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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第十一章 彼女は彼に気付かれない
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第332話 √a-32 彼女は彼に気付かれない

十月一日朝 



「ということで、俺とユイは結婚しました」


 あの後は平然と過ごし、気取られないように気を使いつつ一日を終え。

 示しを合わすようにして、翌日いつものメンバーにユイを隣に据えてそんなことを言った。


「「ええええええええええええええええええええええ」」


 むふふ、驚いてくれてる。

 そして俺の狙い通り、いつのメンバーはそれぞれ笑い始めた。


「いやいやユイ、それはないって」

「冗談過ぎますよー」

「ねえって」


 三人とも大ウケだ。


「結婚って……ユウジは出来ないでしょー」

「そうですよ。実際ユウジ様と子作りするのは私ですから」

「いや、姫城その返しはどうなんだ?」


 ……本当にどうなんだ?


「「ないよねー」」


 シンクロを見せる三人は、この後の展開を考えるとニヤニヤしてしまう。

 と、いうことで――



「ということで、俺とユイは付き合い始めました」



「「ないよねー」」


 またもやのシンクロ。


「いや、それはガチで……な? ユイ」

「……うん」


 隣のユイはさっきから顔を赤くして俯いてしまっている。

 俺もさっきとは違って至って真面目な顔を形作っているはずで――その変化に気付いたメンバーは冷や汗を流し始める。


「……え、本当に?」

「冗談ですよね?」

「嘘だろ……?」


 そうして俺はそれを無言の返答で返した。


「「ええええええええええええええええええええええ」」


 教室中に響く驚きの声はやはり重なり。


「いつ!? いつのことなの!?」


 それに答えるのはユイで。


「昨日の昼休み……だぬ」

「そ、そんな……素振り見せてなかったのに」

「ドッキリ狙いだったのう」


 まあ、いきなり明かすのも変だしな。 

 ユキも「このまま何もないと思ってたのに……そんな」


「告白はどちらが先なのですか!?」

「……ユウジから、な」

「っ!? あ、ああぁ」


 姫城がガチでショック受けてる……


「その後にエッチな――」

「マサヒロは質問不可」

「なんでやねん!」


 マサヒロは少しばかり憤慨しているが、放置。


「でもアタシもさ、突然にユウジかっさらうってのも忍びないから――出来るものなら寝とってくりゃれ!」


 ……寝取り?


「いやいやいや! ユイ、それは聞いてねえ。なに寝取りってユイをか?」

「ううん、ユウジがだ」

「おかしいだろ! せっかく付き合い始めたってのに――」

「アタシは手放すつもりはないが、ユウジ次第だっ!」


 いつものテンションに戻ってそんなことを言うものだから、俺は呆気に取られてしまうわけだ。

 それは予想だにしないわ。


 その言葉でいつのメンバーは回復し始めるわけで、なんでだよと思いながらも構えていると。


「そ、そっか……チャンスはあるんだね! ユウジ覚悟しててっ」

「いや、何を!?」


 ユキがなんかズビシと俺に指差してそう言った。人に指を指すのはよくない――って何を覚悟すればいいのかと!?


「既成事実さえ作れば、こちらのものです」

「!?」


 き、聞こえなかったことに――姫城のキワドイ発言に冷や汗をかいていると、


『チャラチャラーン』


 ポケットの中で携帯が鳴り始めた。この着信音は……?

 メールで、それも井口からだった。


『私、諦めてないですから』


 とだけ一文書かれていた。

 更には教室の外の扉辺りにどこか見慣れた、先程メールが来たばかりの人物の人影が――


「はは……」


 な、なんなんだ。この状況は。

 これじゃまるでギャルゲーの主人公みたいじゃないか。俺は至って普通に高校生で――

 怒涛の展開に困惑していると、


「でもアタシだって寝取り対策を講じないわけではない――ユウジ、本当にアタシの素顔は悪くないんだよな?」


 ほんの少しの不安こそ見せるが、この話題に触れることもなかったユイがそういうことを言うのだから変わったものだ。


「ああ、もちろんだ。みせてやれ」

「よっしゃ、これがアタシだぁー!」


 そうしてバシッと眼鏡の柄を掴んで顔から眼鏡と取ると――



「「ええええええええええええええええええええええ」」



 今度は教室中が驚きに沸いた。

 そこには憎たらしいような、可愛らしいようなドヤ顔なのだろうが、清々しい笑顔を浮かべるユイがそこにはいる。

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