同じく副会長補佐の姫城さんどうぞ」
と平然と次の役員紹介へ進行するチサさん、流石です。
次は……姫城か、なんか横目に見たチサさんが俯きがちだったのが気がかりだけども。
「生徒会副会長補佐の姫城舞です」
うん、彼女らしい平坦な口調でも通る声だ。このまま行ってくれれば……ってフラグ――
「――許嫁である下之ユウジ様と結婚する将来の為にも、生徒会の場でユウジ様と隙を見てイチャイチャしながらも様々な経験を得たいと考えています」
……うん? さりげなく、すごいこと言ってないか?
「生徒会副会長補佐の姫城舞……いえ、下之ユウジ様を誰よりも一番に愛する下之マイをよろしくお願いします」
ぱちぱちぱちぱち――
「「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!」」
またもや全校生徒規模のノリツッコミが盛大な拍手の後に入った。
「え、許嫁とかいうワードが入ってたよね!?」「イチャイチャって……」「ぬわーっまたもや副会長下之かぁっ」「姫城さんからこんなに色々な言葉を聞くことが出来るなんて、だが下之許さぬ」
と、端々から俺に視線をぶつけながら体育館は再びざわつく。
「オイ副会長屋上に行こうぜ……久しぶりにキレちまったよ」「下之うらやまぬっころす」
あーもう、どーすりゃいいんですかねえ!
「………………」
教師が示し合わせたかのように生徒の暴走は止めようとするけども、生徒会には何も言わない。
……生徒会>教師陣なのな、チサさんの存在が恐ろしすぎるわ。流石にこれで打ち止めだよなー……って、あれ?
「(クランナ?)」
「二人ともインパクトがありましたわこれでは私のインパクトが一人だけ足りずに役職から降ろされてしまうかもしれませんどうにかしなければどうすればいいのでしょう何か衝撃的なことをなにか――」
隣のクランナさんが不穏すぎるんですが! 頭を抱えて目を回しながらそんなことを呟いている、ヤバイこれは止めないと!
「クラン――」
「続いて、同じく副会長補佐のオルリス=クランナさんどうぞ」
ジャストタイミングゥ!
俺の声が届く前にマイク音量越しのチサさんの声が響く。ああっ!
ガチガチのロボット歩きで壇前へ歩を進めるクランナ、緊張のしすぎて変なことを口走りませんように!
「え、えと副会長補佐のオルリス=クランナです!」
ああ、完全にテンパってるわコレ。
「私が副会長補佐となったのは副会長である下之君と前世で恋人同士だったからなんです!」
デンパってるー!?
一番真面目な志望理由のクランナがまさかすぎる!
「そうです、前世の私はユウジとはラブラブでした! 卵焼きとか作ってたと思います! ユウジを一目見た瞬間から胸を貫くような衝撃を受けました! なので今同居しているとドキドキしてしまいます!」
おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!
「前世の記憶を取り戻させて、私との仲を修復させていただきますから覚悟するといいですわユウジ! ホッホッホッホッ!」
顔を真っ赤にしながら振り向いて指を俺へとズビシと向けながら、宣言するクランナ。
たまに出る高飛車姫様タイプの口調がモロに出てるっす。三人からよりにもよってこの場で告白っぽいことをされた俺。
「「またあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」」
またまた衝撃発言に一同ツッコミ叫ぶ全校生徒。
それぞれのコメント抜粋は……勘弁してください。
さすがに無理。俺は失意体前屈をさせてもらうわ――orz。
朝会終わりの一時限目寸前の俺はクラスメイトの視線を一斉に集め、女子からは侮蔑の目を、男子には喧嘩を何度もふかっけられたのは言うまでもない。
ああ、誰か助けてくれ。
* *
どうもナレーターです。
いやー衝撃的でしたね……で、片づけられませんよ!?
なんですか、さっきまでの怒涛のハーレム作品でも有り得ないような展開は!
近くで聞いてた私は思わず苦笑ですよ、ええやってくれましたよヒロイン三人方は。
もちろん、それを聞いたのは全校生徒なわけです。
井口も聞いているわけですね、一応ライブ放送でミユも見てるそうです……どうなるんでしょうね?
三人以外にもユウジに何かしらの意識を持っている方はいるわけで。
「…………」
神楽坂ミナ、元ユウジにとっての姉貴でありミナの彼女はどこか無表情でユウジを見つめます。
「……やっぱりそう、だよね。でもこんなに早いなんて」
篠文ユキは俯きがちになって、頭を抱えています。
さまざまな想いが交錯し、中心に据えられたユウジは今後どうなってしまうのか!
目が離せませんね――
……私個人的にも離す気はありませんけどね?