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夏の夜
ただひとり線路沿いの道を歩いていた
学校の帰り道
町は変わりつつあり、橙色の街灯が暗い道を照らしていた
時折横を過ぎる電車を眺めながら
流行りではなかったけれど
新しい歌を口ずさみ
いつかくる、この町を離れる日を思っていた
ただひとり線路沿いの道を歩いていた
古い歌を口ずさみながら
遠く、列車が走る音が聞こえる線路沿いの道を歩く
この町を離れ、また戻ってきてから
長い時が過ぎた
その間も、列車は走っていたが古びていった
人々も歳をとり、建物も道も歳をとる
歩きながら空を見上げる
風が吹かない夜
街灯だけが妙に明るく新しい
時々立ち止まりながら、ひとりで歩いてゆく