ゲームがしたい後輩ちゃん
昼食を摂り、二人で洗い物をしているとインターフォンが鳴る。
「…?少し出てくる」
「はい」
奈恵に一言言ってから玄関へ向かい、扉を開け…ようとして閉める。
どうやら蓮たちが事前に連絡もなく遊びに来たようでいつもの五人が玄関前に立っている。
「……何の用だ」
「おう、新作のゲーム買ったからコントローラ使わせてくれ」
自分の家帰ってやれよ、と思わないわけではないが人数がいるなら弟妹がいるためコントローラーが多めにある僕の家の方がいいだろうというのは分かっているのとこいつらは追い返せないのでという諦めを抱きながら扉を開ける。
律儀にもお邪魔しますと言って五人が家に上がり、奈恵と鉢合わせたのか蓮以外は固まっている。
「悪い奈恵。少しの間うるさくなる」
「大丈夫ですよ。お菓子用意しましょうか?」
「こいつらにそんないいもんは要らん。砂糖でも出しとけ」
「わかりました」
固まっている四人を押してリビングに入り、奈恵が人数分の小皿に用意した砂糖を蓮に手渡す。
「俺初めてだよこのパターン」
「僕もだ。客に砂糖そのまま出したのは」
「まあいいけどさ…甘ぇ」
「食うのかよ」
「出されたら残すのは失礼だろ」
そーだそーだと言わんばかりに他の四人も砂糖をを食べだし、少し呆れる。まあ出せって言ったの僕だから何か言うのも変なんだが。
ゲームの用意を終え、洗い物に戻ったところで交代制でゲームをしている蓮が話しかけてくる。
「で、お前らいつ結婚したんだよ」
「してねえよ?」
「しないんですか?」
「します!」
かか、と蓮が笑いながら水を飲み、どこか遠いところを見るような目でこちらを見る。
「楽しみにしてるぜ結婚式」
「おう。友人代表で呼んでやるよ」
蓮と雑談をしていると、奈恵がゲームで盛り上がってるのか画面を見て一喜一憂している四人を興味深そうに見ていることに気付く。
今回持ってきたのはレースゲームのようで、キャラクターが自分でカスタマイズしたカートに乗ってステージを走り回る有名どころのゲームらしい。
「奈恵ちゃんもやる?」
「……いいんですか?」
「遠慮せずやっとけよ。こいつらに気遣いなんて不要だ」
「あらひどい。数少ない友人だぞ」
「なおさら気遣いは要らんな」
僕らのやり取りが面白かったのかくすくす笑いながら「ではお言葉に甘えて」と特に気おくれもせずにコントローラー争奪戦にする奈恵を見て二人で笑う。
「変わったな。あの子」
「あれが素なんだろ、さすがに時間が癒してくれるさ」
「お前のおかげだな」
「……そうかもな」
僕が肯定すると蓮は少しだけ驚いたのか顔がこちらを向き、何かを疑うような視線を僕に向ける。
ほんの少しの間だがまじまじと見つめられてそこまでいい気分ではないので争奪戦に勝利したのか操作方法を聞きながらゲームをしている奈恵に視線を向けなおす。
「意外と複雑ではないですね」
「まあ誰でもできるようにできて……エイムよすぎぃ!!」
「何やってんだよ湊。そんな当たる距離じゃ、痛ぇ!?」
「仲弥ァ!お前の彼女上手いなおい」
「お前らが下手なんだろ」
「「「「あ”ぁ”?」」」
見事に三連アイテムを一人ずつぶつけられ奈恵が独走状態でゲームが終わる。
いままでやっている姿を見たことがなかったので気付かなかったが奈恵にはゲームの才能があるらしい。
連に引っ張られ負けた三人と交代する。
普通に負けた。奈恵が上手い。というか上手すぎるプレイ時間三十分の実力とは思えない圧勝の連続に五人は既にダウンしている。
「ざ、ざーこざーこ」
「別に無理して言わなくてもいいぞ。というかどこで知ったんだ」
「先輩のスマホ見た時に購入履歴にあった本」
僕はダウンを通り越して死体になった。いや、死体になりたい何かになった。
「シテ……コロシテ……」
「え、えぇ……?」
そうして我が家に六人の死体とその中で困惑する美少女という謎の絵画的構図が出来上がった。
はい。投稿速度カタツムリ以下の正軒です。
少し前に始めたバトオペが楽しくてやめられねえんだわこれがリゼルとジェガンが最高すぎる。
諸君、私は量産機が好きだ。規格化されたフォルムの新兵から熟練兵まで使いやすい武装が好きだ。大胆な現地改修機もエース専用カスタム機も某一角獣の一話に出てきたような特務仕様機も好きだ。
はい。というわけで名前も知らぬ誰か様。ブックマークありがとうございます。




