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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第十三章 気になる彼女は○○○で×××で。
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第385話 √3-37 気になる彼女は○○○で×××で。

夢中になって書き続けた結果がコレだよ! 800pt超えたらジャンル変えてみようかな

 そう私が、副会長の手を煩わせてまで”あの男”を呼ぶ必要がありました。

 気付いてしまったのです。あの男がどうしてあのようなことをしたのか。


 それは――


「最初以外、ですわ」


 最初の出会いがあんなでなければ。切に思います……もっとあの男と普通に話せたんじゃないかと。

 一方的にあの男が悪くて、私は被害者で。それでもあの男は――


「来てくれますわよね……?」


 なんだか気まずくて昨日はあの後話せませんでしたけど……来てくれるでしょうか。


「いえ、きっとあの男は」


 来てくれます。

 あの男……いや下之ユウジは自称するほどに不真面目でも何も考えていないわけでもないのですから。


 そして目の前の、生徒会室の扉が開く、



* *



 どうもナレーションです。時間軸は戻りますねー

 そうですね……ユウジを授業のある日の生徒会、クランナがユウジを呼びだしたところからですね。



七月十六日



 私は考えてしました。疑っていました。

 私のお弁当は副会長の作ったものではないのじゃないかと。


 確かにお作ってくださるお弁当は美味しいのですけれど、どこか味付けと言うか……何かが違うように感じていました。

 副会長が目の前で作ってくださった卵焼きと、頂いているお弁当の卵焼き。

 焼き方はどちからといえば副会長が直で作った方で、純粋かつ生かされた卵のみ味でした。もう一つも美味しいのですけれど、微量に感じる……鰹節でしょうか。

 それらを思いだすと、どうしても違和感を拭えなかったのです。そして今日の昼時、


「っ!」


 醤油卵を口にして、これはそうだとほぼ確信が持てました。すっと後にほんのりとだけ続く鰹節の香り。

 それでは副会長でなければどなたが作ってくれているのか、手作りには違いなく市販品では恐らくないのです。

 そして副会長と関係が強く、そして時々感想などを求めてきた――


「(下ですの……?)」


 料理ベタと本人は自称する一方で、お姉さんの副会長は下の料理の腕を評価していた。

 ……以前お見かけした時も副会長と下が仲良く買い物しているところから姉弟間の仲も良いでしょうし、十分に手を組んでいる可能性はあります。

 

「(なぜなのですか)」


 なぜ副会長と偽ってまで、下は私に作ったのですか。いつも変わる中身は、凝っていてどれも美味しく時間がかかっていそうなものいくつか。

 そのお弁当を食べ終わって、下が食べているカレーパン。


「(……あれもフェイクの一環ということですの)」


 思い出してみれば、下はお弁当の日とカレーパンなどというような市販品の昼食の日がほぼ一日ごとにでした。

 自分が作った弁当なのに、自分は食べないと言うこと……ですか。


「(でも副会長のお弁当は……)」


 私と同じで、その一方で下のお弁当は違うものでした。

 つまりは……仮ですが、下は私と副会長のもをつくり。自分の分は……?


「下、食事中ですがいいですか?」

「ん? 別にいいけど。てか食べ終わってるし」


 そう下からの返答を貰うと私は、連れて外へと出ました。

 聞かなければなりません。なぜあなたが私にそのようなことがするのか――





 聞いて返って来たのは拍子抜けすることでした。

 開き直るように、私がこのお弁当を作ったのはあなたでしょうと指摘すると「そうだけど、何か」と。

 その後はどこか私は弄ばれるように、茶化し冗談を交えて誤魔化すように下は話しました。

 なぜこの男は不真面目なのに、いくら彼自身に非があるであってもトゲのある態度を取る私に、こんな風に。

 すると下は「じゃあ分かった、こうしよう。クランナに弁当をつくって食べてほしかった」と言ったのです。

 

「っ! ど、どういうことですの」


 下は自分から申し出たら断るであろうと、だから副会長を通したということですね。

 確かに断ります、だってそれは下が私に作る必要なんてないのですから。


『だろ? 俺はクランナにどう思われているかわかってるつもりだからな』

 

 私が下を……? そうではないのです。だってあなたは生徒会で時折一緒に行動するだけの、クラスも違う同学年の男子生徒。

 私を気遣う必要なんてないはずです。だから私はあくまでも、自分の時間を削ってまで、下の時間を削ってまで作ってほしくないというか……なんと言えばいいのでしょう!

 少なくとも下は……今はこのような酷い呼び方も、一度始めてしまうと変えるのが難しいのもありますし。最初の出会いと比べればあなたの評価はあがっていて。

 だから決して、私は下を最初の出会いのように毛嫌いしているわけではなくて。

 

『ごめんな、姉貴のはもっと美味しかっただろ? それに俺みたいなヤツの弁当食ってたなんて嫌な気分だよな』

「私が申したいのはそこではなく……」


 だからそこではないのです。副会長も美味しいですkれど、私には作ってくれるお弁当も美味しかったのです。

 それに下が作ったからといって、嫌な気分には……ならないのです、今では不思議と。


『……悪かった。もう止めるからさ。今まで弁当食べてくれてありがとな』


 話を……話を聞いて! そう思って何かを言おうとしても、何も出てこない。そして、



『それでもさ、少しは自分のことも心配しろよ?』



 そこで気付いてしまいました。私にお弁当を手間をかけ、副会長のと偽ってまで。

 以前のことでしたね、体育祭で自分は言いだせないけれどそこまで暑さに強くない私は炎天下の下で働いていました。すると下が休めと、言ってくれたのです。

 その時下は、正直に言えば嫌いでした。でも助かったことには違いなかったのです。もしかすると倒れていたかもしれません。日差しを遮るテントの中で思いました。 

 少し前のことですと、また私は真面目といか頑固と言うか。人に聞けばいいのに、自分で探すと決めて夏の空の下を数時間古家屋を探す為に彷徨い、そして目眩がして倒れる感覚がありました。

 でも地面につくことはなく、通りすがりの下が抱きとめ、空調の効いた喫茶店まで連れていってくれたのです。私のことを気遣って、水も用意してくれていました。その後も買い物で自分の用事があったのに夢中になった私に付き合って古家具屋まで。


 そして私は料理が出来ませんでした。勝手が分からず、作っても失敗ばかりで。だから市販品でいいと思ってコンビニやスーパーまで歩いて弁当やおにぎり、パンなどで食を補っていたのです。

 それでもどうしても栄養の偏りは出てしまって、祖国にいたころと比べると肌の荒れも目立つようになり……体重も少しだけ、少しだけ増えてしまいました。

 でも、今は勉強に付いて行く為に学校から帰った夜も、起きた朝も勉強しなければならなくて。だから自分で料理を覚えるということをしませんでした。

 栄養剤というものを知って、やり過ごそうとした時に。副会長の抜き打ち食事チェックを――


「(もしかすると、あの時から……)」


 あの時から下は副会長と手を組んでいた……?

 

「どれだけ下は私を気遣ってくれていたのですか」


 きっと私が副会長と下が買い物をしている時も、下は私が提げていた市販品の弁当が入ったビニール袋を見ていたということですか。

 体育祭も、古家具屋の時も……そしてお弁当も。全部下は私を気遣って――自信過剰でなくても、ここまで揃ってしまっては分かります。


「……そうなのですか。そうだったのですか」


 そして気遣うのに、気を使わせないために。嘘までついて、茶化してまで。


「…………」


 私は人の少ない廊下でそう想い、少し経ってから生徒会室へと戻りました。

 そこには下の姿があって、いつもと変わらない表情で。


 私はきまずさと、気恥かしさで直視できませんでした。

 でも……もしかすると、いくつかは私の勘違いなのかもしれません。




 

 放課後に、副会長にそのことを聞く為に残って。そして全てが真実であることを聞きました。副会長に騙していたことも謝られました。

 下は毎日早く起きて、献立を考えて。時折見かける私の食生活の偏りを心配してくれていた、と。

 お節介……としか言いようがないことでした。

 でも、おかげで私は「いつまでも副会長にお弁当をつくってもらうだけではダメです」と自分でも料理本を片手に練習するようになったのです。

 今では……ご、ご飯と卵焼きとサラダは作れます。


「ユウくんはね、本当に優しいの。みんなのことをしっかりと考えて、でもそれを問われると冗談みたく受け流しちゃう人なんだ」


 副会長はあの男のことを話す時は、いつも優しい表情をしているのですが……それよりももっと、包み込むような笑みで。


「きっとね、私の為に生徒会もやってくれてるの。入れ方も乱雑で、それでも少しの間でも居てくれたら……なんて思ってたら、今日まで働いてくれて」


 いつか言っていました。下は副会長……お姉さんの為に、お姉さんの負担を減らす為に生徒会をやっている不真面目な人だと。


「(どこが……不真面目なのですか)」


 私もお姉さんも、生徒会役員のことも気にして。


「自慢の弟なんだよっ、ユウくんは!」

 

 副会長は本当に満面の笑みで、夕焼けのなかでは……とても綺麗な笑顔でそう胸を張っていいました。

 ここまで聞いて、最初の出会いだけが浮いているのです。あの男が、あそこまで気を付ける男が……何故、なぜあんなことをと。

 

「それにね、きっとクランナさんとの事件も……何か理由があるんだよ? ユウくんはね、そういうことはきっちり分かってるから、きっと本当に悪気はなかったと思うの――でも不快な想いにはさせちゃったんだよね、姉の私からもごめんなさい」

「い、いえ! 副会長が謝ることでは……っ」


 そう……かもしれませんのね。事故だと、不可抗力だと。



七月二十日



 朝に起きて私は、あの副会長と話した際に交換したメールアドレスが写しだされる携帯画面を眺めていました。


「…………副会長、色々と迷惑をかけてしまいました」


 でも、これで最後です。あとは自分で言いますから。

 メールの文面に「下を生徒会室に呼び出してほしい」ということを入力して――



* *



「えーと……あの、クランナ? 俺が呼ばれてたんで良かったよな」

「……ええ」

「それで、俺に何か……ある?」

「……ええ」

「な、なんかさ! 昨日は話の途中で帰って――」


 私は、ある言葉を。



「ありがとうございます、下之ユウジ君」



 出来るだけ笑顔に……決して無理やりではなく、自然なように。


「……は?」

「それが伝えたかったのです」

「いやいやいや! 意味が分からないからさ、俺がお礼を言われることなんて――」

「たくさんありますよ?」

「思い当たることなんてないから……てか謝りたいことし」

「いえ、謝るのは私の方です。ごめんなさい、そして最初の出会いは勘違いもあったのですね」

「え……いや、あれはあくまでもセクハラで」

「ええ、それは変わりません。でも、何か事情があるのではないのですか?」

「…………」

「ともかく、私はお礼が言いたかったのです」

「いやだから! 俺がお礼されることなんて何一つもないんだって!」


「今までのこと全部です」 


「…………セクハラも?」

「なぜ引き気味にそれを持ち出すのですか、そして引きたいのはこちらの方ですわっ!」

「そーだよな、スマンスマン。ついな?」

「……それで、どこまでが茶化しですか?」

「…………」

「じゃあ言わせていただきます」


 体育祭の時も、古家具屋の時も、お弁当の時も……全部、ぜんぶ。


「……あちゃー、気付かれちゃったか。クランナの好感度上げたいばっかりにー」


 目を泳がしながら、下之ユウジは言うのです。それが……どこかおかしくなって。


「ふふっ、そういうことにしておきます」

「いやまて! 誤解だって、全て偶然が重なった結果だって!」

「それでは失礼しますね」

「だから――」


「また明日、生徒会室で。下之ユウジ君」


 私はもうこの頃には下のことが嫌いではなくなりました。

 ……そうですね、嫌い以上好き未満です。あくまで同じ生徒会の役柄をこなす仲間として、ですけどね。



「ふふ」 


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