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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第九章 G.O.D.<出会い>
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第242話 √2-47 G.O.D.

地味にエグイ描写してるのに薄いという、なんというかユウジに悪い気がしてならない。



ホニさん編入は当初の予定と異なるんだよな……どうなることやら(え

「ホニちゃん人気だねー」


 ユキがそんなホニが生徒たちに囲まれて質問攻めのい会っているところを見て呟く。

 俺も頷きながらも「しっかし男女問わずの人気だな」と返してみる。


「ユウジ、そういえばどうしたの……その沢山の絆創膏」

「え?」


 ユキが言ったのは頬や指にも貼ってあるある絆創膏のことのようだった。


「これ……ちょっと料理でしくじっちゃってな」

「顔とかも怪我してるみたいだけど?」

「あー、包丁飛んじゃったからな」

「危ないよね! どういう経緯があったら包丁が顔をかするぐらいに接近するの!?」

「まあ、俺ドジッ子だから?」

「もう……でも気を付けてよ? 絆創膏で済んだから良かったんだから」

「ああ、すまん。まあ、心配かけた」


 確かに絆創膏の数があまりにも多いのは確かでユキが心配するのは分かることだ。

 ……もっとも昨日俺は料理なんてやっていなく、包丁を空中乱舞させるほどの料理オンチを通り越して天然傷害兵器と化してはいないのだが。


「…………あー」

「ユウジ?」

「いや、ちょっと思い出しただけだ」


 昨日の出来事が思い出される……なんだったんだろうな、アレ。



* *



「早速基礎体力を付けるぞ」

「よろしくお願いします」


 体育系よろしくの力強さと勢いで頭を下げて一応コーチとなる桐に頭を下げる。


「うむ、それでは始めるぞ」

「おう! ……で、何から?」


「そうじゃな――まずは重傷を負ってみろ」


 ……こいつは一体何をいいやがったのでしょう。教え子にコーチが絶対には言はない、言ってはならないであろうことを言った。

 もしそれが教師なら懲戒免職確実で、ブログやツ●ッターが炎上どころの話じゃなく児童相談所がギリギリで動きだすぐらいのことを――さぞ平然と言われた気がしてならない。


「えーともしもし、桐? 重傷を負えというのは聞き間違いだといいのですが――」

「言った通りじゃが」

「……マジで?」

「うむ」

「大けがしろと?」

「そうじゃな」


 ……ギャルゲーでこんなひどいヒロイン台詞があっていいのだろうか。というかこれが本当に正規かは分からないが、確実に言っていることがおかしいことはこの阿呆な頭でも理解出来る。


「……聞き間違いでないなら理由を聞きたいんだが」

「言うなれば耐性を付けろということじゃな」

「痛覚への!?」

「うむうむ」


 正気かコイツ。


「これから踏み入れる世界はそれまでに危険な世界じゃ。言っておったろう? 実際に未遂寸前までになったじゃろう? ――これからはいつ殺されてもおかしくはないのじゃからな」


 急激に頭が冷え背筋が凍る。昨日はナノマシンがあったおかげで俺は逃げ切れた――少なくとも今の俺ならば言葉通りに瞬殺間違い無しだろう。

 ナノマシンも身を持って感じたが、後々に凄いぐらいの激痛やらが襲いかかって来る訳で、いわゆる諸刃の刃とも言える。

 もしそれが無限に使えて、それでいて常時使用するとなれば――断言出来る、確実に体は使い物にならなくなる。


「わしはあくまでサポートじゃ、戦うのはお主一人じゃからな。痛覚に抗えるぐらいでなければいかんのう」

「だとしても、そもそも痛覚は人の体に忍び寄る未然の危機と異常を教える信号のはずだ」

「そうには違いない、じゃが。これからの”殺し”の世界で痛覚を伴うことで体は動きを止め。揚句にはアイツらへの餌食となる」


 もっともなのだろう。例えそれが人道的には間違っていたとしても、神へ背いていたとしても――いや、神様さえ狙われるこんな世界だ。そんな正論だけでは通じない、生き残ることは出来ない。


「それともお主はそれで逃げ出す脆い決意じゃったのか?」

「……そんな訳ねえだろ」


 俺は少なくともそんなことで抗うことを止めることはしない……そうホニさんの美しい姿をみて、その可愛い笑顔守ると決めたからこそには。


「わしはサポートすると言ったじゃろう?」


 実際桐はサポートしていた。

 今いるのはいつもの普遍的世界ではなく、かつて引きこまれ、そして逃げ込んだ結界だった。

 雨澄が作った結界の世界はどこか温かみのない色遣いで寒気がしたが、桐の形作る世界は優しい色に染められていた。

 セピア色に近い印象の懐かしくそれでいて温かい、どこか桐の性格が表れているような――引きこまれた世界とは大違いだった。


「じゃからお主が怪我を負えば傷を癒して助ける。今でこそ自由に出来るが、アイツらの戦闘中では限度がある……その意味がわかるな?」

「……ああ」


 桐がどういうメカニズムでそんなことが出来るのかは分からない。でもチートともいえる高い能力にはきっと代償があるのだろう。

 桐は人知れず誰にも悟られずに力を使う度に何かを身に受けているのかもしれない。

 そう考えて、俺は頼り切ってはいけない、自分が出来ることをやるべきだと思っての決意をした。


「……お主は優しいのう。まったくお主はわしのように心を詠まなくとも、見透かされてしまうな。しかし気遣いは無用じゃ、わしのことは気にせんでいい。大事なのはお主のこれからじゃ」

「分かってるさ」

「それでは始めるぞ。鉈――ナタリーの準備は出来たか?」

「おい何故そこで間違った部分を訂正しやがったんだこの野郎」

「ふふ、気にするな――それでは行くぞ?」

「かかってこい……って、桐は何をするんだ?」


「まあ再現と言ったところかの。アイツらの内のお主の遭遇したであろうよりとの戦闘じゃ」


「…………え?」

「”物体創造”――形は人形ひとがた、付けるは弓矢。狙うはその男、見下ろすは庭――”顕現”っ」

「ちょっ!」


 その後……俺は無残にも串刺しにされた。



* *


 

「なんでこの程度で済んでるのかが疑問だ」


 傷のあった絆創膏を指で撫でて思う。今はコンクリートに軽くかすった程度の軽傷中の軽傷までに回復していた。

 思い出すだけで寒気がする。激痛と来て途端に傷を癒され、また激痛――その繰り返し。

 桐の治癒能力の凄さは十二分に分かったが、その一方でキルがある種本気で殺しにかかってきたのは間違いない。

 ……初日からハードルが一メートル半どころか三十メートルを用意された気分だ。あまりにも無残なせいか桐の生み出した矢を射つ幻影を五分の一倍速にするぐらいで、それでも俺は矢を全て弾くことさえ出来ず腕やら足に刺さった。

 死にかかり三途リバーがもうすぐそこに見えていることが何度も有ったが、桐の作りだした特殊な世界は時が進むのが遅く。休憩を何度も挟みながらもそのたびに何度も死の淵まで追われた。

 それが終われば普通に基礎体力と称して桐の世界でマラソンやら腹筋やら――初めはそれが良かったなんていったら矢を射ってきたので容赦がないどころの話じゃない。

 傷は治るも疲労は消えないので何度も休むが、時が果てしなくあることもあって休息を入れながら桐の指導を受けた。


「ユウジ、顔青ざめてるけど大丈夫?」

「ちょっとばかし怖い夢を見たのを今思い出してな」


 怖いどころじゃなく、夢なら良かったと思える痛みもいくつかあった気がする。

 ちなみに初っ端約四時間の稽古が終わる頃にはまだ実際には一時間も経っておらず、夕飯を疲れのあまり襲いかかる眠気にうつろうつろになりつつも食べ、風呂で寝落ちしそうなのを冷水で覚ましてようやくベッドイン、即席麺最初期に出た「一分カップ麺」も驚きな一分経たずして寝付いた。

 遠ざかる意識の風呂上がりに桐の飲まされた謎ドリンクのおかげで今はこうして平然としているのであろが、普通ならば廃人状態で今度は俺からユイに棺桶登校を頼むこととなりそうだった。

 

「あ、ホニちゃんが困ってる」

「……ホニさんー、大丈夫かー」


 あたふたと焦るホニさんを眺めているのも非常に癒されて良いのだが、ホニさんが結構に困ってるので行ってみる。

 散々文句を垂れ流したが、俺は桐の鍛錬というか稽古を受けることは後悔していない。


 俺は強くなるとホニさんの目の前でも俺自身でも決意したことなのだから。

 どこまで出来るかは分からないが、これからも抗い足掻いてみるつもりだ。 

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