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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第九章 G.O.D.<出会い>
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第263話 √2-68 G.O.D.

本当に申し訳ないほどにグダってます。本当に申し訳ないです。

「あー……俺生きてるのか」


 布団の被さっていた自分の手のひらを見る――普通に健康的とまでは行かないが血の通っている肌色。

 その手で胸をさすると……そこには切れ目のよう傷が有り、さするだけで「つっっ」痛みが走る――しかし流れ出ていたであろう血は完全に止まっていた。


「ユウジさん、大丈夫ですか!」

「ああ、ホニさん。大丈夫……なんかな」


 若干あの夢を見たせいか、かなりに冷静になっている。それといった持続する痛みもなく、意識は澄んでいた――とりあえずは大丈夫そうだ。

 ここまで冷めた解釈をするのも、倒れる直後がいつになく熱くなっていた反動なのだろうか。


「疑問形で返すでない、これでもわしの治癒はほぼ完ぺきと言えよう」

「ああ、桐がか……ありがとな、そしてスマン」


 夢の中の女の言った通りだった。桐が俺を治癒してくれたことに感謝する、飛ぶ力も鍛えることも俺を治すことも……なにもかも桐に頼っているんだなあ、と改めて思わされる。

 文字通りに、桐がいなければ俺は何度も死んでいた――それはとっくのとうに。


「桐はユウジさんが寝込んでいる間にずっと看病してくれたんだよ」

「あー……それで今はいつだ――」


 時計を見て分かることは、針は「三」の数字を指していること。辺りを見渡せば薄暗いどころでなく部屋の灯りだけが燦々とついているだけで周囲は真っ暗であること。


「あー、もしかして深夜?」

「うむ、明るくない方の三時じゃ」

 

 ……家から繰り出したのは放課後夕方、倒れたのが色の判別のつかない赤色の世界だったせいで分からないが――何時間も治癒をしてくれたのだろう。


「桐はさっきまでずっと治癒してたんだ」

「ホニっ、皆まで言わんでいいじゃろう!」

「本当にありがとうな、桐」

「………………礼は良い、それよりも倒れた状況を聞きたいのじゃが。良いか?」


 桐は一瞬照れたような表情をした後に、時折みせる真面目顔になって問いかけてくる。


「あー……そうだな、じゃあまずはな――」


 俺は桐とホニさんへと向かって喋りはじめる――しかしある一部の事については、俺の口が喋ることを拒んだ。

 それは、ホニさんのこと。ホニさんがどうやってその容姿でここにいるのか、どうして俺はあの頃にあった疑問を抱かなくなったのか――


 聞くのが怖かった。何か崩れてしまいそうで。

 本当は冷静になっているのもその崩れてしまうことへの怖さを堪え抑える為のものなのかもしれない。

 その銃使いの男の言った言葉を俺は受け付けていなかった。それが事実なのか虚偽なのか……それ以前に俺はホニさんを信じたかったからでもある。

 だから俺はその話題を避けて、どうやって戦ったか。どうやって俺は負けたのかを、少しの嘘を混ぜて話した――



* *



 ユウジさんは話してくれた。ユウジさんがどうやってそのジュウを使う男と出会って、戦って、倒されたかを――

 ユウジさんは「男の挑発に乗って襲いかかったら、すぐさま撃たれた」と言っていたけれど――きっと違うのだと思う。

 確信がある訳じゃないけれど、ユウジさんは話している途中に何かを考え込むように間があって。それに少しの違和感があった。

 それが我や桐に隠している事だったとしても我は何も言えなかった――我はユウジさんに居なくなって欲しくないから。

 その疑問を口にするだけでユウジさんを「信じていない」ことになってしまいそうで、それがとてつもなく怖かった。

 前に関わりを持てた人とは……我のせいとは言え短い付き合いだった。ユウジさんも我が過ごした幾年の時を考えれば微々たるもの――はずなのに、この時間が愛しくて大切で仕方なかった。

 こんな気持ちは初めてで「ユウジさんの隣に一緒に居たい」そんな気持ちが日に日に膨らみ、ユウジさんを傷付けてしまった今でもそう思ってしまった。

 ユウジさんを騙すことを決めたけれど……それはやっぱり胸がきりきりと痛む、けれどそれを言った途端に全てが終わってしまいそうで。

 だから我は何も言う事ができなかった。我は神様で悪魔にもなるというのに――ユウジさんのことになると、我の大切な人たちのことになるとどうしても弱くなってしまう。


 我は本当に卑怯なのだと思う、いくら年を重ねても、これなら我は本当に幼稚……我は誰よりも愚かで傲慢でそしてとてつもなく弱い。



* *



 ユウジの話を聞き終わり、わしはユウジの倒れたその後を話す。

 その後にはホニと話す機会が十分にあり、あったのだが――ホニはなかなか口を割らなかった。

 問い詰めるように聞き出せたのは「我はとっても愚かだから」という言葉ぐらいで、それ以外はだんまりを決めていた。

 ホニが何かを隠していて、ユウジも何かを隠している――それは二方の表情を見て理解できたが、何を隠しているのかは分からない。

 わしは心を読めるとは言うが、本人がどうしても隠したい事がらなどは”フィルター”がかかったかのようにボヤけた分からないのじゃった。

 二人はどちらもボヤけていて、わしの持つ攻略情報もどこか漠然としたものなので、各登場人物の心情までは把握できていない。


「(うむ……二人の思考がいまいちに読めん)」 

 

 表現するならば、二人は同時に仮面を被った――というような感じじゃろうか。

 今までは直球で話し、喋っていたのに。今では遠回しに”一つの事柄”を露骨に避けるように話している。

 そう、それはわしが知ってはいる漠然とした攻略情報の中でも確かに存在する――


「(……ユウジとホニは気付いた、ということかの)」  


 一人はそれを隠したくて、一人は気づけたことを隠したい。

 

「(難儀というか、ここまですれ違うとはな)」


 …………かといってわしが口出しできるわけではないからの。これ以上の介入は無理じゃし。


「(しかしホニは力を使ってしまった……か)」


 これから止めるのは無理じゃろう。あいつの性格的に、ユウジをこれ以上一人で戦わせたくない、とか言うじゃろうし。

 もうわしが言っても聞かんじゃろうなあ。わしにも責任があるのじゃろう……ユウジが心詠を意図的に切られるとは予想外すぎたとはいえ、な。

  

「(見守ることしかできないというのも辛いものじゃの)」


 わしは出来るだけのサポートをするまでじゃ。しかし……今回も――  


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