七日目 ”楽園への扉”
目の前は、もう闇じゃなかった。
色の無い世界になった変わりに、音羽がいた。
「・・・俺、死んだのか?」
「馬鹿ね。そんなわけ無いじゃない。」
なんとなく、聞いたことのあるような会話・・・
そっか、前にもあったな、似たような会話。
「全く…。
彼方のお蔭でまた一からやり直しになったじゃない。
レイフィル様になんて言えばいいのよ…。」
「誰だよ、『れいふぃる』って。」
「…馬鹿そうな発言ね。」
「悪かったなっ!」
出会った頃から変わらない、キツい言い方。
こんな姿で、俺より年上・・・
駄目だ。頭がおかしくなる。
「レイフィル様は私が仕えている人。
アルシルイスが彼方を生贄にしたとき、彼方を助けようとした人よ。
あの方のご命令で、私は彼方についているの。
会ったら真っ先にお礼を申し上げることね。」
「ふぅーん。」
・・・微妙だ。
生贄を助けようなんて・・・無謀にも程があるんじゃないか?
それに遣したのが「これ」だと・・・
・・・納得がいかない・・・。
それでもって相変わらず、喉の渇きは収まっていなかった。
厄介だな・・・。
死なない人はいいよな。
どうせ何もしなくても生きていけるんだからな・・・。
「…この様子じゃ、ゆっくり行く訳にはいかないみたい。
ちょっと厄介な人たちが来たから…。」
「は?」
おいおいおい・・・
いったい何が来たって言うんだよ・・・
怪物とか言うなよ・・・?
「…怪物とか…見た目によらず、子供みたいなこと考えるのね。」
「・・・見た目はお前の方が子供だ。」
「そんなこと…いまはどうでもいい。
…来る…っ!」
音羽は、とっさ的に俺を背に庇うと、
あのでっかい扉・・・なんだっけ?『楽園への扉』?
それに向かって飛び上がり、瞬時に扉を開いた。
ここまでで約15秒。
次に俺に向かって手のひらを向け、なにかぶつぶつ呟いた。
ここで累計20秒。
音羽が何か言った次の瞬間、
俺の身体は宙に浮いて、音羽の隣に並んでいた。
ここで累計30秒。
・・・あの音羽がここまで急いでいる・・・。
何が来るって言うんだよ、一体・・・。
・・・って、ちょっと不安そうな、音羽の顔を横目で見た瞬間。
丁度、ティルスラバの反対方面から、大きな爆発音が響いた。
並みの爆発音じゃない・・・。
あの音じゃ、戦車50台分位はかるくいってるんじゃないかと思うくらい・・・。
・・・そして、どんくさい俺は、
見事に飛んできた破片(どうやら木の破片とかだったみたいだ)にぶつかり、
なんとなく音羽と、誰かが話しているのを、頭の片隅で認識し、
巨大な扉が、別々の方向に倒れてる音をこれまた隅で確認し、
記憶にしまいこんだと思った所で、俺は気を失った。




