第396話 √3-48 気になる彼女は○○○で×××で。
一日更新四回目!
「一週間……予備を考えて六日間でも大丈夫のはずです」
彼女は生命維持装置と意識を飛ばす為のヘルメット状のの機械を頭に取り付けました。
「二〇一〇年十月三十一日……午後六時半ほどですね」
液晶をタッチして、詳細を記入して。
「場所を……ここで、人を……私にして」
-Soul Time travel.-
「今参ります……でもしばらくの間、確かめさせてくださいね――」
その時彼女の瞳は瞑られ、眠りに就いた。
そして彼女の意識はタイムマシンを通して――十年前に送られました。
* *
まあ、なんというか文化祭終了。
色々準備に東奔西走したことや非公式新聞部に色々と妨害をしくまれながらも終わらせることが出来たことを思いだし考えながら、生徒会の打ち上げが行われた。
自販機で売られている、ドリンクなどを買い込み生徒会室のテーブルにはお菓子や飲み物の空き容器が散乱していた。
あれだけあった飲み物が無くなりつつあった。チサさんは栄養ドリンク、姉貴は
「あ、じゃあ俺追加で適当に買ってきます」
「私も、手伝いますわ」
俺はそう立ち上がると、すぐにクランナがそう言った。
それを聞いた姉貴が我も我よと。
「じゃあ、私も――」
「姉貴は、疲れてるんだから休んでてって」
「そうですよ、副会長、私が下之君は手伝いますから」
「でも……うん、じゃあお願いしようかな」
俺とクランナは一緒に生徒会室を出て、並んですっかり暗くなった祭りの後の喧騒の消えうせた学校の廊下を歩いて行く。
「おう、悪いな。結構な量があるから助かる」
「それもありますが……二人になれる時間が欲しかったですから」
「お、二人お疲れさま回か。いいねえ」
自販機の置かれているところまでやってくる、電気が消され自販機の明かりだけが煌々と空間を照らす中。
自販機の眼と鼻の先にある、ベンチに二人腰かけた。俺はマッ●スコーヒー缶を開けて、
「乾杯」
「乾杯です」
クランナは緑茶で、上部分を少し触れさせる程度に乾杯する。
「色々ありましたわね」
「ああ、二人放送室に走ったのは良い思い出……なのか?」
「確かに、非公式新聞部は空気を壊すような行動でしたが……決してつまらないものではなかったですよ?」
「まー、チサさんと福島が熱くなってるから仕方なかったな」
すごいな、あのコンビ。福島は学校何十周したんだろうな、チサさんはどれだけキーボードを叩いたんだろうな。
てか姉貴とユイのタッグってかなり様になってたな……眼鏡キャストオフを勧めて、渋々やってくれたらそりゃあもう来客にも何も言われないコンビになってなー
そう考えると……会長。
「こうして二人で、座って話すのは初めてかもしれませんね」
「そういやそうか、大体歩いてたり他の人がいたりするからな……学食のアレは沢山人がいたしなあ」
「よく覚えていますね……あの卵焼きは黒歴史です、今は全然違うんですからね?」
「独り暮らしで自炊してるのにマズい料理は厳しいだろう」
「……なぜか下之君は料理のことになると手厳しくないですか?」
「姉貴の料理上手さに、色々と悔しかったし……まあ勝てそうにないけどな」
「私はあなたの料理好きですよ、副会長と比べては……」
「いや、分かってるって……」
「でも……その。またいつかあなたの料理が食べたいのですが……ダメでしょうか?」
「全然構わないぞー、やっぱ嬉しいもんだな。俺の料理を食べたいって言ってくれるって」
「じゃあ、機会があればよろしくお願いします」
本当に嬉しいもんだな……これは精進せねば。
「あのですね……下之君」
「ん?」
「いえ……やっぱりなんでもないで――」
隣の彼女がぐらりと揺れた。
え、おい……まさか。
気になる気になる言っておいて、俺は気付けなかったのか?
確かに走り回って疲れているのは分かるし、もしかたら睡魔が襲ってきたのかもしれない。
いや、これはそれとは違う……!
「クランナ、大丈夫か? な、おいっ」
クランナは俺にもたれかかるように倒れ、肩でこれ以上倒れないようにし、手で力が籠らないようにそっと受け止めた。
意識が一瞬にして遠のいたような、そんな感じだ。
「クランナ! ……とりあえず保健室に――」
そう俺はクランナを一度ベンチに寝かしてから、両手で抱え上げようとしたところだった。
『私は大丈夫ですわ』
抱えてみて、見下ろすと彼女の瞳は開いていた。
「よ、よかった……心配したんだぞ、大丈夫か?」
『ふふ、相変わらずですね。あなたは』
そこでふと違和感に気付く、少し喋り方が急に大人びてないか?
『今は何時ですか……?』
「……まあ、六時半ぐらいだけど」
『いえ……今は何年何月ですか?』
「本当に大丈夫か? そりゃ――」
意識がなくなったことで混乱しているのか、そんな素っ頓狂な事を言うもののそのままを質問に答える。
『成功のようですね』
「ちょ、クランナ!?」
するとクランナは俺の首に両腕を巻きつけて、俺の顔を必然的にクランナの顔へと近づける。
『私は――未来から来たオルリス=クランナなんです』
彼女が言う事には、未来人とのこと……なんのこっちゃ。




