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夕暮れ時に
坂道を登っても海は見えない
盆地のへりの小さな山にある神社へゆくと
町を見下ろすことができる
昔通っていた学校
扇状地に広がる住宅街
この場所から夜の町を眺めながら
友と話をした
もう何を話したかはっきり覚えてはいないけれど
夢の話でもしただろうか
数ヶ月先が遥か未来に感じていたようには思う
そんな友も
一人欠け
二人欠け
いつの間にか独りだ
暗くなりかけた空の下
あの頃よりも明るくなった街灯が
道に沿って連なっている
神社の境内にある街灯は
大雪で木が倒れてから何年も点くことがない
夜の町は明るくなったが
ここは暗い
日が沈むと本当に暗い
ほんの数百メートル
いや数十メートルゆけば明るいのに
ここは暗い
空を仰げば
夕日の暖かい光が消えつつあった




