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勇者から魔王と呼ばれた男  作者: ミウラ
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二章 旅立ち

ゴブリンキングを倒した俺は、少女と女の子と一緒にレーネ村に向かっていた。

少女はまだ、調子が悪そうだ。

『大丈夫か? そう言えば、名前何て言うんだ?』

俺が名を尋ねると、彼女は俺を一瞥し言った。

『人に名を尋ねる時は、まず自分が名乗るものじゃないの?』

彼女の言葉に思わず笑ってしまった。

『何が可笑しいのよ!?』

彼女はムッとした様子だが、少し元気が出てきたようだ。

『悪い。そんなベタなセリフを言われたの初めてでさ。』

俺は、いい加減笑うのを止め、名乗った。

『俺は、蓮。黒澤蓮だ。』

『クロ…サワ? レン?』

彼女が慣れない響きに怪訝そうな顔をする。

そうだ。ここは日本じゃなかった。

『あっ、いや。レンだ。』

相変わらず、怪訝そうな顔をしていたが、彼女も名乗った。

『あたしは、エレン。』

俺達の会話を聞いていたリナが楽しそうに言った。

『レンとエレンって名前が似てるね!』

確かに言われてみればそうだ。

子供って時々鋭いよな。

エレンは、複雑な面持ちをして笑っていた。

そうこうしている内にレーネ村に着いた。

『リナ!』

リナの姿を見つけた女性が彼女に駆け寄ってきた。

『お母さん‼️』

リナも駆け寄る。

どうやら、リナの母親らしい。

『帰ってこないから心配したのよ!』

母親はリナを抱きしめ、目に安堵の涙を浮かべていた。

『お兄ちゃんとお姉ちゃんが助けてくれたの!』

リナの言葉を聞き、初めて俺達の存在に気が付いたようだ。

『リナの母親のマーサと申します。この度は娘を助けていただき、本当にありがとうございます。』

母親は深々と頭を下げる。

『いやいや。当然の事ですよ。』

俺は、いつまでも頭を下げる母親に恐縮した。

『あの、今日は遅いですし、良かったら家に泊まっていって下さい。』

正直行く宛のない俺からしたら、ありがたい。

『エレン。 お前はどうする?』

『あたしは、村長の所に依頼の報告をしに行くわ。』

依頼の報告。

そう言えば、ゴブリンが多発しているとか言ってたな。

村長の依頼で山に来ていたのか。

『俺も行った方が良いか?』

『いえ。これは、冒険者の務めだから。あんたは、先に家で待ってて。後から行くから。』

どうやら、エレンも泊めてもらうつもりらしい。

なら、お言葉に甘えて待ってよう。

正直、報告だなんだ堅苦しいのは好きじゃない。

『分かった。マーサさんの家で待ってる。』

マーサさんの家に着き、リナとしばらく遊んでいるとエレンが村長と一緒に家に来た。

『貴方がレン様ですか。エレン様からお話は伺いました。』

初老のおじさんが、俺を見てそう言った。

『この度は、村の危機を救ってくださりありがとうございます。』

村長は深々と頭を下げた。

何だか、今日は凄く感謝される日だな。

大したことしてないのに。

『いえいえ。大したことじゃありませんから。』

村長はひとしきりお礼を言うと、自分の家に帰っていった。

『晩御飯出来ましたよ。 お口に合うと良いのですが。』

マーサさんが食卓に料理を並べてくれた。

パンとスープだ。

『いただきます。』

マーサさんは謙遜していたが、マーサさんの料理は美味しかった。

パンはちょっと固いがフランスパンみたいだ。

バターのような物をつけてあったが、パンによく合う。

スープも野菜の味が染み込んでて美味しかった。

『ごちそうさまでした。 とても美味しかったです。』

俺が、そう言うとマーサさんは嬉しそうだった。

ご飯は美味しかったが、1つ気がかりだったのはエレンの元気がないことだった。

夜も更け、俺はベッドに入った。

ふと、目が覚めたので窓から外を見たら、エレンがいた。

『寝れないのか?』

外に行き、エレンに声を掛ける。

『そう言うあんたも寝れないの?』

質問に質問で返してくる。

話したくない気分なのだろうか。

だが、俺は話しかけた。

『元気がないみたいだけど、大丈夫か?』

エレンはしばらく黙っていたが話始めた。

『…のよ。』

エレンが何か言ったが聞き取れない。

『何だって?』

『何で、あたしを助けたのよ‼️

あたしは、あんたを野盗扱いした女なのよ!

なのに、何で‼️』

エレンが急に大声を出す。

俺は、慌てて制止した。

『おい。夜なんだから、叫ぶなよ。』

しばらくすると落ち着いたようで、ポツポツ話始めた。

『さっきの質問答えて。 何であたしを助けたの?』

『理由は特にない。目の前で死にそうなやつがいたら、助けるのは普通だろ。』

『普通じゃない。自分が死ぬかもしれないのに人を助ける人は普通じゃない。』

エレンは、俺の答えに納得してないようだ。

『俺からも聞いていいか? 話したくなかったら、言わなくて良い。』

エレンは不思議そうな顔をした。

『何よ?』

『お前、ゴブリンキングが現れた途端、目の色変えて戦ってたろ。冷静さを失うほどに。 何でなんだ?』

エレンは夜空を見上げて黙っていたが、意を決したように話し出した。

『ゴブリンキングは、あたしの両親を殺したの。両親だけじゃない。 村の皆を。』

俺は、簡単に聞くべき事ではなかった事に後悔した。

エレンは、話を続けた。

『だからゴブリンキングを見た瞬間に色々思い出して、突っ込んじゃったの。あんたがいなければ、あたしもリナちゃんも

村の人も死んでいた。

あたしはまた同じ悲劇を生む所だった。』

エレンは酷く落ち込んでいた。

俺は平和な日本で育ってきたから、エレンの気持ちは分かれない。

だが、俺は言わずにはいられなかった。

『お前のせいじゃないだろ。』

俺がそう言うと、エレンは夜空を見上げていた顔を降ろし、俺を見た。

『悪いのはゴブリンキングだ。お前じゃない。』

エレンは青い目に涙を溜め言った。

『あたしは村で唯一生き残った。 皆、言ったわ。

お前は、死神だって。

お前のせいで、皆死んだんだって。

夢の中に出てくるの。村の皆が。

何でお前だけ生き残ったんだって。』

エレンはとても重いものを背負っていた。

異世界に転生して気楽に楽しもうとしてた俺とは違う。

だから俺には、それ以上何も言えなかった。

だけど、目の前の今にも消えてしまいそうな少女を放っておくことも出来なかった。

俺は、エレンが落ち着くまで抱きしめた。

『ありがとう。もう、大丈夫だから。』

エレンは、そっと離れると家の中に戻っていった。

その日俺は、一睡も出来なかった。


次の日。

マーサさんに朝食をごちそうになり、村を後にする事にした。

『ねえ。あんた、これからどうするの?』

エレンが俺に尋ねてくる。

『いや、特に決めてない。行く宛もないしな。』

エレンは少し考えると

『なら、あたしと一緒に来る? あたしは、これから王都の冒険者ギルドに戻るけど。』

行く宛もないし、金をこれから稼ぐなら冒険者は俺に向いてそうだ。

それなら、エレンと一緒に行くのが良いかもしれない。

『そうだな。これも何かの縁だし、一緒に王都に行くよ。』

エレンは心なしか、嬉しそうに見えた。


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