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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第九章 G.O.D.<出会い>
153/648

第289話 √2-94 G.O.D.

二日間若干死んでいました。すみませんー

コメディ回?



アト5

 旅立つその時に、我は別れの言葉を聞きたくない。

 あくまでそれは刹那のことなのだから、それが永久とわの別れではないのだから。

 悲観的であって同情でもある。そんな言葉を欲してはいない。

 だから我はこの言葉が欲しい。


「またな」


 また会える確約を約束を、旅立つ我はそれだけが欲しい。

 その言葉を糧に、希望に長いときを過ごしていけるのだから。



十月二三日



 ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ――というような睡眠妨害のない休日の日曜のこと。

 俺は学業の無い休日だとここぞとばかりにすやすやと寝息を立てていた。

 しかしどうにも日曜はそれなりに早くに起きる性質がついてしまったらしく、学校開始に間に合いはしないものの朝という時間帯には起床することが出来るようにもなっていた。


「……ぁあ」


 目をゆっくり開くと目の前には変わり映えしない天井の色。

 秋に相応なそれほど強くない朝日がカーテンの隙間越しに差し込んでいて起きて見渡す自分の胴に一閃光が続く。


「あっ……!?」


 するとふいに近くから聞こえる声。

 それはあまりにも聞き慣れて、あまりにも女子で、あまりにも――可愛い人。


「ホニ……さん?」

「あ、あわわわわわわわわわわわわ!?」


 寝ぼけ眼の先にはあたふたと俺の起床に気付いてあからさまに動揺するホニさんの姿があった。

 そこにはまるで驚いて右往左往する小動物のような……なんとも庇護欲にそそられる物体が居た。

 朝っぱらの起床直後、夢ならもう少し続いてもいいよというような、まさに――


「でカワ?」

「押すないでね! 絶対に押さないでね!」

「ホニさんからそのボケが来ることを俺は一体いつどこでどんな状況で想像出来ただろうか、俺は唖然としてだらしなく口を開け、どんな反応をすべきか思考――」

「ユウジさん……心の声駄々漏れだよ」


 おっといけない。寝ぼけていたせいで地の文が声に出てしまった。


「ちなみに補足しておくとさっきのは”出オチバリに凄く出てくるだけで可愛い”の略である。ホニさんはやっぱり可愛い」

「ユウジさん! それは意図的に流してるのかな!? どっちにしろ我はとてつもなく気恥かしくなるから止めて!」

「慌てるホニさんのなんという可愛さ。俺はついついに遊んでしまう。可愛いからいけないのだ、まったく」

「いけないの? 我はいけないの!?」 

「うわっ、ホニさん! ナンデコノヘヤニィ!?」

「わざとらしいよっ」


 まあ寝ぼけとホニさん弄りの楽しさのが半々で存在していたので、意図的か意図的じゃないかと聞けれたら前者である。

 

「それでホニさんはどうして俺のヘヤニィ!?」

「え、えっとね。桐に開けて貰った」

「桐が……まあアイツなら出来るだろうな」

 

 というか以前に何度もされたし、というかもうプライバシー粉々でその鍵付きの扉が有ってないが如しだ。



「呼ばれた気がした」



 そう俺は桐というスペルを口にしたのが仇となり、ふいに聞こえる桐の老婆喋りの幼女ヴォイス。

 どこかどこかと探していると――


「ここじゃ」

「ギャァー!」


 なんということか、まさかのベッド下からの入場だった。


「なんでそんなとこに居るんだよ! おかげでメ○シャキも出直してくるほどの速さで目が覚めたわっ!」 


 なんでそんなに心臓を悪くするような場所から出るのかと、というかベッド下って。 


「試験のお供にわしなどいかがか?」

「目が覚め過ぎて勉学に励めそうにもないのでいいです」

「それは”肯定”と取ってよいのじゃな?」

「どっかの押し売り業者の謎解釈みたいなことしてんじゃねえ! 結構です、お引き取りください、終わり下さいませ」

「終わり下さいませって何!?」


 桐の隣でホニさんがかなり驚愕していたが、この意味を深く問い詰められても仕方ないのでスルー


「で、なぜに桐は不法侵入を試みているのですか。ちなみにホニさんは可愛いので除外」

「うむ、それはな。お主の寝息を映像に収める為じゃ」

「新しいな、それ。”音”を”画”で撮るとは、色々な人が食いつくんじゃないか? てかそんなくだらないことで入るな、と。ちなみにホニさんは可愛いので問題ない」

「いいではないか、お主の鼻息から風呂の際に歌う鼻歌まで、わしの脳内HDとお主のパソコンに保存し数々取り揃えておる」

「てか俺のパソコンって言ったな!? ぜってえ、消す。そんな変態的な行動許してたまるか! ちなみにホニさんはとても可愛い」

「変態で何が悪い! それにわしは変態という名の淑女じゃ」

「お前ことクマ○って呼ぶぞ。ちなみにホニさんはホニさんってこれからもいいですよね?」

「なにおう! それならお主はク○吉と呼ばせてもらおうか、これでわしとお主でクマ兄妹じやぁっ」

「とりあえず朝っぱらからハイテンションにさせんな! 一日の気力使い果たしたらどうする! ちなみにもうホニさん可愛いので結婚してください」


「けっ……結婚!?」


 今まで俺の発言に一喜一憂していたホニさんが本日最大の動揺を見せた。

 

「ホニさん、俺はホニさんのことが大好きです。末長く一緒にいましょう」

「う、うんっ……ユウジさんが良いって言うなら」

「それではいざ行かん、ハッピーウエンディング!」


「あまりにも突然のプロポーズと更に唐突にまえがきネタを出すんじゃないわっ!」


「「えー」」 

「え、なぜに息ぴったり?」

「いやだって俺告白しましたし」

「衝撃の事実をさらっと言いおったぁー!」

「我も告白しました……(あの子にしてもらったのだけど)」

「更に追い打ちがキタァーッ!」

「桐、キャラ崩れてるぞ? 熱でもあるのか、知恵熱か?」

「桐、大丈夫? 良かったら我が長い生涯で生み出した”すぐに全快する薬”を持ってきたほうがいい? 苦味のあまり普通の人だと卒倒するけど」


「絶望した! 恋愛シミュレーションゲーのはずなのにその付き合う過程がおろそかなこのクソゲーっぷりに心奥底から地底深くから糸色望したっ!」


「ホニさん、そんなの言葉じゃなくて薬をオブラートに包めばいいだろー☆」

「そういえばそうだよねー! ありがとうユウジさんー☆」


「解せぬぅっ!」


 いつの間にかホニさん弄りからユウジ弄り、そして桐弄りへと変わっていたのを当事者は誰も気づいていそうで気付かない。


「にしてもそんなこと聞いておらぬぞ? 変化も殆ど無い様じゃし」

「まあな、今までと特に変わってないしな」

「うんっ」

「……正直言うのをはばかれるが、普通は変わるものじゃろう。例えば顔を見合わせただけで赤くなるとかのう」

「うーん、我は告白し合う前までは我がそうだったかな」

「俺は気付いてさえいなかったな」

「……そうじゃろうな、お主が振り向くのには相当手間がかかるからの」

「いやいや俺とか落とすの簡単だろ」


「「ないよ(ぞ)!」」


「え、それは双方からの意見?」


「ユウジさんは言わせて貰うと鈍感なんだもん! だって、我はユウジさんに何度も助けられて、いつも一緒にいてくれて、短いけど沢山の時を過ごして、それでやっと自分にとってユウジさんがどれだけ大切でどれだけに好きで一緒に居たいって言う強い気持ちを持っていたかに気づけたのも遅いと思ったのに……ユウジさんはそれよりもずっとずっと遅かったんだよ」

「ユウジは何もかも鈍感じゃ。女をはべらせておいて、気づくのは毎回年の瀬も近づく頃じゃからな。お主は喧嘩を売っているのかと、意図的にそうしてるんではないかと疑うほどにお主は遅いのじゃ!」

「いやー……俺ってそんな好かれる要素ないだろ。多分ホニさんに好かれたのはまぐれで――」

「ユウジさんへの気持ちはそんなあやふやなものじゃないよ! ユウジさんがどれだけ我にしてくれたか、我のことを思ってくれたのか分かってるんだから!」

「そうじゃそうじゃ! お主が歩けば女を惚れさす、という言葉あるぐらいじゃからな!」

「いやいやいやないからっ!」


「あるっ(のっ)!」


 ちなみにまた一周回ってユウジ弄りになっているのには誰も気づいていない。

 ……って一応私ナレーションですからね、なんともお久しぶりです。


「まあ良いわ。それで付き合い始めた、と」

「ん(え)?」


 俺はその桐の言葉に驚き、ホニさんとハモって声を漏らす。


「ん、え、とはなんじゃ……驚くポイントは今までにいくらでもあったじゃろうに」

「いやー……ねえ、ホニさん」

「うーん、そうだよ……ね?」


 二人見合せながら、桐の言っていることを考える。


「な、なんじゃ。彼氏彼女の部外者には分からぬラブアプローチかっ! 爆発じゃ芸術以上に爆発してしまえ!」

「いや、桐。お前は結構に誤解している」

「ゴカイ? 五つの海をまたにかける程の付き合いじゃと! 大気圏で燃えろ!」

「違うって桐、えっとね。そう我たちはね――」


「「付き合ってないんだよ」」


「………………はぁ?」

「俺が好きって言って、ホニさんからも好きだよって伝えられただけなんだよな」

「うん。だからどっちも返事は明確にしてるわけじゃないよ。一種の意思表明かな?」

「だから変わらないんだろうな」

「うんっ、我は少し卑怯な方法だけど想いを伝えられて……スッキリしたんだ」


 ホニさんが本当に軽やかな顔していた。文字通りさっぱりとしていた。

 度々照れりんこするホニさんもいいけども、こんな爽やかなホニさんも良い。


「…………と、いうことはじゃな」

「ということは?」

「桐?」


「わしが持っていける可能性は十二分にあるということじゃな!」


「「ない(だめっ)」」


「そこでも言葉は違えどハモるのか! 本当は付き合っておって突き合っておるのじゃろ!?」

「槍?」

「桐がシモネタに頼るとは……今年の冬は雪がアツくなるな」

「あー、もう! ならば力づくじゃあっ!」

「だめだよっ、桐! ユウジさんの右側は我の特等席なの!」

「ううぬっ、ならばわしは左を占拠するのみっ! 良かったのう良かったのう、両手に小さな花二つ。幸せモノじゃのう、よっロリコン!」

「いやいやホニさんは要すけど、桐はイラネ」

「がぁーん、今世紀末のショックでございますよ」

「だから桐、なんでそんなに人が変わってるの……?」


 そういう訳でいつもの日常。

 それはあの戦いが終わって平穏の訪れた日々は、こんな幸せな毎日だった。

 

 でも俺は笑って過ごす内心では、時折現れる”もう一人のホニさん”に苦悩していた――



* *



「みんな寝たっぽいね、下之ユウジ?」

「……ああ、そうっぽいな」


 この彼女は夜に訪れる。太陽の元はホニさん、月灯りの元を時陽子のように入れ替わって。


「話しをしよっか」


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