第313話 √a-13 彼女は彼に気付かれない
そうえいえば3-1まで修正が終わりましたー、一部追加描写もありますので良かったら読みなおしにどうぞー
二日間のCMが明けましたっと。
「うおお」
暴れ馬のように荒れ狂う水勢(大)のホースに未だに止まることを知らない高圧洗浄機。
それぞれの水が用具に当たっては勢いの強大さに汚れを落とすだけでは飽き足らず、そこらかしこに水を飛散させていた。
シャワーと言えば聞こえはいいし、少し暑いから水浴び出来ていいんじゃないかとも思える。
それでもここにいるのが俺以外女だったのが問題だ。
「ユイーっ!」
「なんだよ、ユウジ。そんな叫んで――ぬお」
撒き散らされる水の攻撃を受けての反応だった。
「にゃあああああああ、シモノ! 止めなさいよ」
「元詮締めないと無理っすから!」
「じゃあ早くしめてよ!」
「無茶言わないでくださいよ、これを今放り出したらマズイですって」
てかこんな勢いづいたホース経験したことないぞ。片手で抑えれば普通は制御できるのに今回に至ってはそれでも荒れ狂う。
「ユイィ! 水道止めてこい」
「え、な――うひゃあ」
仕舞いには回転を始めるゴムホースはスプリンクラーのように辺りを水浸しにしていった。
もちろん辺りにいる俺らは水をモロに被り――
「っ!」
ユイの方へとチラと見えたそれは白い地の体操着の下から浮き出る水色の――下着。
体操着は水に濡れたおかげで肌にべったりとくっつき体のラインをこれでもかと言わんばかりに強調する。
まるで土砂降りにやられてグショグショになったかのように、ユイの体操着は下着を透けさせ肌色さえをも見せ付けていた。
「え、え」
ユイは突然にびしょ濡れになった体に気付き、とっさに水色のレースの刺繍がかかった下着を付けている胸辺りを隠した。
「み、みるなぁ!」
その声はいつになく怒っているようにも聞こえるが、少し弱弱しい。
いや、お前の下着なんて興味ねーよ――という言葉が口元まで出るも、顔さえ見なければ学校でも上位に入るスタイルの良さを有しているのだ。
背は高く、胸の膨らみは女子の中では十二分に大きく、体操着で分かるラインではくびれさえあるようにも見える。
そして思いだされるのは体育倉庫での感触と女の子したユイの声。
いかんぞ、これは――
「と、とりあえずは水道止めてきてくれ」
「わ、分かった……ユウジ、今見たのは忘れろよ!」
「分かった分かった! とにかく行って来いっ」
前を隠して後ろ隠さず、透ける背中も下着のラインがくっきり出ていて……あーもう、言えばいいのか。
そうだよ、エロいよ! 似つかわしくないほどにセクシイで色っぽいよ!
それでも女子でここまで下着姿を見たのってユイが初めてなんだよな……そう考えると、なんかショックだ。
「シモノー!」
眼に映った小さい会長はユイと同じくに水を被って、体操着はもちろんのこと――
「アウトォォォォォォォォォォォ!」
「なにが!? とにかくとーめーてー!」
ちなみに描写しただけでアウトだ。
だって会長、容姿相応なんだもん。それはもちろん平たい胸にはそれを保護するものは必要が――
「ぶえっくしゅん」
ずずずと鼻をすする。まあもちろん水を被っているのは女子勢だけではなかった、ということ。
俺も中心だからといって台風の目になることなく水で体中潤いまくっており、連日駆り出しと一年生の序盤なのに濃すぎる展開に疲労もたまっていたことだろう。
ということで翌日俺は風邪をひいた。
五月十二日
昨日からダルくて仕方なく、熱を測ったら三十八度前半もあった。
そう体温を知ってしまうと、どうにも体はその数字に甘えてダルさは三割増となる。
俺はベッドに倒れ込んでしまい――朝に至る。
熱を測っても、下がることはなく少し上がっている気さえする。
「あー、ついてねー」
熱吸収のジェルシートをデコに貼って、布団に入りながらかすれた声で呟く。
「テストも迫ってるってーのに」
そうしてはぁとため息をつく。
全員が既に学校へと向かった朝の十時頃のことだった。