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幸せな後輩ちゃん

 思考が止まる。

 なんで体が動いたのかわからないが、気付いたら目の前のひとが顔を赤くしていて、遅れてそのことに思いいたった。


「…なんでしてきた方が僕より照れてるんだよ」

「いや、その…無意識のうちだったの、で」


 心臓がうるさい。

 さっきまで出来ていたはずなのに、目の前のひとと目を合わせられない。


 間に流れる空気に耐えられなくなって、今度は自分の意思で、でも恥ずかしさを紛らわすためにキスをした。


 一瞬が何分にも、何分かが一瞬にも思えてしまう、しあわせな時間。

 あたまがふわふわして、あたたかい快楽が麻薬みたいに私を蝕んでくる。


「今度は、したかったから…です」


 唇を離し、赤らんだ顔を隠すために先輩の胸に飛び込む。

 先輩の手が頭に添えられ、大好きな感覚が後頭部を伝い、漠然とした幸せが体を満たす。


「すぐに撫でるのはやめてください」

「嫌だったか?」


 違います。と返し、頭突きするようにもう一度頭をぶつける。


 先輩の手が背中に優しく触れる。

 顔を上げて先輩に目を合わせようとするが、何だか照れくさくて数秒もそれができない。


「せんぱい、もういっかい」


 先輩の肩を掴んで目一杯背伸びをする。

少しかがんだ先輩の顔に、下から唇を重ねる。恥ずかしさや動揺だけでなく、もっと、もっと、と体が求め、キスという私にとっての甘い、甘い毒の接種をひたすらに繰り返させる。


「…ん」


 顔を離し、目を合わせる。


 まっかだった。

 わたしとおなじように、かおをあかくして、こっちをみている。


 抱き合う手を解くと、支えを失った体は崩れ、すぐに先輩に抱きとめられる。


「……せんぱい」


 震えた声が唇から漏れ、不安がっていると勘違いされたのかいっそう強く抱きしめられる。


「疲れたか、少し早いけど帰るか?」

「……ん」


 首を振って肯定すると、先輩は私を抱えるようにして駅へ歩き出した。



 電車に揺られながら先輩と並ぶ。

 小さく、定期的な振動は眠気を誘うのにちょうどよくて、恥ずかしさで動揺していなければ眠ってしまったかもしれない。


 恥ずかしさで先輩の顔は見れないが、体を最大限くっつけてぬくもりを感じる。

少しだけ高い体温が心地よく、好きな人の匂いが安堵を与えてくれる。

 この時間がずっと続いても構わない、本気でそう思った。

 どうも、味覚がおかしいのは今更だが聴覚もおかしくなり始めて最近普通に日常生活に困ってる正軒です。

右手足もたまに動かない時があるから某機動戦士の二期三日月に近い状態と言っても過言だが過言じゃない。

 私の逃げ場たる小説にまだ触れていられることが救いです。

こんなデバフまみれの体ですが読んでくださる皆様のお陰で生きる気力が出てきます。

………批判でもいいんでもっと感想が聞きたいです。

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