第243話 √2-48 G.O.D.
コメディ回に見せかけたクラスメイトキャラ立て回。
積み重ねって大切だなあ、と執筆していて再認識させられた。説得力のかけらもねェ!
「ホニさん大丈夫か?」
「ユウジさん!」
囲まれていたせい困った顔をしていたホニさんに助け舟を出してみる。
「う、うん大丈夫!」
「編入初日なんだから無理すんなよ? ほらお前らも囲みこむな、ホニさん来てばっかなんだから」
「うう……ごめんねホニちゃん」「後ででいいから色々聞かせてね?」「下之くん親バカみたいだね」「というか下之くんの家族ってレベル高い気がする」「下之くんは悪くは無いけど、副会長も前きた小さい妹さんと全然似てないよねー」「この胸の高鳴り……これは恋かしら?」
「けっー、保護者気取りかっ! タラシユウジ!」「ホーニちゃん、また後でなー」「……こんな妹がいるのにユキさんをっ! 神はなんでこんなゲス野郎にいくつもの宝を授けたのでしょうか!」「いつかその長い黒髪梳かさせてねゲヘヘ」「ハァハァハァハァハァハァハァ」
……なんというか意味も無く俺が罵倒された気がするし、一部に危ないが奴がいるがスルーしておこう。
というか毎回思うけどもクラスの面子濃すぎるだろ、なんで皆無名キャラなのか疑問なぐらいなんだが。
少し焦り困り気味だったホニさんを連れ出してみる。ホニさんは「楽しい!」と「戸惑い」の感情を混濁させた苦笑した状態で出てきた。
「本当に大丈夫か?」
俺が心配してホニさんの顔を覗いていると、観念したかのように。
「だから…………ええと、少し疲れちゃったかも」
少しの疲れを滲みさせた笑顔でそう言った。
「やっぱりな」
「で、でもっ! 楽しいよっ? ……だってこんなにいろんな人と一緒にいて喋れるのは初めてだもん」
少し憂げで何かを思い出すように瞳を閉じてそっとホニさんは呟く。
あー、そっか。ホニさんは本当に人との関わりの少ないであろう墓地の神石の近くに居たのだから、それは紛れもない事実なのだろう。
そんな呟きを聞いた少し離れたところにいるクラスメイト達は。
「……良い子だぁ」「そう言ってくれてありがとね、ホニちゃん」
「イイハナシンダナー」「ホニちゃんがそう思ってくれるなんて嬉しさ極めりだぜい!」
若干感動していた。このクラスは感情豊かな人が多いんだなー、なんて思えたりする。
まあ、俺のことを貶す男子勢以外は悪いヤツはいないのだろう。
ホニさんは少しまた俺に近づいて、他のクラスメイトには聞こえないような声で。
「……もの珍しさで集まってくれたのもあるかもだけど、我は嬉しいよ」
そうそっと俺に聞かせた。しかし俺はそれだけではないと思っている故に反論する。
「少しの話題性だけで離れていったら物珍しいだけだったかもしれないけどさ、おそらくこのクラスメイトの大半はそれだけじゃないと思うぜ?」
そう俺が言ったことにホニさんは少し驚いていたみたいだが、大丈夫だろう。一週間一緒に居る俺が保障する。
なにせホニさんは可愛く、きっと誰にでも愛されるような優しく温かな存在だからな。
初日で分かるぐらいに、ホニさんを可愛がる女子生徒やまだ揃っていない教材を貸そうとする男子生徒が沢山に居た。
来たばかりのホニさんをそれからは気遣って、委員長が「質問は一人一回三〇秒までー。可愛がるのは女子生徒に限って十秒」と指揮を取っていたのもあったが彼らも自重して何十人でいきなり囲むことはなくなった。
ホニさんのキャラもあるのだろうが、クラスの濃いキャラ譲りの若干お祭り好きなノリもホニさんを受け入れられやすい環境にしているのかもしれない。
なんだかんだで、心配していたことは完全になくなり。ホニさんも悪くはない学校生活が送れそうだと、ほっと胸を撫で下ろした。
四時限目が終わり、桐の謎ドリンクさまさまで授業中は寝落ちすることなく板書が出来て思わずのびをする。午前の部終わったーっと思っているとユキがぱたぱたと駆けて来た。
「ユウジー、今日はお弁当?」
「いや、学食のつもりだ」
今日は弁当をを用意することをしなかった。というのも月曜は学食or購買が基本なのでいつものことなのだが。
……まあ昨日グッタリのせいでそんな余裕など、実際にはなかったので大助かりだったのだが。
「私も学食ー、ユウジもホニちゃんも行こー」
「おう、ホニさん。学食でいいよな?」
「ガクショク! それはマナビヤで食べられる三ツ星レストランのことかな!?」
「いやレストランというより大衆食堂だけどな」
確かにまずくはないし高くもないののだが、そんな三ツ星なんて言ったら食堂のおばちゃん達が嬉しさのあまり号泣しかねない。
「わー、楽しみだなー!」
「ホニさん落ちついて」
あまりに瞳をキラキラさせるもんで、クラスの生徒の注目の的になっている。ちなみにクラスの総意思は「なにこれかわいい」といったところ。まあ俺も否定はしないどころか大いに賛同なのだが。
「じゃあ行くぞよー、いざ行かん生徒の聖地へ!」
「ホニちゃんとの学食かぁー、こりゃ腕がなるぜ」
「ホニちゃん、行こっかー」
「うん!」
「ユウジ様、私もご一緒しますー」
「おお、姫城さんも来る? じゃあ行こうかー」
といつものメンバーにホニさんが加わる形で、学食に向かう。
ちなみに背後では――
「……っと、俺も学食に行こうかな」
「馬鹿言えお前は今日もあんぱんだろ」
「ちがわい、これは高級あんぱんだ! 栗入ってんぞ、栗!」
「じゃあその栗を味わってるがいいさ、俺は行かせてもらうぜ」
「何を抜かす、お前は今日は大好きママンの弁当じゃないか」
「なっ! ママンは大好きなんかじゃないやい!」
とか。
「購買止めて学食にしようかな」
「そうだねー……なによりホニちゃんを見れるし」
「見ているだけで癒されるよねー」
「だよねー……でも、私は癒しだけじゃなくて――」
「――岬っ! まさかあんたっ」
「うん、恋しちゃったかも」
「だ、駄目よ! 私というものがありながらっ」
「ヒロちゃん大丈夫……私は何人でも愛せるから」
「そ、それならいいけどねっ!」
や。
「ホ、ホホホホホホホニちゃんの可愛さはアニメ化決定だよぅ!」
「違うっ、劇場化ケテーイレベルだよ」
「アニメは四クールでT●Sで、どどどどうかな?」
「異論はないっ!」
「キャラデザ・総作監を沼●さん」
「いや坂●さんで」
「異論はないっ!」
など……と聞こえてくる。ちなみにこれは描写してなかったりクラスメイトを取り上げていなかったしただけで特には平常と変わらないと言うね。
ここに来てクラスメイトのキャラ立てをする訳じゃないが……濃いだろ? それでいて悪い奴はいなさそうだろ?
まあそんなところだ――もちろん俺みたいに女子の近くに居るのは男子生徒には歓迎されないけどねっ! 授業中に「リア充爆発、リア充消滅、リア充暗殺」という不穏な言葉が後ろから流れてきていたけど気にしない! 実際ユキや姫城さんと仲良くなってからは日常茶飯事だしね!
いやー、このクラスの男子どころか他クラス他学年の男子生徒は俺には優しくはないんですよ! 本当に…………はぁ。
まあ、でもホニさんがすぐに溶け込めたからいいや。