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真夜中
仕事を終えて帰るとたいてい銭湯は閉まっていた
共同炊事場で湯を沸かして体を拭く
暖房のない炊事場は冷たい
部屋に戻って布団に潜り込んで眠れば
仕事をしている夢を見た
働きたくないよう
働きたくないよう
そう呟く自分の声で目が覚めた
今、別の絶望感はあるが
星が見える
月が見える
入ろうと思えば風呂に入れる
5分で食事を終えなくても良い
夢の中でまで働きたくないと呟くこともない
負け犬と呼ばれ仕事を変えたが
まだ生きている
真夜中
昔傷めた体が時々痛む
真昼の空が眩し過ぎて見えなくても
痛む体を抱え
まだ真夜中の空を見ることはできる




