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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第十一章 彼女は彼に気付かれない
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第324話 √a-24 彼女は彼に気付かれない

遅れて申し訳ないですー


もしかしてこの小説って面白いんじゃないかと思い始めてきた(ツッコミ待ち)

九月二一日



 三学期制のおかげで夏休みが明けてしまえば、定期テストが舌なめずりをしていて、まあなんとか食われることなくテストを終えることを無事に出来てからの数週間後のこと。


 まったくもって平凡な授業を終えてのいつものメンバーでのトーキングタイム。わらわらと後ろのロッカー辺りに集まり始め、ユキがまず切りだした。


「ユウジー……最近どう?」

「どうって?」


 ここは、ぼちぼちと答えるべきだったのだろうか?

 しかしユキはというと、ふざけているような空気ではなく。表情からは緊張と真剣さが伝わって来る。

 ……な、なんだ?


「その、ね……気になってることがあって」

「ああ」


 何かに躊躇するように言ってくるものだから、俺もなんだと思ってしまう。



「ユウジって付き合ってる人いる?」



「は?」


 ユキからそんなことを突然に言われたものだから俺も驚いてしまう。

 俺の反応こそ薄かったが、それ以外のいつものメンバーことギャラリーが一斉に沸いた。


「ユ、ユユユユユユユユユユユユユウジ様の彼女!?」

「ユウジに彼女っ!? ユウジ、詳しく話せい!」

「……おい、ユウジ。裏切りなのか?」


 姫城さんは顔を真っ赤にして驚き、ユイまでもが大げさな程に驚いている。

 まあ親友にいきなり付き合ってるヤツがいるとか言われたら、驚くもんなあ。


「いや、いねーぞ?」


 俺は否定する。画面の中にも嫁を作れずに「○○の嫁!」その作品の主人公の嫁にするぐらいだ。

 そしてもちろん現実に彼女なんているわけがない。

 しかし、なおも食い下がるようにユキは続けて、


「だ、だって……マイさんも見たでしょ?」

「え……あ」


 そう思いだすようにユキは促し、姫城さんは思い当たることがあったように言葉を詰まらせた。

 二人のサインっぽいのは俺には分からんとです。とにかく事実なのは、


「いやいや、俺はずっとフリーだって」

「でも……ごめんね。見ちゃったんだよ――ユウジがお祭りの時に私たちの知らない女の子とデートしてるとこ」

「「っ」」


 ちなみに時を同じくしてユイもビクリと反応をする。

 お祭りは集合時間からは皆でブラブラと屋台を廻っただけで、それが終わればすぐさま解散だった。

 俺もご多分にもれず、そのまま家へと直行した。


 ということは、もしあるとすれば。集合時間より前のことだ。


 素顔のユイが浴衣姿に俺と歩いていた……きっとユキの言うのはこのことだろう。まあ第三者からみたらそう見えなくもない。

 おそらくはユイもそれに気付いているようで、完全に固まっている。

 ……本当のことを言ってしまえばユイの隠していることがバレてしまう。

 俺も口を滑らさないように、気を付けてきたのに……このままではマズイ。なんとか誤魔化さなければ――


「アレはな……親戚の子に案内してって言われて、集合時間まで時間があるから付き合ってたんだ」


 親戚というか、一応家族っすけどね。

 俺は親戚の話題を殆ど出してないから、特に違和感なく受け入れられることも狙ったのだ。


「……ユウジ、その親戚の子とは仲がいいの?」

「あ、まあな」

「ユウジ様……本当に付き合っている方はいらっしゃらないのですか?」

「ああ……てか何度も言わんでくれ、俺だって好きで独り身やってるんじゃないって……ああ、彼女欲しいなあ」


 もう彼女がいないことを何度も聞かれたせいで心の声が思い切り漏れちまったよ。

 彼女は欲しいけど……どうにも俺には勇気がないんだよなあ。そういうとこが、ヘタレだと自覚はしている。

 それでも俺は――自信がないから、どうにも保身的でアタックはできないんだ。 


「ふ、ふーん……じゃあ、ユウジって好きな子いるの?」

「え」


 なんというか、今日のユキが怖いです。

 こんな俺の心の中を抉るような質問を矢継ぎ早にされても……ああ。


「ユウジ様、私だと嬉しいです」

「……」


 素直に言ってくれてありがたいけど、残念ながら――とは言えない。

 そりゃまあ、姫城さんと付き合えたら凄いことだけども……俺は到底釣り合わないからな。もっと良い男はわんさかいるだろうに。一度フラれた……し、ああ。

 そう考えるとユキラブだとしても、俺がユキと釣り合わない自信がある。ユキには俺なんかもったいない。付き合う人が出来たらそれはそれでショックだけども、俺がそれを止める権利は一切ないしな。


「とりあえずは……いないな」 

「じ、じゃあ! 好きなタイプは?」


 だからユキさん。俺のライフガシガシ削るの止めてくださいって。

 そういう質問って、こういう場でやるのが一番きまずいって。

 仮にも学校のヒロイン二人の目の前だぞ? ……でもって二人は真剣な眼差しで見つめてくるし。


 スク水の似合う……は趣味に走り過ぎ。ポニーテール……ロングヘアーの方々全対象になり得る。かわいい……ただの面食いじゃねえか。

 まあ、そうなると当たり障りなく。そして俺がかつての理由でもあった――


「気軽に話せる子だなあ」

「「(!)」」


 その返しに反応する女子三人……いや、なんでユイまで。


「って、そこまで俺のこと聞いてどうすんの?」

「え、な、なんでもないよ!?」


 それを聞いた途端に頬を染めてうろたえるユキ……こういう表情もユキはかわええなあ。


「なんでもあります」

「……あるのかよ!」


 すごい、恐ろしいまでのフェイントが姫城さんから炸裂したわ。

 一方の姫城さんはどこかスッキリとした表情をしていてユキと対照的だ。


「なぜなら私はユウジ様が大――むぎゅ」

「マイさん、このタイミングはダメだって……なんでもないよっ、ユウジ!」

「はぁ」


 何か言おうとした姫城さんの口を必死で抑えるユキ、最初の頃と比べると仲良くなったなあ。


「……そうか、ユウジは気軽に話せる子か。もふふ」 


 眼鏡越しに笑みを零すユイ。

 ……今日は何か女子勢の雰囲気が変だな? 一体何があったんだ?


 と、思っていると休み時間が終わった。

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