第387話 √3-39 気になる彼女は○○○で×××で。
ジャンル変えてみました、よろです。
ユキ……(´・ω・`)
七月三十日
「終わったぁ……」
七月も末の頃、ようやく生徒会役員は夏休み中に終わらせるべき用件が終了した。
ちなみに夏休み中は夏期講座も任意で受けることが出来、俺は受けても受ける気も無かったのだがチサさんや姉貴はそれを受講しているが為にちょくちょく抜けていた。
結局姉貴やチサさんからやるべきことを伝えられ、作業進行を行うという俺が疲弊する事態になったけども……まあ仕方あるまい。
会長も承認判子を押し過ぎて二の腕に湿布貼られてるし、終盤に至っては生徒会室は全体的にお通やムードだった。
クランナも俺と職員室を何十往復もしたし、ユイや福島も姉貴とチサさんのサポートに奔走していた。
最後の書類詰めが終わり片付けが完了したところで、生徒会役員が一斉に息を吐き出して放心した。
その一方で姉貴が席を立ちあがってポットのほうへと向かったので、俺も席を立ちあがって後を追う。
まあ、お茶煎れってことで。
「お疲れ様です、会長」
「ありがとーシモノ……ごくごく、ぷはぁ! 冷えた麦茶に限るね!」
チサさんと福島と姉貴は確か熱いお茶が好きだったはず。俺とユイ、クランナに会長辺りは夏はやっぱりと冷えたお茶を好んでいた。
「クランナ、麦茶でいいよな?」
「ええ、ありがとう下之ユウジ君」
そういえばだが、俺の呼び方がランクアップした。下からフルネームへ。
そこまで俺は好感度を上げる行為をしたかと思い出してみるが、あれだろうなあ。
そういやクランナに呼び出された時、俺は株がストップ安かと思ったのに、クランナは上機嫌で「ありがとう」やら「ごめんなさい」やら言ってきたんだよな。
……でも呼び慣れた名前を変えるほどのことだろうか? もう俺が慣れ始めていたばっかりに驚きだ。
全員に飲み物が行き渡った頃、持ってきていたチョコを食べていた会長が、お茶をもう一度ぐびっと飲むと。
「ねえねえ、お疲れさんこめて今度の夏祭りに行かない!」
そんな提案をしたのだった。
「藪から棒にどうしたんですか、会長?」
「いやねー、色々苦難を乗り越えてきた生徒会役員で一度は出かけてみたいなあと」
「本音は?」
「あわよくば一緒に来て何か奢ってほしい!」
「素直っすね……」
「皆、何か不都合とかある?」
役員それぞれ、特に「もちろんアスちゃん祭には私も行くわ」「うん、特にないよ」「四日ですよね、ないです」「夏祭りですか……非常に興味がありますっ」「アタシもネェー」
まあ、俺も同意見だ。
「じゃあ、行こ! 夜七時に商店街前に集合っ!」
ということで、生徒会役員フルメンバーによる夏祭りが決定した。
八月三日
エアコンの効いた自室で、溜まっていたアニメを連続視聴しているとふいに携帯の着信音が鳴った。
「ユキ……?」
メールこそすれど、しばらく会っていないユキからの電話だった。
「もしもし」
『あ、ユウジ? おはよー』
「おはよー……って昼だぜ?」
太陽は間上に登っている頃だろう、少なくともカーテンを開けて確認は、冷気の流失の危機を招くのでしたくない。
『だねー、でもなんとなく習慣みたいなものだよ! 会ったらおはよう! そして、こんにちはユウジっ』
「元気すなあ、こんちはユキ」
『それでさ……ええと、あのねユウジ。もしよかったら八月四日の夏祭り行かない?』
「え」
え、なにこれは。言い淀んだ物言いからして、え。え?
『あ、皆でだよっ』
「ですよねー、残念」
『……残念に思ったの?』
「え、いやまあ。デートのお誘いかと」
『そ、そんなわけないよ! ふふ、そっかあ』
なんか電話越しのユキがすっごい嬉しそう。てか……ああ、そうだった。
「いやさ、嬉しさに満ちたユキに悪いんだけど。わりい、その日は先約があるんだ」
『誰かとデートなの!?』
「ちがうちがう、生徒会役員で夏祭りに行くことになってるんだよ」
『あ、そうなんだ……部外者の私はちょっと混ざりにくいかな』
「いや、俺から頼んでみるぞ?」
『ありがと、でもまたの機会にするね。マサヒロと行っても仕方ないから、家でゆっくりする』
マサヒロェ……て、あれ?
「不貞腐れてません?」
『……ません。ただ、女の子ばかりの生徒会にユウジはご執心なんだなぁと思って』
……怖いっすよユキさん。
『ユウジのばか』
ツーツーツー……色々と怖いんですけどお! え、そんなにダメだった?
確かにあんな可愛い幼馴染に誘われて夏祭りに行けない自分が憎いけど、優先事項ってものがあるからなあ。
先に約束したのに破棄は出来ないだろう、て。
「……メールしておこ」
謝罪のメールを送った。すると、数日中の空いた日にパフェ一杯で許して貰えるそうな。
……あれ、実は結構な俺得じゃね? パファの出費なんて些細な事だ、ユキとカフェに行くのが少し楽しみになる俺だった。




