現実か夢か
短めです。語彙力がありません。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
「…大丈夫?どうかしたの…?レイスお嬢様…?」
レイス、そう私の名前を呼ばれて私は意識が覚醒した。
私の眼目に広がるのは、心配そうにこちらを覗き込む女性と、豪勢な部屋。
見覚えが、ある…。
「…ここ、は…?」
そう呟いて、自分の声の異常さに驚く。
違う人のような、少し高めのその声。
いや、違う、これは私の声であっているのだと遅れて気づく。これは紛れもなく私の声。
だけれど、その声は、齢17の女性にしては高すぎるし甘すぎる。
幼い頃の声、だ。
私の、おそらく5歳から10歳程度の頃の幼い声。
「やだわぁ、レイスお嬢様。眠いのかしら?ここは貴女と私のお部屋ですよー。」
私の小さなつぶやきにも反応してくれた女性は、柔らかく微笑む。
私達の、部屋…。
すべてが桃色で統一された、憧れていたお姫様のような部屋。桃色のベッドに、桃色のシャンデリア、桃色のソファ、桃色のクッション。
そして桃色の化粧台に、唯一白いクローゼット。
幼い頃、ばあやと一緒に寝ていた部屋だった。
それでは、この優しそうな女性は…
「…シェリー…?」
「はぁい、シェリーですよ〜?」
ニッコリと微笑み、そう言った女性。
私の記憶の中よりも、その姿はずっとずっと若い。30代半ばのような容貌で、皺も少なく白髪は見当たらない。
なんで、なのかしら。
なんで、かしら。
「亡くなってしまった…はずじゃ…」
ぽろぽろと涙が溢れ出す。
たしかに、私は見たんだ。
黒い棺桶の中に、唯一私を愛してくれた、シェリーが。
目を閉じて、動かなくなっているのを。
そういえば、何もかもがおかしい。
私は確かに処刑された。長い拷問と辱めの末、城下町の民の前で私は首を飛ばされたはずだった。
血とギロチンの攻撃的なきらめき、殺される前に浴びせられた数々の言葉。それらを私は鮮明に覚えている。
耳が聞こえなくなって、一瞬で視界が暗くなって…
その先は、何も覚えていない。
きっと意識が消えた瞬間、死んだんだ。私は死んだ。
なのにこうして生き返っている。それに、17歳の姿ではなく、5歳から10歳程度のときの姿で、まだシェリーが生きているとき。
生き返った…というよりかは、過去に戻った、という言葉があっているかもしれないけれど。
私は、生き返ったのか…?
私は、生きているのか。
これは、現実なのか。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
誤字脱字等がありましたら、教えていただけると助かります。