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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第九章 G.O.D.<出会い>
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第282話 √2-87 G.O.D.

グダグダの要因

・雨澄との初戦が長すぎた

・日常パートが少なく、シリアスでバトルシーンがくどい

・ユウジの決意がしつこい


……なんと言いますか、とりあえず√2が終わったら本当にROMるべきかなあ

「お主正気で言っておるのか!?」

「ああ、そうだ」


 俺は桐にこう要求する「お前は二週間の間空間を作ることも、俺をサポートすることも原則禁止だ」

と。

 桐の反論は当たり前だった。


「そんなこと無理じゃ! 不可能じゃ! お主一人でなんとかできることではない!」

「いや、なんとかしてみせる」

「いきなりに何故そんなことを言いだす! 今までユウジはわしのサポートを受けていたというのに」

「そうだな……ケジメって奴だ」

「い、意味がわからぬ」


 分からなくていい、でも桐に力を使わせずに疲労を抑えることで二週間後には――


「その代わりに二週間後の戦いでは全力でサポートしてほしい」

「二週間後……! お、お主っ! やはり未来を知って――」

「……まあホラ吹いても仕方ないな」


 そうして俺が知っていることを話す。その未来さえ知ってはいたが俺の口からそれらが出ることに桐は驚愕を示していた。


「……それでお主は最初からやり直す選択肢を除けて、こうして二週間前に遡ったということか」

「ああ」


 この貴重な記憶を残したまま、世界を戻った。過ちをもう繰り返さないように、誰も消えないように。

 しかし桐はふるふると肩を震わせ俯きながら俺を怒鳴りつける。


「駄目じゃ駄目じゃ駄目じゃ!」

「……なんでだよ」

「そんなことをしてしまったら……お主は」

「いつもの何倍の危機に晒され、回復の手段もない。予防線無しの命を賭けた戦いだ」

「そこまで理解してなおそんなことをぬかすのか……っ」

「理解したからこそ、俺は決意できた」


 全てを守ると。


「いいや、今度こそわしはヘマはせぬ。わしがお主を全力でサポートするぞ。今回のわしは一味二味も違うでの、そう簡単に倒れは――」

「倒れることでサポートを受けられない。俺が桐の力だけを目当てにしてると……本気で思ってるのか?」

「…………」

「心詠めるなら分かるだろ?」

「……わしを思ってのことじゃろ」

「そうだな」


 声のトーンが落ちて、少しの間が空いた。そして桐は声をはりあげて苦痛の叫びをあげた。


「……わしは、わしは! これ以上お主を傷つけたくなどない! 今までも散々お主に酷なことを強いさせた……だからわしが出来ることは最大限に行うのじゃあ!」


 駄々をこねるように、自分の我を通そうと俺に思いをぶつける。

 

「俺は少なくとも桐に酷な事を強いられた覚えはないな」

「……しかしっ! おそらくお主が知り得ぬところでも――」

「知らない、分からない、記憶にない。だから俺はそんなことどうでもいい。俺は桐が見るからに疲れて今にも緊張が解けた途端に倒れてしまいそうなほどに、衰弱した桐の姿を俺は見たくない」

「わしは努力する! だから、の? わしも手伝わせてくれ、そうでないとわしは……」


 とり憑かれるほどに俺の助力をすると執着し、知らせれた自分が何もできない事実の拒絶。

 桐は病んでいたのだと思う。俺の少し蘇る、何度も繰り返す世界を、物語を過ごして。

 俺がもしそれを覚えていたら平静を保てていただろうか、今はこうして一つの記憶を鮮明に残しているだけで思いだしたとはいえそれ以前のことはおぼろげだ。

 しかし桐はその全てを経験し知っているのだろう。それ故にここまで執着する――自分が力になると、サポートすると。


「なあ桐、その戦いが終わったらどっか遊びに行こうぜ。家族皆で」

「い、今に何を言うのじゃ! それに、それは……」

「死亡フラグってか? そんなフラグは俺が叩き折る、俺たちは生き残ってみせる」

「……その自信はどころから来るのじゃ、どうしてそこまで自分でなんとかしようとするのじゃ」

「自信の元は”守りたいものがあるから”ってところだ。自分でなんとか云々は――桐、お前にも言えたことだろう?」


 そうして俺は桐を説得して、二週間の間チートの封印を約束させた。

 それでも不安そうで不服そうで悔しそうだったが……こればっかりは仕方ない。

 俺はこれでも二週間後に桐に動いて貰うのも躊躇している。でも、桐の力なしに剣使いは倒せない。


「(脚力と腕力が必要か……)」


 そうして訪れる戦い。

 それは午後の二時のことだった。





「ホニさん、桐っ!」

「うむっ」

「うんっ」


 桐は力を行使しない条件として”わしも連れて行け”と言われた。

 

『……わかった。だが力を使わずに俺はお前とホニさんと守るからな』


 それを聞いてもしかして迷惑をかけるだけではと、はっとなる桐だが「お前から言ったことだろ? 安心しろ、俺が守る」と言うと黙った。

 だから俺は翼を預けられることはない、地上でふりそそぐ矢を鉈で打ち払うのみ。傷も癒せない、身を守る術もこの鉈のみ。


「――見つけた」

「見つけられた……っと!」


 早速に撃ちだされる矢を俺は弾き近くのブロック塀にぶつけて落とす。

 俺は地上で桐がホニさんを連れる中で、後ろ向きに進み空を見上げながらその雨澄を見据える。

 空で遭遇する雨澄よりも小さく見えるどころか強大にさえ見える……天と地の差とは恐ろしまでに幅があるものだ。


「たあぁっ」


 周りこむように桐とホニさんの進行方向へと矢を放った瞬間に俺は、翼を持った時ではないしろ、かつて比べれば格段に増した跳躍で前に躍り出てそれを弾いた。


「――なぜ空へと来ない」

「飛ぶ必要がないと思ったからだっ!」

 

 話してる間だと”手が御留守”なんてことはなく矢継ぎ早に矢が向けられていた。

 ペン回しの要領でクルクルと回る何キログラムかは有る鉈を振りまわすことで金属と木製のハイブリッドとは言えあらゆるものを弾く巨大な扇風機の羽のようなものとなる。

 それを秒速六回転というもはや常人の域を超えてかくし芸大会でも上位に食い込めそうな能力を自力で身に付けてそれを回し、弾き飛ばす。

 鉈の角度を調整して流れ弾が後ろや前や横にいるホニさんたちに当たらないように直前直前で変えながら矢を確実に飛ばしていいった。


「――今日こそは」


 そうして空に浮かぶは無数の弓と矢の組。


「桐っ、ホニさん走るぞ!」

「うむ(うんっ)」


 正直これを相手にするのはヤバい、桐の助力が無ければ死に向かうことだろう。

 今も完全無傷ではなく擦りキズかすり傷、切り傷はある。しかしそれがたまたま大本を逸らしただけであって――命の危機には変わりない。


「桐っ、手を!」

「うむ!」


 がしりと俺の手を掴むと俺は鍛錬で身に付けた脚力で走り駆ける。

 空からは空気を裂く音が聞こえ始め、もう少しで無数の矢が到達するだろう。 

 しかし前方には以前桐に教えてもらった”虚界の終わり”見えてくる。

 ガラスのケースの外に出るような、その境界の先にはいつも通りの世界が広がっている。


「いっけえええええええええええ」


 滑り込むように二人を連れて、俺は地面を蹴り飛ばす――そして俺が越え、桐が越え、ホニさんが越え――

 そうして俺は一人でまず一つのことを成し遂げることが出来た。


「はぁはぁはぁはぁ……桐、これでいいだろ?」

「…………侮っていたな、すまぬ」


 そうして俺たちは元へと戻った世界で、少しの傷が痛みはじめながら家へと戻って行った。



* *



 七月三十日



 分かったことだが、剣使いと戦うところから今までの未来に”付くはずだった”筋肉や俊敏性は無くなっていた。

 おそらくは二週間分の鍛錬で得たことはリセットされている形になる。戦いの際に動けていた部分が少し遅れるので感覚を掴むのには時間を要した。

 なんとか体が馴染んだところで――


「じゃあ行ってくるわ」

「気を付けるのじゃぞ……?」


 俺が玄関でスニーカーに履き替えていると、送りに来た桐がいつも以上に不安げに顔を沈めて言った。


「なーに、なんで今頃そんな心配してんだよ――」


 そうして桐の作りだす時間がゆっくりと進む世界の中で行ってきた”チート”を使うことなく行える鍛錬を一人で行い始める。

 通気性のよいTシャツと半ズボンの夏真っ盛りの日差し照る照る空の下を駆ける為のかなりの軽装で首には汗拭き用のタオルを巻き付け体をほぐしていった。


「……よっしゃ、町内十周だな」

 

 筋を伸ばし足をほぐし終えたところで、俺は走り出す。


「……よっしゃ!」


 俺はそうして走り出す。その日は三十四度を軽く越える猛暑の日だったという。 

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