第397.5話 √3-49.5 気になる彼女はお姫様で未来人で。
一日更新六回目! 今回で流石に休ませてorz 今回は総集編みたいなものです。タイトルはこれで完成ー
それは暗い部屋、液晶の明かりだけが頼りの闇の中には、一人の女性の姿がある。
その女性は、何かが映し出される画面を凝視している。その表情は――
『――ということで、クランナに未来のクランナが憑依しました』
「…………はい?」
ポカンと口を開けて、唖然としていました。
「え、どういうこt? なに未来のこの人が、この人に……?」
『そういうことですね』
「というか何なの! 全く積み重ねとない女とユウ兄が付き合ってたのも見たし、誰ともくっつかないバッドエンドみたいなもののも見せられたんだけど!」
『それらは”イフ”の物語です。下之ユウジがクランナと付き合うことなく、井口と付き合う可能性も誰とも付き合わない可能性もあったということです。ただ、今回の正史ではクランナの物語ですので――二つはなかったことになりました』
「それは……ユウ兄は知ってるの?」
『いいえ、知っているのは私たちと一部だけでしょう。そうですね、ついでに現在の状況をまとめてみましょうか』
この世界は、下之ユウジが起動したゲームによって二〇一〇年四月一日から二〇一一年三月三一日までが延々と繰り返す世界になってしまいました。
それを元に世界に戻す為には、起動したゲームことギャルゲー「ルリキャベ」の、現実に現れたヒロイン達と付き合う。いわゆる攻略を進め、全員と付き合うことで解消されます。
ヒロインはパッケージでは一〇人ということになっていて、現在分かっている方たちで出会い順から「ユキ」「桐」「マイ」「ホニ」「オルリス」となっています。
「マイ」「ホニ」が攻略完了していて、現在は「オルリス」を攻略中。残り五人は候補こそありますが断定することは出来ません。
「マイ√」ではマイの家庭事情を主軸の置いて、憧れから恋に変わり、恋は大きな愛に変わった物語でした。
「ホニ√」ではホニが神様であることから、ある組織に消されそうになるのを守っていき、次第に双方に恋心が芽生え、ホニが体を借りている相手の「ヨーコ」が現れ、そしてホニが消えてしまう物語でした。
しかし、このまま「オルリス√」続くことはなく。私が憑いているゲーム「はーとふる☆でいずっ」をミユが起動したが為に、ユウジのゲーム起動と同じ現象が起るのですが、それが「ルリキャベ」と「はーとふる☆でいずxty」が混在してしまう事態が発生して、始まったのが「ユイ√」です。
「ユイ√」はオルリスの√こそ辿りませんが、従うイベントの類似が見られ、今行われている「オルリス√」とも話が似ていることが分かります。
「ユイ√」は元もと「はーとふる☆でいず」のシナリオを一部参照することになるはずだというのに、実際に展開されたのは「ルリキャベ」のシナリオ。これが混ざり合ったことで起った異常事態なのです。
その後下之ユウジは、桐によって封印されている「それまでの記憶」が深層心理で拒否反応のようなものを起こし「これ以上自分は女の子と涙を見て、付き合いたくない」罪悪感から来る、拒絶を見せて世界が凍りついてしまいます。
その間下之ユウジは今までに攻略したヒロイン達のその後を描くような妄想をして、その世界感に閉じ込められつつあったところで、自分だけは下之ユウジの妄想の中に入れるホニは、なんとか下之ユウジを覚ますことに成功。
そして訪れたのが現在の「オルリス√」ということになります。
現在それぞれのキャラクターの状況ですが。
桐、ホニ、ミユ、私ことユミジの恐らく四人は今までのことを忘れないようになっています。
桐と私は「ルリキャベ」が起動してからずっと全てを覚えています。
桐が現実で行動出来る体を持っているのに対して、私はもともとレトロゲームのキャラクターとして登場したが為に平面にしかならなず画面内にしかいれません。パソコンやゲームなどにいるのはどういうわけなのです。
ホニは本来は記憶を失くすようになっているヒロインの一人なのですが、私がちょっと細工をしてホニが攻略された物語からはなにもかもを覚えているようになりました。
ミユは本来は記憶をなくすようになっている現実世界の1人なのですが、彼女がゲームを起動したことで「プレイヤー」となり本来なら下之ユウジと同じように記憶を固持するようになりました。
その他のヒロイン勢だと、会長と書記が謎のポジションですね。
覚えている描写がある時もあれば、ないときもある。もしかすると、一定の条件下で記憶が復活する方達なのかも。
一度だけ桐と連絡らしいことを取っていたの見かけましたし……一体どのような関係なのでしょう。
会長・書記はヒロインに指定されていないと自虐していましたので除いたとして。
「福島」はどうなるのでしょうか? それに、ホニさんを消す為に現れた、同じ学校同じ学年に通う「ヨリ」もどうなのでしょうかね?
一番下之ユウジと距離が近い「ユキ」とは未だに、時折ユキ側からアプローチがあるだけで何もありませんし……うーん。
あと気になるのが「はーとふる☆でいず」のヒロイン勢ですね。
一人が下之ユウジの友人である「ユイ」が選ばれた訳ですが、あと……三人いるはずなのです。
もし下之ユウジに近くにいる人物にそれが適応され、もしかすると「ルリキャベ」シナリオを交互に展開されるというなら……「オルリス√」終了後はこちらに来るはずなのです。
ネタのように思える最近登場した「タイムマシン」と「意識を投影すするウンタラカンタラ」ですが、実は結構な鍵なんじゃないかと考えています。
「ルリキャベ」のシナリオは桐しか知らず、桐も喋れないようなのでどうしようもありませんが……少し思うのです。
それに気になるのは下之ユウジそのものですね。
ゲームのシナリオを妨げる、現実における過去に何か深手を負っているようで。
そのせいでこのミユも引き籠り「サクラ」という下之ユウジとミユにとって人物も去ってしまったと。
というか今更ですが振られたんですね、下之ユウジ。
『――という状況ですね』
「……ゲームのヒロインが現実に、かあ。でも……ん?」
『どうかしましたか?』
「いや思うんだけどね……」
『はい』
「ヒロインが現れる前にいた人たちはどうなったのかな」
『…………』
今四〇〇話を目前として、その当ったり前な疑問を頂きました。
容姿に性格に、家族構成などの設定含むプロフィールはどう変化したのでしょうか?
それとも、そこにいた人はなかったことに……?
「でもユイって人がヒロインになったって考えると……もしかして”人は変わって無い”とか?」
『どういうことですか?』
「つまりはゲームの設定を、元からいた人に植え付けただけとか」
『それではユキやマイは突然アイドルと呼ばれるようになったことになりますし』
「ほらダイヤの原石? とか、魅力を出し切れてなかったとか」
『それはあまりにも調子が良過ぎます、そもそも素体の良過ぎる女子が下之ユウジのクラスに集中しすぎでは――』
「あ、ごめん。カップ麺できたから食べるね」
『え、ちょっと――』
…………当たり前のことなのに、なぜ抜け落ちていたんでしょうか。
もしかすると、そう気付かないようにする陰謀が……!? ないですね。




