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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第十三章 気になる彼女はお姫様で未来人で。
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第401話 √3-53 気になる彼女はお姫様で未来人で。

 どうもアタシだ、ユイだ。

 アニメもギャルゲーも大好きなオタクッ子で、藍浜商店街の品揃えの良いゲーム店こと「キッド」でお宝荒らしをする一方で、最近忘れがちだけど女の子情報を集める設定があり、グルグル眼鏡がトレードマークの地味系☆女の子っぽい生き物。

 しかしてその正体は――


「ユウジのセカンド義妹、好きな体の部位はふとももな下之ユウィっ!」


 起きて早々決まる――はずだったのに最後の名前で噛んだ。

 てかさりげなくユウジの名字も名乗ってみたり、一度は下之と名乗ってみてみたかった!

 ってことはどうでもいい、変態淑女の朝は遅い。それはもう家で最後を桐ちんと争うぐらい。


「おはよーっしゅ」


 アタシが居間を訪れるとミナ姉、ユウジ、ホニさん、桐が集まっているはず……だった。


「ん、ユウジは?」

「あ、ユウくんは――」


 飯時でいないということは……トイレか?

 ふーむ、一応いつもはアタシが待たせているから朝食も待ちわびるとしよう。



「隣町に出かけていっちゃった」



「……ん?」


 隣町? あれー、今日平日だよねえ。


「あー、きょう休みの日だったか……それならもうちょっと寝よう」

「ユイ! 今日平日だよ、日曜祝日じゃないよ!」


 ホニさんにそう呼び止められるも、ではではなぜ?


「ユウジはどこにいったんです?」

「ミナの言うとおりじゃな、ユウジのヤツめ」


 桐はそういう……ということは、だ。


「サボリだとぅ!?」

「そういうことになるよね……」


 ホニさんが苦笑い。

 

「しかしユウジが何故にそんなことを」

「隣町のゲーム屋に行くって言ってたよ?」


 ミナ姉はそう言うのだけども……こんな時間から? そりゃまあ、途中で学校を抜け出すのは面倒だけども。隣町の「ゲームマニアック」は十一時開店のはずだし。

 というか今日発売のゲームってなんだっけ、最近チェック怠り気味だけどあったっけなあ? てか「キッド」でバイトしてるアタシには良い挑戦状だ。

 いやまあそれ以前に、


「ミナ姉……なんで止めなかったんです?」

「ユウくん、真面目だから。一日ぐらいいいかなーって」

「何か賄賂とか貰ったんじゃないですか?」

「……べ、別にユウくんが”姉貴に免じて頼む、姉貴大好き”ってメールを貰ったからって訳じゃないんだよ?」


 そう否定しておきながらも携帯画面に映し出されたメールの文面を見せ付けてくるっていうのは、もうあからさまってレベルじゃぬえ。隠す意思はおろか晒す意思しかない。

 ……ふぅん、七時二分か。やっぱり行くの早いよなあ。

 なになに……ああ”弟として”ね。まあそんなことだろうとは思ったけども。


「まあ、ユウジはああ見えて真面目だし……一日ぐらいいっか」


 なんて思ったのが、じつーは間違いだった。




「え、ユウジ休みなの?」

「まあぬ、ちょっと用事があるとかで」

「ふぅん……? 病気とかじゃないよね?」

「大丈夫、まあいわゆるサボタージュだぬ」

「サボリ? ……ユウジがそんなことするなんて珍しいね。ミナさんは何も?」  

「うん、たまにはいいかなって」


 副会長がそれを言っちゃダメだとは思うんだけども。





「ユウジ様がお休み……帰ります」

「いやいやマイさん!」


 マイさんにそのことを離すと驚き、しゅんとして、気力がダダ下がりなのが見ていて分かった。


「ユウジ様のいない学校生活など無意味です。料理の載っていない皿なのも同然です」 


 ニンジンがないカレーとかの例えなわ少しは分かるけども、それじゃ只の皿っすよ。


「……わかりました、それではユウジ様の教科書を拝借してきます」

「え、なんで?」

「香りを楽しみます」


 匂い付き消しゴムじゃあないんだからあ。


「紙と髪の匂いがします……」

「……さいですか」


 マイさん幸せそうだしいっか。

 するとアタシの携帯がぶるああと鳴った。始業のチャイム寸前の頃にメールの文面を見るに、


『紳士速報』


 というタイトル。

 これはアタシが女子情報入手の為の情報網の一つ。言ったであろう、アタシには女子に対する情報網があると?

 ちなみに紳士速報に参加するのは何故か全員女子となっている。まあウチの学校多いんすよ、同性――


「なになに」

『一年四組オルリス=クランナ、一週間休み確定』


 クランナが? それも一週間、しかし明確に期間が決まっているのかあ。

 更に携帯がわかもおおおとおおおと鳴った。朝のホームルームが終わった頃に着信したメールのタイトルは、


『少女マガジン』


 これは以下略、アタシの情報網の一つ。またしても参加するのは全員女子。


『オルリス=クランナ商店街入口で誰かを待ち合わせ、AM六時五十五分確認』

『オルリス=クランナ商店街入口から消失、AM七時五分確認』


 というメールのもの。

 そして思いだすのはミナ姉のメールの着信時刻。

 

「……あー、ジャスト?」


 ちょっと時間がねえ? 重なりすぎているよね。

 ユウジがメールを寄こした時間と、そんな同じような時間にクランナが商店街入口にいるという。


「考え過ぎだよな」


 でも、最近あの二人仲良かったしなあ。

 ユウジも下心はないって言ってもなあ、ちょっとした恋愛


「藍の逃避行?」


 藍浜町だけに……スマン、なんでもないっす。



* *



 どうもナレーションです。

 私が出てきた意味分かります? そうです、ユウジ出せないんですよ。なにせ学校にいませんし、更にはここで自語りする為の人材がいないんですよ。

 そうですよ、どうせ私のナレーション用途はコレぐらいですよ!


 あ、ちなみにここまで全部台本です。私は別にナレーションが減ればその分ナレーションに割く時間が減っていいですし。

 まあでもナレーションしますね。


 舞台は一年四組、クランナのクラスです。

 教壇に立つ女性教師が、


「今日からクランナさんは一週間家庭の事情でお休みします」


 とクラスに言い伝える。ちなみにこの時にクラスの女子の一人がとあるメールを配信したのは言うまでも無い。

 で、ちょっと影薄いと言うレベルじゃないですが、クランナには友人がいるんですよっと。

 岡小百合。そう、一番クランナと最初に知り会った方ですよ。


「一週間も休みとか、いきなりだな」

「そうですね、何かあったんでしょうか」


 ちなみに岡と話しているのは滝川という男子です。初登場以来名前も出ていない残念な人ですねー

 

「……そうですか、クランナさんは休みですか」

「岡?」


 滝川が岡を見ながら疑問に思うようにいったのには訳があり、その岡の表情というか喋り方が違和感があったからです。

 何処か感情を失くしたような、淡々とした物言いで。


「滝川さん、どうかしました?」

「いや……なんでもない」


 そして彼女は今まで通りに戻る。

 しかし誰にも聞こえないような声で。



「待っていてください、オルリス」



 その時の彼女は、どこかそっと口の端を吊り上げてニヤリと笑いました。

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