第247話 √2-52 G.O.D.
あああああああああああ、俺の表現力がないせいで小物臭が半端ねー!
どうもナレーションのナレーターです。
この始まり方何度目だよ、ハマってるのか? と言われそうですが、特に意味はないです。
伏線でも趣味でも主義でも義務でもなんでもありません、言うなれば台詞の使いまわしといったところですね。
冒頭からナレーションが始まっておっかなびっくりかもしれませんが、ええ。私が来た時点で少しイレギュラーな視点で展開される訳です。
例えばユウジが読みとれないヒロインの心情とか、または敵対する組織の――では始めると致しましょう。
* *
ここは藍浜商店街を突っ切って、映画館を横目に、姫城舞の家をも通り過ぎた藍浜町の端。
そこから小道に入れば地主が居なくなり誰も手入れのされないその場所は雑草天国、小さな野生動物やら虫の楽園へとなり果てている場所へと辿りつきます。
更に進めば一部のガラスは抜け落ちて闇夜には不気味にみえるデザインガラスを持つおそらくは教会だと思われる建物が見えてきます、灯りはかろうじて通る電線に備え付けられた今にも消えてしまいそうな街灯少し。
こんなところ誰もいないだろう、と言わんばかりに生活の臭いは殆どありませんが……良く見れば草木を押し倒して人が通ったかのような痕跡が見られます。
その少しずつ姿を現す教会は見た目こそ廃墟同然ですが、良く見ればほんの小さな灯りが漏れていました。
灯りを辿り、教会の中を覗いてみると――
「――タカユキどうだった?」
「まあまあだな、そういうシュウスケお前はどうなんだ?」
「うん、二人」
青年の会話と思わしき声が聞こえてきます。一人の穏やかな方はシュウスケで、少し荒っぽいのがタカユキと読みとればいいのでしょう。
辺りはもうとっくに暗く、既に一日が終わっているであろうそんな時間に。何を好き好んでこのような廃墟に集まっているのか――
「ヨリはどう?」
ヨリ……もしかして、それは雨澄和。その人ですか――!?
その姿が見えてくれば、それは藍浜高校の女子制定制服を着た。ユウジが遭遇し、矢を討って来た雨澄和その人でした。
証拠に座っている教会の木製の古びたロングベンチには矢が積まれ、膝の上にもその矢が置かれています。
一方の青年は、一人は――そう、あの時のこと。
「――申し訳ない」
「おいおい、お前ここ数日不調じゃねえか。俺らの力があれば人になりすます異なんてちょろいもんだろうに」
「そうそう貧乏神だか厄病神だかの神様って言っても、この世界では人を使う以外は実体化できない異の一種類に過ぎないんだから」
厄病神……やはりそうですか。あの晩のこと、屋根上での戦いを繰り広げ――小さな女の子の形をしたそれを迷うことなく身長大の大きさの剣で半分に切り裂いた。あの人でしょう、やはり手元には大きな剣が立て掛けられ、月明かりに刃がキラリえと光ります。
ということはここにいる人らは桐の言う”アイツら”ってとこでしょうね。異をコトナリと呼ぶ以上はほぼ確定ですね。
「――協力者がいる」
「ふーん……確かにここのところは妙だねえ」
「ヨリ、お前の通う学校に異はいるんだろ? そんな小さい空間ならとっとと消せるだろうが」
「――遭遇することが出来ない」
遭遇することが出来ない……桐の言っていたアイツら避けの術ということならば、この和の言う協力者は桐ということになりますね。
「そういえば言っていたねえ。異とその接続者を追いかけている途中に突然どこかに飛ばされたって」
「俺の知るところだと、そりゃ異の”魔法使い”が使う”カットアンドペースト”って魔法に似ているんだがな」
魔法使い? あの魔法使いなんですか、桐。初耳なのですが……確かにそれならばチート使える説明は――ゴリ押しのご都合ですけど付く、のかな?
「うんうん、でもそうなら異は二人いるはずなんだけど……ヨリは一人と接続者って報告だったけど、間違ってない」
「――訂正は無く、一人」
違うんですか! ……じゃあ桐は一体何ものなんでしょうか、喋り方や性格も当初のキャラ設定とも違うようですし。
「だってよ」
「うーん、これは本当に妙だ」
「だとしてもお前は異を消さなきゃいけないのは分かるよな?」
「――理解している、事態を長引かせることで身を滅ぼすことは周知している」
「ならいいんだが」
「まったく、嫌なものだね。こうして選ばれてしまったせいで、異を消さないといけないだなんて」
「そういうお前はいつも剣を振るえて嬉しそうだがな」
「まあ、消せる瞬間は快感だしね。それに最近は楽しめるようになってきたんだ」
「……お前の人間離れも相当なもんだな」
「いやいや、タカユキも銃なんか人目も気にせず連射出来て楽しいんじゃないかな? それにもう僕たちは」
その好青年はさぞそれが当たり前のように、どこか楽しそうに続けて言います。
「――異を消し続けなければならない、そんな宿命を持った能力者なのだから」
運命を受け入れ、その楽しみ方えを知っているようにも見える彼は微笑みました。
まだ夜が続く中で、三人は少し灯りを頼りにしてその教会に居続けます。