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一歩踏み出す後輩ちゃん

 奈恵は懇願するような、不安につぶされてしまいそうな目で僕を見上げ、俯くのを繰り返しながら何度も呟く。


「おいていかないで…」



 一度外に出て、奈恵が落ち着くまで手を握る。


「…ごめんなさい、私、おかしくなってました」


 奈恵はまた俯いて手を握る力を強める。


「なんでか、不安で、先輩に、おいていかれる気がして…」

「……奈恵」


 奈恵の名前を呼び、しゃがみ込んで視線を合わせる。


「私は、自分勝手で、先輩がいてくれなきゃダメなんです」

「先輩に迷惑をかけて、周りにも迷惑をかけるどうしようもない人間です」


 奈恵は濁った瞳を向けて独白のように、悲鳴を上げるように言葉を紡ぐ。

 さきほど、奈恵は僕に依存していない。そう結論を出した。

でも違った。それは僕が奈恵を見ていなかったから、ちゃんと奈恵をわかっていなかったからそう見えただけだ。


 奈恵は以前、いじめられていたことがある。

それ以来は鎧を着こむように、仮面を付けるようにして自分の立ち位置をいじめから遠ざけていた。

 その武装が外れ、一人のどこにでもいる、普通になりたかった少女になった奈恵はどうしようもなく何かに縋ることでしか生きられなくなってしまっていたのだろう。


「いいよ」

「…せんぱい?」

「いくらだって迷惑をかければいい。辛くなれば言ってくれればいくらでも助けるから」

「そんな優しい言葉を言うから、私は先輩無しじゃ生きられないんですよ…!」


 奈恵は求めるように、縋りつくように僕に手を伸ばす。

 僕はほぼノータイムでその手を掴んだ。


「じゃあ、責任とらなきゃ奈恵は死ぬってことだよな」

「……私はもう、貴方無しじゃ何もできません」


「先輩………愛してください。私が愛されなかった過去の分まで」


 奈恵は目尻に涙を浮かべ、まっすぐとこちらを見つめる。

 涙を拭きとり、さらに手を強く握って奈恵を抱き寄せると、目一杯抱きしめて笑顔で奈恵に答えを返す。


「奈恵が泣いた分まで、笑わせるよ」


 あとから思い返して恥ずかしくなるような言葉を吐き、さらに力を強める。

 一瞬かもしれないし、数分かもしれない沈黙の後、奈恵はこちらに顔を近づけて言った。


「約束ですよ。先輩」


 次の瞬間、唇に柔らかい感触が伝わる。

 混乱する僕を余所に奈恵は唇を離し、今までで一番の笑顔で笑った。


「先輩、大好きです」


 顔を赤らめ、白い歯を見せて笑う奈恵はとても愛おしく、うまく言葉にできない破壊力があった。

 はい。一年です。

 すみませんでした(全力の謝罪)

 受験に追われ、終わったッ!!!と思ったら精神病?が再発して自殺未遂を繰り返し、最終的にほぼ無気力状態で一年を過ごしていました。

 これから先、明日死ぬかもしれない、このシリーズや他のシリーズに遺書として何かを投稿するかもしれない精神状態ですが、生きている限りは悩んで、苦しんで小説を書き続けようと思います。

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