いつでも重い後輩ちゃん
朝食を食べ終え、洗い物と片付けをしながら奈恵達の勉強会を眺めていると、明佳が口を開く。
「遊びたい!」
勉強しとけよ受験生。と思わないわけではないが、まあ来年のことだから今は遊びたいという気持ちがわからないわけではない。
まあそれで僕は期末テストで地獄を見たわけだがら複雑な心境である。
「えっと…まあ、息抜きは大事ですからね?」
「やった。加苅!ゲームソフト出して!」
勉強しろよ、と悪態をつきながらではあるが加苅も遊びたいという気持ちはあったらしくいそいそとテレビ台からゲームソフトとコントローラーを取り出す。
「で、なにやるの?」
「相手を吹っ飛ばせるやつがいい」
「じゃあ格ゲーでいいか」
加苅が両手にコントローラーを持ち明佳に差し出す。
すくなくとも明佳はとことん遊ぶつもりらしく、ジュースを要求してきたのでコップとペットボトルをカウンターに置く。
「ありがと。あ、奈恵さんもやる?」
「えっと、二人で対戦するゲームですよね?大丈夫ですか?」
「お兄ちゃん入れて2-2のチーム戦でやろ」
いいでしょ?と訴えかけてくるので受け入れる。
まあ今日は洗濯機さえ回せばやることもなかったから大丈夫だろう。どうせ外が寒くて乾かないだろうし、洗濯物は風呂場に乾燥でぶち込んでおけば何とかなる。
というわけで四人でゲームしているわけだが、なぜか執拗に狙われている。
「奈恵さん?僕より加苅のほうが近いよ???」
「先輩がほかの人に殺されるくらいなら先に殺して私も死にます」
「奈恵さん!?お兄ちゃん落とした後に後追いとかやめてね!?」
「すげえ、誰も俺を攻撃しない…あっこれできるのか」
彼女の湿度が高いです。心中しようとしてきます。
そして弟よ。コンボ練習してないで集中砲火されてる兄貴を助けてください。
まあ、わかっていたことだが一人ずつ集中砲火を受けて負けた…と思いきや僕が落ちた後に奈恵が宣言通りステージアウトして無傷の加苅が明佳にコンボを決めて勝利した。
「奈恵さんほんとに心中しちゃったよ!!!!」
「いやまあ…お前を殺して私も死ぬって言っちゃいましたし」
「なんでぇ~!!!」
明佳が奈恵の服をつかんでぶんぶんと振り、奈恵はされるがままに前後に揺れる。
その様子を少し眺めていると奈恵が微笑んでるように見える。
「ふふ…」
「なに奈恵さん!やられる私を見て楽しかったか!」
「いや、そうじゃなくて…えっと、明佳さんみたいな妹がいたら楽しかったかな…と」
不意打ちに驚いたのか明佳の手が止まり、口をパクパクと開閉する。
しばらく何か言おうとして辞めた後、それこそ次が始まらないという理由で加苅がジュースを新しく冷蔵庫に取りに行ったころやっと明佳が口を開く。
「…義姉ちゃん」
少し恥ずかしそうに明佳が口を開き、今度は奈恵が口をパクパクさせる番だ。
奈恵は少しためらった後、明佳を抱きしめてわしゃわしゃと頭をなでる。
されるがままの明佳は気持ちがいいのか目を細めておとなしく撫でられ、心なしかぶんぶんと揺れるしっぽが見える気がする。
「…百合って、いいな」
戻ってきた加苅がつぶやくので肘を入れてから言い返す。
「俺の彼女だ。それとどっちもお前の姉だ」
お久しぶりです。このシリーズを書き始めた時の速度はどこへやら、正軒です。
書きたいもの全部同時進行してる馬鹿なのでこんなことになってますね。はい。
まあそんなこともあるので、楽しみにしてくださる方には悪いのですがとりあえず書くシリーズを絞ろうと思います。
それと名も知らぬ誰か様。ブックマークありがとうございます。




