第373話 √3-25 気になる彼女は○○○で×××で。
実は更新しない方が評価が上がるよ! ということは……√1以降は蛇足と仰りたいのですね(泣)学園ファンタジーラブコメに400部も読んでられねーよ、って気持ち分かりますから! でも可愛い女の子書きたい一心でやってるのでどうしても長くなっちゃうんです! それは言い訳だって? 単に力不足なだけです、ごめんなさい!
職員室を私のクラス担任である田波教師に連れられ出て、予め来るべき自己紹介の内容を反芻する。
「(名前を言って……それだけでいいはず)」
唐突にジョークを入れても引かれてしまうかもしれない。仏頂面ではファーストコンタクトが台無しですね。
出来るだけ感じのよさそうな顔で、そう紹介出来ればいいのですわ。
私は誰もいない廊下を、教師の後ろを歩きながら、掌に「入」の字を何度も何度も書いた。
書いている内に、
「ここが一年四組ですよ。ちょっと待っててくださいね」
田波教師はそう顔をあげてクラス札へと視線を促すと、扉を開き入って行く。
それで私は扉の外に残される形になり、すると教室の中から田波教師の呼ぶ声が聞こえ「はい」と僅かに緊張に震える声をだすと。
「オルリス=クランナです! よろしくお願いしますっ」
ブラックボードなのに何故に緑色なのだろう、と現物を見て改めて疑問が沸き上がるのを抑えて、黒板を背にして立って、出来る限りの笑顔で声を出し頭を下げた。
緊張で黒板に立つまでは気付かなかったけれど、教室のあちらこちらで話す声が聞こえる「何か私はミスを……?」と思ったものの。田波教師が「静かにー」と注意する。
「じゃあオルリスさんは後ろの席に座ってください」
いちばんうしろの席を田波教師は差して言った。日本の学校の机とはこのようなものなのですね……と沸き上がる興味を抑えながら着席する。
「じゃあホームルームを終わります。オルリスさんは申し訳ないですが、教材が届くまでの間クラスメイトに教材を見せてもらってくださいね」
は、はいと答えて田波教師が退室。
その瞬間にクラスに居る生徒たちがゆっくりと立ちあがったかと思うと、こちらへと視線を向ける。
そのうちの一人、女子生徒が向かって。
「あ、あの……クランナさんって、ええと日本語お上手なんですね」
「あ、ありがとう。上手に喋れているかは分からないですけれど」
そう返した途端のことでした。
「クランナさんっ!」
一挙にして後ろの席へと押しかけてくる生徒たち、その目的が私であることに気付くのはすぐのことで。何が起ったのか困惑の表情を浮かべながら「え、ええと」と私はたじろいでしまいます。
「どこから来たの!?」
「好きなモノは!」
「彼氏とかっているの?」
「どんな人が――」
ちなみに私、オルリスはというと「××××国△△△△地方出身の十五歳の五人家族の次女で、日本の文化を身をもって体験するために三年間留学する」ということになっています。
この説明の中には”嘘”も混ざっているのですが、それは今は……はい。
ね、年齢は偽っていません! 失礼ですねっ、今年で十六を迎える日本でいうところの女子高生です!
「そーなんだー、ごめんね聞いたことない国だけど、西洋なのかな?」
「そうですね。あと私の国は新しい方ですし、小さい国ですからお気になさらないで」
「綺麗な髪だよねー、クランナさんってシャンプーって何使ってるの?」
「シャンプーはですね――を使っています」
「納豆にはネギを入れるタイプ?」
「あ、生卵も入れると更に美味しいですよね」
おそらくですけれど、悪い印象には今の時点ではなっていないようです。
……え、演技しているわけではないのですが! 遠く離れたこの国では私を受け入れてくれるかどうかが不安で仕方なかったのですわ。
このクラスは明るくて過ごしやすそうなクラスですね――
「はぁ……」
それでも編入初めなだけあって、疲れ……ていませんわ! それにしてもこの学校というのは人が多いのですね。
ある都合で私は学校には通わず家庭教師が私の元にはいましたから、このような多くの生徒が集まる学校と言うのは珍しいものです。
それでも一クラスに三十人以上もいるなんて。この町の唯一の高校といいいますから仕方がないのかもしれませんけれど――
「!」
そう考えている途中で私は気付いてしまう。
「(教科書がないですわね)」
科目は、世界史ですか。日本からみた世界と言うのが気になります、今にも教科書を読みふけりたい気分ですわ!
……でもないのですよね、田波教師は借りてと仰っていましたが。
「(共同で読む形になるでしょうし、近い席の方に――)」
右隣に座るのは、短めの黒髪におさげと、黒縁で楕円の眼鏡が特徴的などことなく「文学少女」を思い起こさせる佇まいの女生徒。本を読書する姿がとても様になっていますわ。
ま、まさしく私の思い描いた日本人の一人です!
「あの……」
「はい」
「教科書がまだ届いてなくて……見せて頂けますか?」
「ええもちろん、いいですよ」
よ、よかったですわ。断られたら少しショックを受けるところでした。
「ありがとうございます」
ガタガタギギィ、彼女は自分の机を私の机へに寄せてきます。
「この方が二人で読みやすいでしょう?」
「あ、はい……そうですね。ありがとうございます」
「いえ、クランナさん……?」
「はい、クランナで大丈夫ですよ。ええと、あなたは……」
「岡小百合です。よろしくねクランナさん」
「岡さん、こちらこそよろしくお願いします」
初めて名前を交換したクラスメイトは、彼女こと岡さんでした。
それから岡さんには色々と教えて貰い、案内していただいたのですが――




