早すぎる剣術訓練の始まり。
爆走ハイハイ事件から2年と少しが過ぎ俺とリックは3歳となった。乳離れもし、お喋りも出来るようにもなりハイハイが歩行へと進化もした。
しかしハイハイから歩行、さらに走りへと進化したせいで俺とリックの行動範囲が広がりメイド達や兵士達のお世話になる事が増えていた。
とは言っても毎日リックと一緒に居る訳ではなく、それぞれの好きな事もしている!2歳を過ぎた頃から周りの反対を押し切った父のレリックが俺たちに剣術や体術の訓練を始めたのだ。俺も当初は早くね?と思ったが脳筋には誰の声も聞いちゃいない。
だがその訓練にガッツリ食いついた者がいた…
「お父しゃま!こうでしゅか?」
「違うぞリック!こう脇を閉めてシュっとだ!そしてスパっとだ!」
「なるほど!分かんない!!ワキを閉めてスパっとでしゅね!」
「違う違う!脇を閉めてシュっとだ!次のスパっとに繋げるようにス〜っと体勢をピシッとだ!」
「シュっとス〜っしてピシッとでしゅね?なるほど!わかんない!!」
「そうだ!そうだ!今のは良かったぞ!さすが俺の子だ〜♪♪」
「お母様…」
「私には聞かないで…剣術とかはマゼランに聞いて…」
「え〜っと…あの… お2人は見るより感じるタイプではないかと…」
「だろうね…」
リックが本当に理解してるのか分からないけど脳筋類である可能性が高まった。マゼランの言う事からすると父は指導者には向かないタイプだろう。しかし剣術等の才能は凄いらしく今の地位も数々の功績から得たと聞いている。
俺からすれば、あの指導で褒められてるリックの方が凄い。最近、気づいたのだかニックは基本的にアホだが体を動かす事に対してだけは凄い。まさに父親の血を色濃く受け継いだのだろう。
「じゃ〜今朝の訓練はこれくらいにしよう!また明日もやるからな〜!」
「旦那様。本日より領地内の町や村に視察へ参りますので。」
「えっ?それって来月じゃなかった?俺も行かないと駄目かい?」
「駄目です!また陛下に怒られますよ?」
「あ〜、確かにまた王都に呼び出されるのも面倒だよね〜… でも近々、王都に行くんだから自分から行くのも呼び出されるの同じじゃない?」
「あ·な·た?」
「ハイ行きます!ちゃんと行きます! まぁ〜そう言う事だからラックもリックも父さんが留守の間もちゃんと訓練するよ〜にね!」
こうして昼前に父は母に追加の説教うけ肩を落とし執事のワットと兵士長のマゼラン、兵士達と領地内にある他の町や村の視察へ旅立った。
渋々、視察へ行った父達を見送った後は、ほぼ自由時間。母は父に代わって書類関係の処理。兄や姉は家庭教師の先生と勉強。リックは剣術を学ぶまでは俺に引っ付いて一緒に居る事が多かったが最近は庭で見張られながら剣の自主練習をしたり走り込みなのか兵士さん達に追いかけられている。たまに門を突破してしまうらしい。
俺はリックが居ない時は書庫で魔法などの勉強をしている。魔力操作とか属性やら覚える事が多い。その中で魔力の底上げについての本を見つけた。要するに魔力の枯渇を感じたら休むか寝るの繰り返しだ。
リックにも教えて寝る前に一緒にやるのだか昼間に動き回ってるリックが枯渇の前に寝落ちするパターンが多い。
こんな感じで数日が過ぎた、ある日の事。屋敷の外から兵士達の騒ぐ声とカーン、カーンと鳴る音が聞こえてきた。