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8話 やっぱ告白してほしい、俺

「やっぱ、告白してほしい!」


 唐突な俺の宣言に、桐野さんは目を丸くしていた。

 

 …それもそうだ。いきなりそんなことを言われても、何のこっちゃ、てなるよな。


「なんかさ、グダグダになっちゃったけど、俺、可愛い女の子に告白されるのが夢だったんだ」


 だから俺は、この際なので長年夢見ていた男の理想を、桐野さんに説明することにした。


 無意識のうちに口にしてしまった可愛い、という部分で身悶える桐野さんは、もう完全にキャラが壊れてしまったがめちゃめちゃ愛らしかった。

 だが、今注目すべきはそこではない。


「橋澤さんに告白されただけじゃ、俺は満足できなかった」


 それを聞いて急に表情が強張った桐野さんだったけど、それは噓告だったと伝えたらほっとしたように、しかしすぐに怒ったような表情に変化した。桐野さんって、こんなに表情豊かだったのか。


「だから、橋澤さんの提案を利用して、俺に、ちゃんと本気の告白をしてほしいんだ」


 こうして俺は、先ほど咄嗟に思いついたアイデアを桐野さんに伝えた。




 内容はまとめると、こうだ。


 まず桐野さんは、橋澤さんたち3人の言いなりになって、俺に告白する。

 そうすれば、一体何かは知らないがあいつらに握られている写真を学級L○NEにばらまかれずに済むだろう。

 そして、あたかもドッキリが上手くいったかのように見せて、俺は桐野さんからの告白シーンを堪能した後、翌日から本当に俺たちはカップルとなるのだ。


「すなわち、逆ドッキリ作戦だ!」


 俺は、橋澤さんたちに対して思うところがないわけではなかったが、こうして桐野さんと恋人になれた以上、悔しいとか憎しみの感情なんてものはどこかへと飛んでいき、むしろ折角だから彼女たちの企画に乗ってあげたいと思った。



 琉夏の「る」の字を受け入れた父のように、相手のしたいことを受け入れてあげられる器の大きい人間に俺はなりたいんだ。だから、俺も橋澤さんたちの「告白イベント」を受け入れてあげたい。



 橋澤さんたちは、きっとドッキリ動画さえ撮れればそれで満足だろうから、その後は俺たちが幸せになろうがどうでも良いはずだ。


 だから、こうすることでみんながハッピーになれるのである!



 俺、天才では??



 一連の流れを説明し終えた後、初めは乗り気でなかった桐野さんだったが、


「さっきは自分の方から告白したかったって言ってくれたじゃないか」


と突っ込めば、


「い、いやあれはそういう意味じゃなくて先に気持ちを伝えたかったってだけで…」


と照れた後、むっとした表情を浮かべる。だが、やがて…


「わ、わかったよ...やってやろうじゃないの!」


となんだかんだで乗ってくれた。桐野さんは案外、ノリが良いのか…




 いや、負けず嫌いなのかもしれない。

次回、最終話です!

最後はちょっと長めですが一気にいきます(^^;)

ベクトル違いのざまぁEND!?

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