第267話 √2-72 G.O.D.
水着って種類多いのなー、俺ってばビキニとスリングショットぐらいしか知らなかったぞ。
「ふー、今日は楽しかったな」
「ですねー」
「だねー」
「楽しかったー」
「うむうむ」
いやあ、美少女たちとの海水浴……夢だったんだよ、さりげなく。
在来メンバーのユイとマサヒロは色気の欠片もないし(マサヒロにあったらおかしいんだが)
今年もただ海ではしゃぐだけかと思ったらこれほどまでに海水浴を満喫できるとは!
……それに、戦いを未だ続ける中でのこういう休息はやっぱ大事だなー。羽伸ばさないとストレスやら疲労で倒れてしまいそうだ。
そうして夕暮れを迎えて、少しは涼しくなり始めた海岸を体中に潮の香りを乗せて後にした――
えええええええええええええええええええええええええ、前回「どうせ次回の更新で終わるでしょうけど」って言いましたけど!
冒頭で締めに入った上にガチ終了ですか! おかしいんじゃないですかっ、スタッフの頭の構造どうなってんの!?
シリアスの中にちょっとしたコメディ要素を入れることで話の起伏の効果促進……なはずなのに、どうしてあからさまにやらかしてくれるかなあ!?
はーい、最近毒されて来ているとはいえ私としては不本意ですが……やり直しを要求します!
ダイジェストで終わらされるなんて、錦○監督と赤○シリーズ構成の某電○文庫アニメじゃあるまいし!
ということでリアリー!
* *
真夏の太陽の下、ジリジリと髪の毛が焼かれていくことに嫌になり屋根付き清潔な男子更衣室に逃げ込み、俺はさっさと水着に着替えた。
おっと、お約束の「いっけねー、男子更衣室と女子更衣室間違えちゃったー」という展開ののち女性陣からこのうえない非難を浴びせられる――そんなわざわざ忍び足で地雷を踏みに行くことなんぞしないね。
俺だってアニメや漫画で学んでいる。だからそんな展開になることはないということっ!
……まあさ、あまりにも色気要素ないなーって思う時はあるよ? だって少年漫画でさえあるパンチラもないしさ、お約束の着替え遭遇イベントもないしさ。
あー……そう考えると、すげえ残念すぎる。
「いっそ、行ってみるか?」
まあ、ないけども。
俺はそんなエロガッパと名づけられそうな行動はしないのだ。
「ユウくんお待たせー」
「おお、姉貴……おお」
姉貴がいつもとは全く異なる肌の露出の多いビキニタイプのなんとも色気に満ち溢れた水着でやってきた。
それは息を飲むぐらいに似合っていて、色が水玉なのも非常にエクセレント……で、弟としては駄目なのだが。
胸がなんとも大きいわけで、水着から溢れんばかりのバスト――とはこのことだろう。てか姉貴の着やせっぷりは半端ないな、毎年思うけども。
「ユウくん、なんで覗きにこないの?」
「え……えー?」
いきなり何故そんなことを言うのかと。それに屈むとね、腕と腕に挟まれた豊満なバストがですね……実に淫靡に形を変えるわけですよ。
いやいやまずは姉貴の発言から正そうか、うん。戻れ、俺の理性。
「だって、ハプニングであるじゃない……期待してたのに」
「いや、そんなハプニングめったにないから。期待すること自体間違えだから」
現実でそんなことあるわけない、少年の成長期を刺激する微エロ展開なんぞ現実で換算したら天文学的確率でしかならないだろう。
というかそんな一瞬の悦びに、人生投げ捨てたくはないわけですよ、はい。
「まったく、ユウジはヘタレじゃのう」
「え、なんで俺責められてるの?」
ガチで分からない、最近残念度が低くなりがちだった桐が今日にきて素晴らしい残念なことに。
「ふふ~ん、アタシのナイスバデエを拝まないとは……じつに勿体ない」
「いやユイ、お前がスタイル良いのは認めるが。別に見たところでなんともない」
「はい傷ついた! アタシ今傷ついたよ!」
「そんなんで傷つく豆腐メンタルではないと思うんだがな、お前」
「…………よ、横ピース」
「あー、分かりにくいネタ使うなって」
ユイはなぜか痴女よろしくのブラジル水着またの名をスリングショットだったが絶対にツッコまない、まあ生地は厚めで太めだし……まあギリギリ大丈夫だろう。
グルグルゴーグル越しとはいえ、ほんの少し俺がユイのことを言った時に少しはムッときていたのかもしれない。
僅かに眉を吊り上げて、頬を膨らましただけなので定かではないが。
「(私も負けてられない!)男の子だもんね……で、でもユウジならいいよ」
「よかないよ! ユキさんなんか姉貴とかに対抗心燃やしてもしょうがないから!」
ちなみにユキの水着は赤色ホルターネックのツーピースという上半身と下半身で分かれたタイプでストラップを首に吊るしていてビキニよりは露出度は落ちるが十分に胸の豊かさを表せている。
その……いやね、少し見える谷間チラリズムが本当にさあ……ユキさんはスレンダーな割には出るところが出ているというモデルが泣いて悔しがりそうなスタイルの良さだよなあ。
姉貴には負けるけども、この年でそれはかなりに大きい気がする……恐らくはユキよりも大きいであろう胸を持つ姫城さんの水着姿を一度は拝みたかったものだ。
「ユウジ様……私は泳げませんので、やはりご期待に沿えません――でも私から見に行くことは可能ですね」
「期待とかじゃないから! というかさりげなく怖い発言自重してください、姫城さん」
姫城さんはやはりパーカーを着ている、言い忘れては居たが麦わら帽子を持ってきていたようで……どちらかといえば大人っぽい部類に入る姫城さんの容姿とのギャップが実に良い。
まあ発言としてのユキと姫城さんは――うん、もうそれ言うのも野暮だよな。ま、まあ美女だからいいですけどね!(謎)
「あ、ユウジさーん」
「!!」
おおう、初めて”!”を二連続で使っちゃったよ。これって本当は使い方として駄目なんだけども、まあそれほどに無言の驚きというかなんというか。
ホニさんは白地に黒いドットと裾などに茶色の線が入る落ちついた色合いのワンピースタイプのAラインという水着で、言葉通りにワンピースを基本として裾を切り詰めてミニスカートのような長さになっている。
フリルが付くと子供っぽさが表立つがこれにはなく、ユキさんと同じくホルターネックなのでどこかワンピースタイプと総じて肩が露出する健康的な色っぽさが有ってこれも実にいい。
というかホニさんもスタイルいいんだよなあ、中学生容姿にしては各所成長してるし――てか水着姿も可愛いなあ。
「ユウジさん、お姉さんのお古なんだけど……これどうかな?」
何か見覚えがあると思ったら、何年か前に姉貴が来ていた水着だった。
てかこの水着は……もう三年以上は経っていたような気がする、姉貴が今のホニさん並みスタイルだったとすると――止まらない成長期ですね。
「に、似合ってるぞ? 可愛いんじゃないかな、ホニさん」
「か、可愛い!? ユウジさんさっきも言ってたけど……お世辞言ってもだめだよ?」
「いやいや、ホニさんはすっごい可愛い。これは俺がとにかく断言する、もうホニさんはむっちゃくちゃ可愛い」
「っ! な、ななななななななななな」
俺の言葉で動揺してあたふたするホニさんかわええなあ。
「ユウくんは可愛い系のが方がいいんだ……」「あー、ユウジがまた落とし文句言ってるよ」「……私にも言ってほしいです」「アタシにもカマン」「健やかに爆発しろ」
なぜか非難轟々、言われたい放題なのだが……まあスルーで。
ホニさん以外の女性陣からジトッとした視線をいただいているけども、流石にごちそうさまなので……話題というか、海に来た目的を思いだす。
「と、とりあえずは海に来たんだからなにかやろーぜ!」
「ユウジ、ビーチバレーの球持って来たけど、やる?」
「おお、じゃあ俺やろっかな」
「私もやります、ではユウジ様との同じチームに入るのは私でいいですね」
「だめだよ姫城さん、こういうときは幼馴染でユウジのことを知っている私が」
「いえいえ篠文さん、いいですって。私とユウジ様は以心伝心ですからお茶の子さいさいです」
「いいえ、ここはユウくんのお姉さんである私が――」
と何故か(よくは分からないが)三つ巴のバトルが繰り広げられていたが「じゃあホニさんは分からないだろうと思うから、俺と同じチームでいいか?」「いいけど、やり方教えてねー」「うむ、じゃあわしも入るかの」
三対三のビーチバレー。チーム別けは”三つ巴戦いチーム”と”ユウジシスターズ”ということに。
「じゃあアタシが審判やるぞー、マサヒロは二組なのでいない」
「……得点ぐらいやらしてください」
そうして夏休みの海でのビーチバレーに始まり、遊泳対決にお決まりの水の掛け合いなどなど――あっという間に楽しい時間は過ぎて行った。
* *
それで冒頭に戻ります……うーん、なんか消化不良なんですが――まあないよりはマシですね。