第369話 √3-21 気になる彼女は○○○で×××で。
\散々待たしてこれかよ!/
体育祭が終わり、プール開きや期末テストなどのイベントがありつつも少しで夏休み。
それでも生徒会は好評活動中だ。
「掃除をしましょう!」
と机をバンと叩く会長が頃は、夏を露骨に感じ始める六月末の生徒会室。
この部屋こそ冷房をガンガンに効かせているものの、この部屋が楽園で廊下は熱帯地獄。学校全体が蒸し器のように水分を含んだジメジメとした暑さだ。
服装は夏服へと変わり、俺たち男子は半そでのワイシャツやポロシャツ装いを変え。彼女ら女子は半そでのセーラー服に身を包みつつも心なしかスカートも短くなっているようにもみえる。
そして会長の掃除宣言に俺は答える。
「掃除ですか? 確かに乱雑になってきましたね」
「でしょでしょ?」
「でもこの時期にやるってのは何か意図があるんですか?」
「う……」
前にも言った通りで、期末テストが迫っている。それも一週間ほどまでにもだ。
「会長、あれですよね。テスト勉強から気を逸らしたいが為に――」
「ちちちちち違うよ! 私は全知全能故にテスト余裕よ! だからテストのことなんか考えなくてもいいのよ!」
「…………はぁ」
「今のは頷きじゃなくて溜息だよねえ!?」
ちなみにいつもは擁護に回るチサさんでさえも生温かい目で会長を見ていた。
まあ、そんなこんなで片付け。
「あ、クランナちゃん。これをあそこにお願い出来る?」
「はい、いいですよ」
「ごめんね、私届かないか――ちっちゃくないよ!」
「?」
俺が雑多に持ってきた会長の私物を整理していると、クランナがダンボールを身長以上の高さにあるラックの上に載せようと奮闘していた。
福島とユイはゴミの分別、姉貴とチサさんは書類整理(かなり真面目に)などなどしていて、手を離すことが出来そうなのは俺だけで。
俺はクランナが背伸びしながらも懸命にダンボールを押し上げるところへと歩み寄って、少し背伸びしてダンボールを少し指で押した。
「大丈夫か?」
「し、下! 頼んでなどいませんっ」
そーすよね。
じゃあ俺はそそくさと会長の会長の私物整理を再開するとしますか。
「じゃあ俺は戻るわ」
「ちょ、ちょっと!」
「ん?」
あろうことか呼び止められたので、振り返る。
「……一応、お礼をいっておきます。ありがとう」
「あ、ああ。どうも」
クランナは俯きがちだがしっかりとした声量でそう言った。真面目すなあ。
戻ろうとしたところで姉貴が数枚のプリントを床に落としたのが見えたので、すかさずに。
「お、姉貴。ほい」
「あ、ありがとユウくん」
でお、俺は戻ろう――
「ユウジ、このカップ麺ってどっちだ?」
「ああ。中に入ってるスープの袋はプラスチックゴミで、蓋と容器は燃えるゴミ」
「さんくすー」
俺はそうして戻ろうと――
「チサさん、お茶おかわり要ります?」
「そうね、じゃあお願い」
チサさんの湯呑みが空になっていたのに気付いて言ってみる。
雑務っぽい仕事はお茶くみの含んでいたりするのだ。お茶をくんで、湯呑みに淹れる。
「熱いので気を付けてくださいね」
「ありがとう、ユウ」
笑顔でチサさんは受け取り、書類をひと段落させてお茶を飲むついでに休憩。
「会長、手が止まってますよ」
「いや、これは必要で……うんすっごい必要だから……ぐぬぬ」
「必要なのは分かりましたから、持ち帰る分だけ仕分けて下さいよ。今の一割まで減らしてください」
「い、一割!? それは死刑宣告に等しいと思う!」
「どれだけ重要なんですか! このスー○ーボールとかが!」
荷物やらの整理が終わったところで掃き掃除やら雑巾で窓を拭いたりした。
「…………」
たまにクランナが見ている気がしたが、何か俺はしでかしたのだろうか? と疑問に思いつつも俺はスルーして仕事を続行していた。
そうして今日の生徒会は何事もなく終わりを迎える。




