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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第九章 G.O.D.<出会い>
136/638

第275話 √2-80 G.O.D.

ここまで

「あー、もしもし……え、誰? ユキ? で、なんだっけ……あー、了解了解。一緒に誰かいるのかって? 一応ホニさんが――ユキ? ユキさんどした? え、なんでもない? あ、そうか……じゃあ後で」


 ピッと通話を切る。


「ユウジさん、ユキに電話してたの?」

「ああ、一応はぐれたようなもんだからな。探してもらってたら悪いだろ?」


 もしかしたら近くに居るであろう姉貴に邪推されて大事に発展するのを恐れてもでもある。


「あれ、か。捜査に乗り出されそうだな」

「ソウサ……コントロール? スーパーマ○オカートのコントローラ操作は難しいよね」

「操作はそっちじゃなくてだな……って地味にわかりにくいネタを!」


 言っちゃ悪いけど、スー○ァミは十字ス○ィックが標準装備の時点でレースゲームには向かないって。

 そうしたらアド○ンス版とD○版も駄目になると思うけども……まあア○バンス版は操作ダメだったか。

 って、なんでそんな一般人にも理解できそうな懐かしネタをしてしまったんだ! 

 俺は知っている深夜アニメネタを多用するのが平常だというのに……そうか、緊張してるのか。

 ホニさんと二人過ごすってのも結構に少ないからな。桐が付きっきりになってくれたのはいいけども、どうにも桐にはずっと二人で話していると不機嫌に……


「……構ってチャン?」

「カマってちゃん……付け? うーん、我的には――」

「うん、なんでもないからホニさん」


 ホニさんの知識は本当にどうしてここまで携帯の変換ミス張りに間違っているのだろう。

 ……いや今回はそれほど間違ってはいないけど、さっきもそれほど間違ってはいないけども……それが真っ先に出るってのはどうなんだ。


「そういえばホニさんって授業とかどんなのが好きなんだ?」

「うーん、やっぱり国語かな。色々な文に触れられて面白いよー」


 ホニさんは今までの行動挙動通りに知識を求めている……当人曰くは知りたいから神石に居続けたって言ってたっけ。

 ……何百年も過ごしても分からないことも有る。知りえないことがあって、新たなことを発見する度に驚き喜ぶホニさんは――


「羨ましく素敵な人だ」


 人はいつしか知ることを諦める。俺も相手の気持ちを知ろうとして……このことは安易に思い出すべきじゃないか。

 だから、いつでも見えるものが新鮮に瞳に映っているであろう……少し羨ましい。


「素敵? ユウジさんはさっきから――」

「いやー、なんでもないぞ。まぁー、そうだな。ホニさんは可愛いなと」

「な、なななななぁっ! ユウジさんは思うけどからかってるよね!?」

「そんなことないぞ。ホニさんは可愛さと言う言葉を具現化した……イワユルかわいさ魔人というヤツだ」

「聞いたこと無いよそんなこと! も、もう……我があまり知らないからって、馬鹿にしちゃ駄目だよ。意味ぐらい分かってるんだから」

「ほう、ホニさん。可愛いの意味とは」

「もうユウジさんの意地悪!」


 かわいいなあ。好きな子ほど苛めたくなるってのは分かるかもしれない。

 それよりホニさんのウブや新鮮な反応が楽しくて、それでいて言葉通り可愛くて仕方ない。

 つーんとそっぽをむいて、横から見えるほどに頬を膨らました膨れっ面も非常にめんこいなあ。


「機嫌直しじゃないけども、金魚すくいやろうぜ?」


 目に映った金魚鉢に朱色と白色の混ざった金魚が泳ぐ様が描かれたイラストと「金魚すくい」と柔らかな書体で書かれた屋台を指してホニさんに呼び掛ける。


「金魚すくい……? 金箔すくいの派生――」

「怒られる、それは庶民やお祭り関係者の方々に怒られる。こっちが本流で、そっちは派生……しているのかも定かじゃないけども」


 アニメやマンガ的表現にある。日本での豪邸とか「まるで西洋の城のようだ」なんていう土地があるわけないように、そんな祭りも恐らくはガチフィクション。


「金魚を薄い紙の張られたポイていう金魚すくいの道具ですくうのな、紙が破れたら終わり」

「大体ルールは分かったよー」

「じゃあおじちゃん、二人分」


 あいよーという元気の良い掛け声とノリの良い笑顔で二つの道具が渡される、一つをホニさんに渡そうとすると。

 ホニさんは途端に取ろうとした手を引っこめて、何か申し訳なさそうに言った。


「でもユウジさん、奢ってもらってばっかじゃ悪いよ……一応お姉さんにもお小遣いもらってるのに」


 確かにホニさんも俺と同額の小遣いを貰っていて――額のことはどうでもいい、それを使うべきだとホニさんは思っているみたいだけども。


「いやホニさん、これはデートだぜ? それも俺が誘った上に男側がカッコ付けたがるもんなんだ」

「そ、そうなの? ……でも! ユウジさんだけにはやっぱり――」

「……そうか、俺はホニさんのデート相手としては釣り合わないか。そうだよな……」

「そんなことない! というか釣り合ってないのは我の方で……きっと他の皆もユウジさんと行きたかったと思うのに、我は……」

「なら良かった、姫。それでは金魚すくいを共にやりましょう」

「ひ、姫って……うん。じゃあユウジさんに甘えて」

「よーしこれもゲームだ。どっちが金魚をどれほどすくえるか」

「うんっ! 負けないよ!」


 俺はそうしてポイを渡して、対戦会場に向き直る。


「行くぜー」

「うん!」


 そうして俺たちは金魚すくいを楽しんだ――

 こんな平和で、何気ない時間がやはり愛おしくて。ホニさんと居る時間が楽しくて。

 俺はこの日々がやはり相に合っているのだと、どうしても慣れることはないのだと思った。




「ま、負けた……だと」

「えっへん!」


 俺こと金魚マスター……という称号は以前から存在しなかったが、それなりに器用なはずの俺は大敗北し、ホニさんの圧倒的勝利に終わった。


「ホニさんはゲーム運強いよなー、桐にも毎回勝ってるよな?」

「自慢じゃないけどねー」


 そういうホニさんが胸を張って言う姿は、やはり少し背伸びしているようにも見えて可愛らしい。 

 その浴衣姿が更に華やかにしているのだろうけども……ホニさんはやっぱりいいなあ。

 ホニさんが家族だから、大切だから……それもあるし、ホニさんといると幸せだった。

 だから俺は今まで頑張れた。ホニさんがいたから頑張れたわけで……


「ありがとな、ホニさん」

「ううん! ユウジさんこそありがとね、こんな楽しい遊びを教えてくれて」


 見せる笑顔が可愛くて、それに俺は魅せられた。


「そうだなー……もうそろそろか、ホニさん少し早歩きしようか」

「うん? 何かあるの?」


 先程まで吹いていた風は収まり、空も澄み始めていた。少しばかりは危惧していたが……これならば。

 俺は締めつけない程度にホニさんの左腕を掴むと少し小走りになる。


「ユ、ユウジさん!?」

「そこの広場で、ちょっと見たいものがあるんだ」

「見たいもの?」


 ホニさんの不思議に思うような声が聞こえる……しかし俺は時間をみて、出来れば開けたその場所で

見たかった。




「着いた、ちょうどいてるからホニさんは席へどうぞー」

「いいの? ユウジさんは――」

「この国ではそうでもないけどもレディファーストが基本だからな、お穣さまはここに」

「照れるからその言い方は止めた方が……いいかも」


 ははと笑い俺はホニさんの言うのを受け流した。


「もう少し……お」

「……あっ」


 その時空を見上げると、そこには花が咲いていた。

 闇夜に浮かぶ火で形作られた一輪の花。


「わぁ……」


 それは花火。今日は調べた限りだと花火が打ち上がる日で、丁度それが重なった。

 思い出した俺はホニさんを連れて、商店街の手狭なところよりも空が見える広場移動したわけだ。


「ホニさんは見たことある?」

「あるよ……石の上から、遠くからね」


 見つめるホニさんの顔はいつもの好奇の瞳をは違って、どこか新鮮で。


「二人で、誰かと見上げられたのはこれが初めて……だよ」

「……そっか」


 ホニさんは頬を染めながらそんな事を言った。

 ギャップじゃないけども、そう真剣にいうホニさんが綺麗で美しくて――繊細で華奢で――儚げにも見えた。

 そんなホニさんが俺は見惚れるほどに……


「綺麗だね」

「綺麗だな」


 その一度に上がる花火が終わる十数分の間、俺とホニさんは空を見上げ続けた。

 俺はその間、連れた時からホニさんの腕を掴んだままで。ホニさんもそれを離さずにいた――



「良かったぁ」


 花火を観終わったあとのホニさんはどこか爽やかで幸せそうに微笑んでいた。


「ホニさんが幸せそうでなによりです」

「うん、幸せ」

「それは良かった」

「でも、ね……あと一つお願いしていい?」


 どこかもじもじして言うホニさんに、つい俺は見栄を張って答える。


「なんでしょう、俺が出来ることならばなんでも――」

「魔王を倒して」

「それは俺を過大評価し過ぎたと思う!」


 いくら鍛錬しても無理ですって。


「冗談だってば……え、っとね。手を……」

「手? ハンド?」

「う、うん……出来れば、出来れば――」

「出来れば……メイク?」


「手を繋いでほしいかな……って」


「手……ね」

「うん……あっ」

「これでいい……のか?」

「うん、これでいい」


 ホニさんと手を繋ぐ。それは沢山の時間を一緒に過ごしたとはいえ気恥かしいものがあった。

 その一方でホニさんと手を繋げたことが嬉しくて仕方なかった。


「このまま行こっか!」

「ああー」


 二人歩いて商店街を歩いて行く、ユキや姫城さん達と待ち合わせした商店街の入り口まであと数分だ。

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