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見えない
見えない未来に思いを馳せて
幸せな明日を夢見た
今もそんな明日は見えない
人の心は見えないから
優しさを間違える
相手にとってはただの挨拶
それが幸せで
好かれているように錯覚した
なんてことのない
よくある間違い
見えない明日に怯えて
暗い場所にいたから
そんな間違いを生きる力にしていた
さして遠くもない山に日は落ちて見えなくなって
夕焼け空に鳴くカラスも見えない
曇った空では星も見えない
見えるのは
アスファルトの地面ぐらいだが
アスファルトの下の土は見えない
本当に見えないものだらけだ
何よりも
自分がこの先どう生きるかが見えない




