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新月


 月が消えた

 わかっていた

 満ちた月は見られなかった

 もう一度だけ満月を見たかった

 見えないけれど

 まだ満月が見たい


 月に手を伸ばして

 届かなくて

 それでも手を伸ばして

 欠けてゆく月にも

 やっぱり届かなくて

 届かないまま

 月が見えなくなった


 届かないとわかっている

 わかっていることが悲しい

 悲しいけれど

 手を伸ばす

 次の満月が待てるか

 そこまで生きられるか

 わからないけれど

 わからないけれど

 満月が見たい


 月のない夜

 公園で独り空を眺める


 人であることをやめて

 優しい鬼になりたい

 少し体調その他がつらいので、どうしたものか。

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