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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第十三章 気になる彼女はお姫様で未来人で。
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第397話 √3-49 気になる彼女は○○○で未来人で。

一日更新五回目!

「ちょーっとまって……もしや手の施しようのない?」

『私はおかしくなどありませんわ、分かるでしょう? この喋りから伝わる色気が』

「いや……声そのものは変わらないぞ?」

『ちょっといつものクランナとは違うなー……とも思っていませんか?』

「いや、そりゃ疲れてるんだよな……救急車呼んだ方が――」


 俺は彼女の様子が変な事に焦って、携帯を取り出していた。しかしその開いた携帯を彼女はすっと閉じてくる。


『そんなことをしていては……時間がなくなってしまいます』

「時間……?」


 クランナの顔を見れば焦燥に満ちて、どこかすがるような表情をしていた。 


『私は、この六日間で……理想の方を見つけなければなりませんの』

「いやだから、そもそも未来から来たってのがそもそも――」

『――あの、最初の出会いであるセクハラ。巳原さんとの追いかけっこの末のことだったのでしょう?』

「っ!」


 この事柄は、俺しか知らないはず。

 ユイはのことを覚えていないだろう。そもそも俺が嫌われる要因であることなどユイは知らないのだ。

 もちろんセクハラの事実を知る者は、いくつかいる……だけどもそれがユイを追った上での不可効力と知る者はいないはずなのだ。


「なんで……それを?」

『今から少し未来の私が聞いたことですから』


 それでも未来から来たっててのは……それとも桐とかチサさんみたく心が読めるとか?

 いや、まさかな。そんなにチートキャラがいられたら、ゲームバランス崩壊必須だろうに。

 ……一応信じておく。


「じゃあ、なんで倒れかかったんだ? 今が未来のクランナなら、さっきまでのクランナは?」

『一気に聞き過ぎですわ……彼女が倒れたのは、意識が入れ替わったショックのようなものです。そしてその彼女はちゃんといますわ……少し体を使わせてもらっているだけで』

「さっきまでのクランナは、大丈夫なんだな?」

『戻してみますか? でも、その前に聞いてほしいのです。私が未来から来た理由を』


 一気にファンタジー化したけども……ここは合わせる方がスムーズに事が進みそうだな。


「で、未来のクランナさんのご用件は?」

『まぁ、他所他所しいですね。この時の私はオルリスとお呼び下さい』

「いや……いいのか? 名前じゃないか?」

『いいのですわ、さあさ』

「あー、えー……オルリス?」

『はい、オルリスです』


 そう言って、からかうような大人びた笑みを彼女は作った……本当にさっきのオルリスとは印象が違ってくるな。


『それでですね、私は――』


 彼女曰くだ、



『六日間の内に、契りを結ぶ殿方を見つけたいのです』



 ……それは。


「結婚相手探しってことか?」

『そうですね』

「そりゃま六日間とは結構に無茶な……」

『なので、ユーには手伝ってほしいのです』

「そういやその呼び方は……未来のクランナがやってたことなんか?」

『そうですよ、気に入りませんか?』

「いや、いいんだけども……なんてーか慣れないからさ」


 クランナにそう呼ばれるのは、なんか新鮮で気恥かしいな。

 と、照れていると。さりげなく彼女は衝撃的なことを抜かした。



『慣れて下さいね……生憎私は、ある国の姫なばっかりに政略結婚を迫られているのです』



「は?」


 ねえねえ、改行二つ分で挟めば衝撃発言だと分かるように演出してるんだけど、こんなに短期間に二つっすか!


「え、姫? プリンセス?」 

『フィール国の姫……正確にはオルリス=フィールでもあります』

「名字に当たる部分は偽名を使ってると」

『そういうことになります。でも彼女はこれまで通りクランナとお呼び下さい』

「ああ、了解した」

『それでユーには手伝ってほしいのです。私が六日間で素敵な殿方を見つけ出せるように』

「俺が手伝えることってなんだよ? 少なくとも俺の交友関係は――」

『ユーの周りは女性ばかりですからね』


 あれ、オルリスの機嫌が突然に悪くなった気がする。笑顔なのに、ちょっと内に秘めている気がするんだが!


『それでも、あなたと行動すれば何かあるかもしれません……私は迷いやすい体質ですから』

「お、方向オンチなの認めたのか」

『方向オンチなどではありません! す、少し他の方と比べる迷いやすいだけなのです』

「はいはい」

『むっ、信じていませんね。これでも城の中では迷う事はなくなったのですよ』

「城っていうと、オルリスの国の暮らしてるとこか? 広いだろうし、そりゃ凄いな」

『当然です、これでも二十数年間も過ごしているわけですから――あ、今のは忘れて下さい! これは大きなヒントになってしまうではないですかっ』

「ははあ、オルリスはまだその頃独身ってことか」


 そう、俺はニヤリ笑いながらオルリスを眺めると。


『っっっ! 忘れて下さいっ、忘れることを要求しますわっ!』

「はいはい、もう話題には出さないから」

『わ、忘れるつもりはないんですのね』


 がっくりとうなだれるオルリスは、ちょっとばかし可愛く面白かった。


「まあ……姫だから、そう簡単にも出来なかったんだろ?」

『そうですわ、それにこう結婚相手を過去に来て探すことには理由もあるのです』

「確かにな、まあそのオルリスの頃でも正体を隠せば出来ないこともないからな……でも、政略結婚させられるか」


 正直姫様だってのに、この学校で一学生やってるのが凄まじいからな。

 いくら知名度の低い国だからって、なあ?


『それを回避するには……一応あるのですわ。それが成人する前に生涯の相手を見つけることなのです』

「なるほどな、それでわざわざと。いいぞ、手伝っても? それでオルリスの道案内をすればいいと」

『そういうことです、時間は争いますから明日からよろしくお願いします』

「明日は振り替え休日だからいいとしても、それ以降は放課後か?」

『いえ、サボりましょう』

「……ぜってー、クランナは提案しないな」

『少しは柔らかくなったのです、ついでにこの胸も』

「……ああ、悪かったって。いつまでもあのセクハラを言われ続けるんじゃねえかな……仕方ないけども」


 まあ、衝撃的なことには違いないだろうし。するとオルリスといえば衝撃的なことを――



『今の私なら……いいんですよ?』



 少し、あんなことを考えてしまった俺が悲しい。


「なあ、オルリス。そういうことは軽く言うと、あまり良い印象ではないぞ?」

『ふふ、軽いことは確かですが……あなただけですから』

「へ?」

『では戻しますね、また明日……そうですね、商店街の入り口で』


 そう手を振ると、また意識が途絶えるように倒れかかってきた。

 俺の腕に収まっているオルリス……いやクランナは十秒経たない内に目を覚まし。


「私は……っど、どうして!?」

「寝てた、疲れてたし動かすのもなんだったしな」

「それは……ありがとうございました」


 さっきまでのクランナの表情に戻っていた。しかしどこか腑に落ちない表情をしていた。


「クランナ、どした?」

「いえ……不思議な夢を見たのです。何故か私が未来から来たとか……なんでもないですわ、忘れて下さい」


 もしかすると、クランナはさっきのことが記憶としてある? まあ夢扱いだけども。

 これから始まる六日間に……色々と騒動の予感を感じざるを得ない。


「(オルリスねえ……)」

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