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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第九章 G.O.D.<出会い>
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第274話 √2-79 G.O.D.

話の遅さには参っちゃうね

「すげえ混んでるな……」

「ユウくんとお祭りに来るの一年振りだね! お姉ちゃんは楽しみです」

「……いや夏の季節限定の催しだから一年振りは妥当だと思うぞ」

「ユウくんと二人でお祭りを楽しむ……一年来の夢だったよ」

「二人じゃねーから、もっとメンバーいるから」


 商店街入口から見ても圧倒的に理解できる。人、人、人の出血大サービス。

 それはもう見ているだけで人酔いしやすい人がみたらば卒倒モノだ、少なからず俺もその光景に後ずさってしまう。


「さ、行きましょうユウジ様」

「行こー、ユウジ」

「レッツゴーだよ、ユウジさん!」

「おう」


 相変わらずホニさんはその目の前にあるお祭りの風景を好奇心溢れる瞳で、今にも走り出しそうな勢いでてくてくと歩きだしていた。

 なんてーか、ホニさんはこういうのはタフなんですね。人ごみにダイブするようなマネ、俺にはそんな勇気も度胸もありやせんよ。


「ちょっと……凄すぎないか?」

「藍浜町の住民が全員集まったらこうなりました、という風体だぬ」


 どこぞの地域で視聴率七〇パーセント超えのテレビ番組が存在したということをどこぞのバラエティで話されていたのを思い出す。

 全町民の内のどれほどの割合でここにいるのだろうか。この町も地方なせいで、過疎化がそれなりに進んでいることもあり総住民数はそれほど多くないはずなんだが。

 それが今見ているお祭りに群がる住民の数は半端でなく、逆に”祭りに行ってない人ってどんぐらい?”と問えるほどである。

 そして町民の方々はハイテンション。八月の上旬は殆どお祭りで商店街に出店が途絶える日は少ない。

 町全体でのお祭り気質がるのか、何故か祭りには皆行きたがる。ちなみに俺は年一回は祭りに繰り出すが、それは祭りに行っていないに等しいほどらしい。


「地方の癖して商業店舗が揃う上にお祭り気質とか……末恐ろしいなこの町は」

「でもこの町は賑やかで好きだよ?」


 ホニさんは人ごみに中で俺から見える距離に前を歩いて振り向きながらそんなことを言う。

 俺も嫌いじゃない……ただここに居ることでの思いでが、まあ良いことだけではないのだけど。


「ホニさんはこの町が気に入った?」

「うんっ! ユウジさんが居て、お姉さんもユイも桐もユキも姫城もクラスの皆もいる――この町が好きだよ?」


 その声は祭りの喧騒のせいで少し後ろを歩くユキや姫城さん達には聞こえていない。

 聞こえているのは恐らく俺だけ、そうホニさんが言ってくれたことがどこか嬉しくて。

 ホニさんがここに居たい、という気持ちを理由を確かめられたことで俺は安心していた。


「ユウジさん、ユウジさん! あのふわふわしたものは何かな!?」

「あ、あれはな。綿あめって言ってな――」


 アクリル張りされそれが飛び散らぬようにされた綿菓子機に丸く長めの竹串をかざしすことで綿あめが出来て行く工程を見れる――出店がすぐ目と鼻の先に迫る。


「ホニさん食べるか?」

「え、でも……我の知識だと、他にもいろいろあるとか」

「まあな。イカ焼きとか焼きそばとか食べ物じゃなければ色々あるな」


 この町のお祭りを全て楽しもうとすれば以下略。


「トリェフ屋にフカヒレスープ屋台、金箔掬いって聞いたんだけど……」

「貴族思考と庶民的お祭りの奇跡の融合!? なんだその”趣味でお祭りという庶民の行うものをやってみましたの”みたいな超金持ちが開く勘違い甚だしいお祭りは!」


 なんだろう、考えたら逆にあざとくてそれはナイ!


「金塊射的は見モノだよね、参加料が多いだけに凄腕のスナイパーが動員されるって」

「そのホニさん知識は一体どこから来るんでしょうねえ!」


 まあ言わずとも分かる諸悪の根源ことチュウガクセイは一体どんな漫画や雑誌を読んだり会話してるんだろうか。

 

「チュウガクセイ……じゃなかった、シロガネーゼとか言ってた人たち」

「自称してる時点でそいつらはシロガゼーネじゃねえ! エセ金持ちだ!」


 痛々しい! ままごともビックリな程に痛々しい!?


 ホニさんはそんな奇抜なお祭り知識を披露すると、綿あめ屋台の前で立ち止まる。


「で、ホニさんは欲しいのか?」

「…………そんなことないよ?」


 それが少し欲しそうで、お預けされたような子犬のような瞳でその次々生み出される飴製の白い綿を眺めていた。

 強がるホニさんも可愛いのなあ、確かに子供っぽい感じもあるし。さっきから子供しか買っていってないけども。


「じゃあおじさん、綿飴一つ」

「あいよ、袋はどれで?」


 出来た綿飴はビニール製の袋に入れられる。その袋には印刷がされていて、子供向けアニメのキャラクターやらが描かれている。

 ホニさんはどんなものが好きだろか……と考えて、思いつくのが。目の端に映る――


「適当に……じゃなくて、ソレで」

「コ、コレかい? あ、あいよ(ネタのつもりだったんだが)」


 おじさんの心の声が少なからず漏れていたのを俺は聞こえていないことにしておこう。

 おじさんはその袋に入った、おそらくは冷めてしまっている綿あめを渡さずに新しいその俺が指定した柄の袋を取り出して目の前で作られたばかりの綿あめを入れた。


「まいどありー」

「はい、ホニさん」


 立ち止まりその機械に夢中になっていたホニさんい手渡す。


「え、でもいいの……?」

「いいの。それで柄は良く分からないんだが…確か、な」


 その柄は少しだけ覚えがあった。あっているのなら――


「ユウジさんユウジさん! これは我の大好きな昼ドラの”偽りの花園”のタイトルと女優が写ってるよ! すごいね、ユウジさんこんなものもあるんだね!」

「ああ、あるんだなあ……」


 見たときはまさかと思った。その綿飴にはデカデカと昼ドラのタイトルと女優の写真が写っていたというからもう驚いた。

 ホニさんが家にいた頃は昼ドラにはまっていて、それもこんなドロドロした内容でこんなタイトルのドラマを見ていた気がしたのだ。


「そういえばホニさんは昼ドラって休みにの日以外はどうしてんの?」

「どうしてるって?」

「昼ドラとか、学校に行っている間はどうしてるかなーと」


 学校に行かざるをえなかたとは言え、いつも見ていたドラマが見れなくなるのはどうだろう。

 それが少しばかりに気になった。


「大丈夫、お姉さんに許可をとってビデオに録画してるから!」

「あー、そうなのか」

 

 家は未だにテープが現役。時代の流れはBDだが、まだDVDレコーダーしかなく。妙に複雑な操作なので機械慣れしていない姉貴とホニさんは使っていなかった。

 ちなみにユイの部屋にはHDDとBDのダブル装備で、深夜帯でアニメが被っても――ってそんなことは殆どないのだが、無断に装備されている。


「まー、とりあえずコレな」

「あ、ありがとね。ユウジさん」


 袋を大事そうにポケットにしまって、舌をそのふわふわに触れさせる。


「甘くて美味しい!」

「そりゃ良かった」


 俺がつくった訳ではないけども。

 そんな綿飴をなめているホニさんは幼さを感じさせる上に、幸せオーラを振り撒いていて見ていて飽きない。


「ユキー、そういえばついて来てる……か」


 立ち止まって綿飴を買い求めたことせいか、後ろにいたであろうユキや姫城さんの姿は既になかった

 近くを歩いていたユイの姿も見当たらない。姉貴とユイが一緒に歩いていたはずなんだが。マサヒロは眼中にない。


「あー、置いてかれたorはぐれたっぽいな」

「ごめんね、ユウジさん……我が浮かれていたせいで」

「いやいやホニさんのせいじゃないぞ……うーむ」


 見たところはもう近くには居無さそうだな。


「よし、ホニさん。これから俺とデートだ」

「えっ、デ、デート!? デザートでも砂漠でも裁くでもなくて!?」

「言葉遊びっぽくなってるけど、デートそのものの意味だから」


 後半から言い間違えじゃなくて連想ゲームと化しているような。 


「デートというのは我が知っている限りだと……付き合う、交際している男女や男性同士や女性同士が一緒に居て、共に歩くこと……?」

「男女は合ってるけども、その後ろの事柄にはあまり触れなくていいと思う、というかそこまで重く行け止めなくていいぞ」


 何か言うと批判に合いそうだが、とりあえず一般的には異性同士のものを指すかと。


「そ、そうかな……それはそれで残念な――」

「ん?」

「なんでもないよ! じ、じゃあユウジさんと二人で!」

「おーし、じゃあ屋台回ろうかー」


 そうして予期せぬ(?) なつまつりデートが始まったのだった。



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