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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第十四章    ミナの暴走!
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第417話 √b-3

もうちょっとスク水の描写に凝りたかったなあ

 なんというかこの藍浜高校入学式を控えた春休みは色々なことがありすぎる。

 更にはホームステイだ。知らされたのはなんと数日前、空き部屋の整理や掃除にホニさんやユイに姉貴と奔走していた。 

 で、とりあえず来た外国人二人の日本語達者ぶりに一安心したものの一体どういう風に接すればなかなかに思考を巡らせていたのだった。


 ――あのクランナやアイシアへの対応は素じゃないからな? そこまで俺は出来ちゃいない。


 そういう訳で二人の入居初日の夜。自分の部屋に籠っているとクランナが色々と聞きにくるので、ぶっちゃけ心が休まらず。

 メモ帳片手に頷く彼女は、外見のお嬢様お嬢様とは裏腹に事こまやかで律儀で真面目で意外で少し微笑ましかったけども。

 その一方でアイシア……名前で呼べとはいうものの、彼女についてはよくわからない。

 冷たい目で見られていた時は敵視されているというか、会った際に頭を下げることには下げるのだが、明らかに睨んでくるみたいで。

 温かい目で見られている時もあり、その時はなんだろうか……ねっとりとした熱い視線をただ感じた。


 クランナが分かりやすい一方でアイシアのキャラがまっっったく掴めない!


「前途多難だな……」


 女性陣の風呂が終わったところで、俺も入浴するも何故か人目を気にして早々風呂をあがり部屋に戻る。

 メンタル的に疲れ始めたので、思い切ってネットサーフィンもアニメの視聴も止めてベッドに体を投げ出した。


「はぁ」


 時間はおおよそ二十時を回った頃だ、ホニさんや桐に至っては眠っている時もあるだろうそんな時間だ。


「入学式は……六日だっけな」


 時計の今日の「三日」という数字を見て春休みもあと少しだということを改めて理解する。

 ……ユキやユイにマサヒロとは同じクラスだといいんだがな。


 ちなみにユキこと篠文ユキ、彼女はつい最近俺の幼馴染になった女の子だ。

 それは桐にも言えることで、桐に至ってはつい最近俺の妹になった。

 ホニさんやユイとは違って、明確な出来事があるわけでもなく――彼女たちは、幼馴染に妹になった。


 そしてそんな桐に真実を知らされた。


「俺が主人公――ね」


 現実と俺の起動したというゲームのハイブリッドな世界で、俺は主人公になってしまったんだと。

 確かに三月の終わりに俺はゲームを購入し、起動した――らしい。

 らしい、というのは記憶にその事柄はあるものの……ひどく現実味がなく、そして猛烈な違和感があった。


 まるで本当はそんなことなんて無かったというのに、無理矢理に言いくるめられて納得させられたような。


「で、ユキも桐も架空の人物……と」


 でもその二人がいるという事実に違和感がなかった。最初からいたような気もしてくる。

 まったくもって不思議な感覚だ。

 

 そう思いに耽っていた頃、俺の部屋のドアがノックされた。


「……はい? どちら様で――」


 言い終わる前にドアノブが回る。

 桐か? でもクランナやアイシアの場合もあるからな……一応だ。


「えと、勝手に入らないでくれると――」


 俺が体を起こしてドアの方を見ると、アイシアが音もたてることなく入ってきていた。

 そして俺が体を起こして呆然と見上げるような形になるまで彼女が近づいて止まる。


「…………」

「アイシア?」


 その名前を呼んだ瞬間に、


「変わっていいんですよね? ――私はこれ以上だと――うん――じゃあ変わりますね」


 独り言を、まるで誰かと話すようにつぶやいた。

 ちなみにその時のアイシアはどことなく冷たい目だ。



「ども――アイシアです!」



「!?」

「もう一人の私が冷たい態度でゴメンね? 私は違いますよっ!」


 あ、何か変わった。てか変わりすぎだ!

 で今のアイシアは温かい目の時のアイシアに似ていた。


「ということで、失礼しますね――」

「っ!?」


 彼女は制服姿だった、そしてなぜか脱ぎ始めた!?


「ちょ、ちょっとアイシアなにやってんの!」

「ふふ、ユーさんもこれで虜ですね」


 聞いちゃいねえ! そしてセーラー服をあっさりと脱ぎ捨て……る音を目をつぶって聞いている俺には想像できた。

 ……さらにはチャックが下がる音っ!? こ、これはスカートだったりするのか……?


「目を開けてください、ユーさん」

「いやいやいや無理だから! 何してるのかわからないけども、てか何してるんだよ!?」

「音通り、脱ぎです」

「……部屋間違えてるとか?」

「いいえ、ピンポイントでユーさんの部屋です」

「……疲れてるよな、今日はゆっくりと休んだ方がいいぞ」

「はい、ではここで」

「はいっ!?」


 会話が成立しているようでこのお御嬢さん、していないぞ! 


「あ、お姉さん」

「マジか!」


 俺は咄嗟に目を開いた、だってそりゃ姉貴にこの状況を見られたら――どういうことになるのか想像はつく。

 とにかくヤバイ。


「…………って、ええっ!?」

「下着姿だと思いました? 残念でした」


 いや、あの……さ。そ、その恰好は……



「ユーさん大好きなスク水ですよ」



 そこにはスタイルの良さが非常に浮き出る、紺色の水着に沿って体のラインが現れ――

 そして一瞬見惚れた瞬間に俺の視界が揺れ動いた。 


「いいですね……こういう体勢は興奮します」


 先ほどまでドア方向を見据えていた俺がまず先に見たのは天井で、そして腰当たりに感じる重みの違和感と共に首を動かすと。


「なっ……!?」


 スク水姿のアイシアが俺に馬乗りになっていた。

 え、俺は動揺に動揺を重ねて――


「ということでユーさん、しましょう?」


 そのアイシアの瞳は潤んでいて、月明かりに照らされる美麗な紺色のシルエットと上気した肌。

 俺の動揺と、理性との戦いは熾烈を極める。

 何かの間違えだと、アイシアがそのノースリーブとなった細くて白い腕を伸ばして小さい手を俺の胸板を這わせているのも冗談の一つだと。

 それを聞きたくて、


「……な、何を?」


 ここでドッキリと言ってくれたら、どれほど楽になるだろうか。

 よりにもよって彼女の姿はスクール水着姿で、それも背も高すぎず低すぎずで体は丁度よく引き締まり。

 胸は俺の周りの女性からすると小ぶりだが、水着越しにその形の良さは理解できてしまう。

 さらにはそのさらさらと輝く銀髪と燃えるような鮮血のごとく赤い瞳と日本人とは違って高くすっと通る鼻筋がどこか幻想的な要素を醸し出して。

 それが月明かりとスクール水着と組み合わされたことで――それはもう抜群の攻撃力を誇っていた。

 心の内で願う、どうか間違いであってほしい。


 間違いでなかったら、自分を抑えられる保証がない。



「性的なことです」


 

 妖艶な笑みで語りかける彼女を見て、意識が飛びかけた。

 ああ……もう色々な意味で死にそうになってくる。


「ユーさん、私ではダメですか?」

「だ、ダメに決まってるだろ! こんなホームステイ当日に、誰とも知らない男に!」

「いいえ、私は知っているんです」

「そうはいっても……もっとよく考えた方がいいと思うぞ」

「考えましたよ。未来で……ずっとずっと」


 み、未来……?

 その時俺はあることに気付いた。こうあまりにも彼女と密着しているから分かったのかもしれない。


「私はあなたのことが――」


 そう言いかける彼女の口を起き上がって、手を伸ばして塞いだ。


「ダメだ」

「っ」


 彼女は驚愕していた、どうして私は拒否されたの? そんな表情だった。

 俺は彼女の口元から手を放して、



「……震えてるぞ?」



「あ」


 彼女はそう何かを言おうとした時から少し前ぐらいだろうか、彼女は震えていたのだ。

 ――それはおそらく緊張でも恐怖でもなく、ある種の拒絶。


「そ、そんなこと――」

「もう一人の彼女か、そしてお前自身もまだ……なんじゃないか?」

「っ!」


 俺が言ったことは、まるで図星だったかのように言いかけたことを続けようとはしなかった。

 彼女はどこか嫌がっていた、この俺への行動に。

 しかし彼女は、


「……うふふ、ふふふふふふふふふふふふふ。ユーさんは奥手ですねえ、本当に。ああ、苦労しますよ本当に」

「…………そりゃそうだろうな」


 彼女は自分がそんな挙動をしていないように振る舞いひとしきりに笑って、そう言い訳するように言葉を並べてきた。

 まあ彼女の言い分については、勿論手を出しづらい女性ばかりなのはあるし、でもやっぱり――



「――そんなに、あの幼馴染さんとのことがショックですか」



 頭を殴られたような衝撃が走った。


「な――」


 なんでお前が、そう続けるつもりだった。



「ユウジさん! あぁっ!」

「ユウジ、お主はわしのものだと言ったであろう」

「本当にエロ……ぬう、何故か面白くない」

「ア、アイシア何をしていますのっ!」

  

 

 部屋に聞こえる突然の女性の声多数。


「ユ、ユウジさん……そうなんだ。そうなんだ」

「そこの未来銀髪、そういう行動は許せないのう?」

「…………ぬ」

「そ、そんな……は、破廉恥な恰好をなぜしておりますのっ!」


 ホニさんは跪き、桐は半ギレ、ユイは不機嫌そうで、オルリスは顔を真っ赤にして指をアイシアへと指している。


「あはは、見つかってしまいましたか。このユーさんと私はこんな関係です!」

「おいっ!?」


 と、アイシアはそんなことを高らかに宣言した。


「だめええええええええええええええ、我にとってユウジさんはユウジさんはああああああああああああああああっ!」

「ほう、ならば奪い取るまでじゃな」

「ア、アタシもなんか面白くなーい! キャストオフっ」

「――ちょっとみなさん!? って、えええええええっユイさんの眼鏡の下はそうだったんですのっ!?」


 ホニさんが涙目で俺へとダイブし右腕を抱かれる、桐もいつの間にか俺の近くにやってきて俺の右足を抱いた。

 ユイは……てかお前誰だ!? なんか可愛いショートカット子が俺の左足を掴み、何が起こっているのかわからないようで混乱しながらもクランナが俺の左腕を抱く。


 …………どういう状況だコレ。


「愛されてますねー……ライバルは多い方が興奮しますから」


 そう部屋に入った当初のテンションに戻ったアイシアが前のめりに倒れるようにして抱き着いてくる。


「「「「ああっ!」」」」


 アイシアのその大胆な行動に女性陣が声をあげた。


「だ、だめ! ユウジさんの胸の中なんて……我だって味わったことないのに! ユウジさんは我のっ」

「……わしもロリでなければ今頃は。ユウジはわしのものだと決まっておる!」

「あぁ! 何アタシやってんだろ! でもなんか面白くなーいっ、ユウジはアタシのだ!」

「訳がわかりませんが、ユウジは私のものですわっ?」


 …………俺はどんな反応すればいいんだよと!

 この場を逃げようにも四伎全ホールドな上に、胸板越しからはスク水の薄い布越しの柔らかで暖かな感触とともになホールド。


 ああ……もう色々な意味で死にそうだ。誰か助けてくれないかねえ?


 そう改めて思った瞬間だった。



「ユウくん、女の子と遊ぶのもいいけど早く寝ようね」



 俺はその声の主に気付くと、俺の部屋のドア部分には人影が。


「あ、姉貴……」


 姉貴が、こっちに向かって顔を向けながら特に怒っているわけでも悲しんでいるわけでもなく、至って普通な表情をして言った。それがこの状況では逆に寒気を感じさせた。

 真っ先に感じたのは、その反応は”いつもの姉貴”として有り得ないだろうと。


「「「「「…………」」」」」


 その姉貴のいつもの表情なのに、どこか醸し出す謎の迫力にあのアイシアでさえも沈黙した。

 

「皆も早く寝なきゃダメだよ?」


 全員が力強く頷いた。


「じゃあ、みんなお休みなさい」


 そう言うと何もせずに姉貴は去っていった。

 去った途端に俺の拘束が緩み、各々呟き始めた。


「……ミナさんが反応しないなんて、すっごい怒ってるのかな。心の底から怒ってるのかな?」

「ミナが何もしないじゃと……何かの予兆か、ここで食いつかないミナとは……恐ろしすぎる」

「ミナ姉がユウジに特別な反応を起こさないなんて……な、何かが起こるのですか」

「……よくわかりませんが寒気がしますわ」

「……怖いお姉さんですね」


 俺の姉貴をなんだと思ってるんだ。


 ……いや、まあ否定できないけども。

 そういや、


「(俺をサクラとミユが取り合いになっていた時は遠慮なく突入してきてたな)」 

 

 姉貴だったらここに突入してさらにかき混ぜる……はずだった。


「姉貴……」


 ……何かあったのか?

 俺はそれまでの出来事も吹っ飛ぶくらいに様子の変な姉貴がとにかく気になった。


 そして、これから言い知れない悪い予感をひしひしと感じ始めることになる。 

  


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