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残酷な世界。  作者: うさぎぱん
4/5

平和 前編

ここはどこだろう。

街みたいだけで雰囲気はいいし、綺麗なお城も立ってる。

でも道に人気がなさすぎる。

活気がない。人の声も聞こえない。

ここはどこなんだろう。

食べ物も無ければ銃の弾薬すらもない。

無計画に飛び出すべきではなかったと今になって思う。

「珍しいな。人を見るのは。」

久々に声を聴いた気がする。この男はいったい誰だろう。

「見ない服装だ・・・・もしかしてここに迷い込んできたのか?ここの庶民はそんな高そうな服は着ない。ましてや外出などと・・・・」

ボクはうなづいた。とりあえず「迷い込んできた」で通せば何とかなるかもと思ったからだ。

「なるほどそうだったのか。ここは「平和」な国だ。おそらく君がいた国とは全然違うだろう。」

人身売買が横行してる様をボクは何度か見てきたが確かにここに人身売買はなさそうだ。

だってまず人がいないんだから。

「俺が案内する。ついてきてくれるか?」

そういって男は歩き始めた。

「ここは貧民層だ。他にも国家の反対派なんかの根城になってる。俺はその見回りだ。」

確かにここは日が当たるところが少ない。

湿気もあれば家もボロボロの物ばかりだ。

「ここに人気がないのは単純に出稼ぎに行ったまま戻って来なかったり、反逆者が隠れてそれをかくまったり巻き込まれないようにするためだ。」

雰囲気が悪い。お腹も減った。早くついてほしいものだ。

「あとちょっとだ。あとちょっとで富裕層の所へいける。」

この男の話を聞きながら歩き続けた。

「富裕層の所はいいぞ。いい飯もあれば恩恵と沢山の店。人も親切だ。」

この話を聞いて期待が膨らむ。

「お、あったあったあれが境界線だ。あそこからは景色が違うぞ。」

境界線の前に行くとそこには綺麗な景色が広がった。

大きな城のようなものがあり、人気も多かった。

「おっと待ってくれ。外から来たものは少しやらなきゃいけないことがあってね。その・・国王に会わなきゃいけないんだ。」

国王なのにどうして事前に合うんだろう、などと考えたがとりあえずは食にありつきたい。いかねば。

「まあ合えばわかるよ・・・・・・」

そう先導され城の中に入り、男は兵士に事情を話して階段を上る。

銃を持った兵士が沢山おり、高貴な雰囲気も物凄かった。

「この先だ。」

すると明らかに他とは格が違う部屋があった。

「まあ見たらわかると思うがここだ。」

純金だった。格が違う色合いだ。

扉の時点で圧倒されていると、いつの間にか扉は開いていた。

「国王様。旅人がお見えです。しかも子供の。」

「ほう。顔を見せてみろ。」

ボクはそういわれると前にでた。

「・・・・・・・美しい。雅な子だ。名前は?」

「・・・・・・・・・・」

「無口なのもまたいい。服も我が国では見たことない服装だ。」

国王というだけあって格好もすごい。服だけで一生食べていけそうだ。

「よし、警備は下がっていいぞ。少しこの子供と話がしたい。」

「は。」

そういうと男は下がっていった。

「ようこそこの国へ。早速で悪いが私の願いを聞いてくれ。」

来て早々こんなお偉いさんにおねがいされるとは意外だった。

「私の子供になってくれぬか?」

話がいきなりすぎる。

「お前に一目ぼれした。私は昔から子供が出来なくてな。跡継ぎもいないんだ。」

保安官に殺されかけた貧民街の子供が国王の子供になれる時が来るとは。神様っているのかも。

これはチャンスだ。

「いいですよ。どうせボクももう身寄りはないですから。」

「本当か?ありがたい・・・・妻にも養子でいいから見せてやりたかった・・・・」

なんかしんみりとした話を進めようとしてるがどうでもよかった。

平和でしかも国王の子供なんて願ってもない条件だ。

ボクは運がいい・・・・・・

「それよりも前に食べ物や買い物がしたいんですが。あと少し考えさせてほしいです・・・」

「そ、そうだな・・・・・・わかった。金はいくらでもやる。好きにしてきていいぞ・・・私が払うと言えばいい。兵士はみんなこうしてる。」

「ありがとうございます。」

金銭面もこれで問題はない。外へ行こう。

豪勢な階段を下り、街を見に行った。

街は活気に満ちていた。

人の声もきっちりと聞こえる。

まずは食事をしたい・・・・・・・・・・・・

しかし、店が多くて何を食べればいいかわからない。

肉を前面に出した店、スイーツや飲み物を前面に出した店もある。

なんでも食べたい。

「おい、最近できたあの店うまいらしいぞ。」

「え?どこどこ?」

「あっちだ。」

いい話を聞いた。

男と女が歩いているのについていく。

すると、なかなかに風情のある店があった。

外に飾ってあるメニューには見たことのない料理が沢山あった。

芋と、牛肉を甘辛く煮詰めたものや、白い粒の塊などがあった。

見たことのないがとっても美味しそうに見え、店に入っていった。

「いらっしゃい。」

意外にも人はさっきのカップル以外はいなかった。

少し不安だが食べ物を頼んでみることにした。

「はいはい、肉と芋の煮つけと米ね?」

「・・・・・・米って何ですか?」

「私の国の主食よ、もしかしてパンしか食べたことない?」

「パンってなんです?」

「小麦をこさえて焼いたものよ知らない?」

「ボクは育ちは良くないんです。」

「・・・・・・・・・・・まあいいわ。待っててね・・・・・」

知らない言葉を話されると頭が混乱する。

いい匂いがする。

お腹が減った。早く食べたい。

お腹と背中がくっついてしまいそうだ。

「お待たせ。はいこれね・・・・・」

「おおお・・・・・・・!」

煮付けからは肉の油と共に甘い香りと知らない野菜が乗っている。

「いただきます。」

ボクは器を手に取り、スプーンを取って肉と汁をすくった。

口の中でほおばると甘味や旨味が広がった。

透明の野菜もすくって食べた。

ホロホロで口の中で溶ける感じだ。

この赤い野菜は何だろう・・・?でも美味しいに違いない。

白い粒もスプーンでとって食べた。

淡泊だけど、ものすごく満足感のある味だ。

今までおばあさんの家以外では動物の肉や芋しか食べたことがなかったから感動する。

大口あけて掻き込み、味わって食べた。

しかし、こうなると甘いものも食べたくなる。

「すいません。甘いものってありますか?」

「甘いもの?うーんそれなら凍らせたミルクなんてどうかしら?」

凍らせたミルク・・・・・・?

「お願いします。」

すると箱から取り出してくれた。

白くて冷たい。食べてみよう。

「・・・・・・・・・!!!・・・・・」

甘くて美味しい。

今までになかった革新的な味だ。

口の中で甘みがスーッと溶ける。

その感覚も面白いが、何より甘い、とにかく甘い。

ボクはその味に魅了された。

その時外からサイレンが聞こえた。

「あら、もう始まるの?時間経つのは早いわね。」

カップルも店員もぞろぞろと外へ出ていく。

ボクもそれについていった。

すると、大きな人混みがあった。

「はなせ!はなしやがれ!」

数人の貧民と思わしき人間が捕らえられていた。

「善良なる市民の皆様。我々は反逆者を今日もまた捕らえました。」

男だけでなくボクと同じぐらいの歳の子や、女性までいた。

「ふざけるな!何が反逆者だ。俺たちは以前あった国を取り戻したいだけだ!」

「貴様らがやったことは貧民にも関わらず武器を違法に所持していたこと。秘密裏に我々の仲間を数人殺していたことだ。」

「いい加減にしろよ!何で国民の七割があんなジメジメしたところで金もなく死ななきゃならない!」

「貧民には人権はない。搾取されたくなくば自分の力で経済を何とかしろ。」

「いいか!これを見ているお前ら富裕層は国民のなかの3割程度しかいない程度の存在だ。お前ら富裕層のために俺の親はどれだけ働かされ、過労死したことか・・・・・」

「それ以上口答えはするな。家族を殺されたいのか?」

「誰が・・・・・」

「ん?」

「誰がこの国の平和を保ってるか分かってるのか!」

その瞬間銃声が聞こえた。

さっきまで兵士に口答えしていた男は薬莢が落ちる音と共に動かなくなった。

「さあてこの二人は反逆者の子供だ。連帯責任という言葉を知ってるだろう?」

兵士が集まってきた。

「ママ・・・怖いよ・・・・・・」

「さてこの反逆者には名誉にも新型の銃で殺される権利が与えられた!」

そうすると集まった兵士が銃を取り出す。

「見よ!帝国プラスチック製三十八口径機関拳銃の味を!」

兵士たちは銃を構えた。

すると外野から声が聞こえた。

「殺せ!」

「殺してしまえ!」

そうすると周りからも便乗して聞こえる。

「殺せ」

「殺せ」

「殺せ」

「殺せ」

あのカップルや料理店のおばさんまでもが言っていた。

そしてお偉いさんの兵士が手を振ると一斉に銃撃され

子供と女は夫よりも無残な姿で死んでしまった。

「略式処刑終了!各自解散!」

そういうと兵士たちはバラバラに帰っていった。

「悪は滅びたわねえ。」

「これでまた綺麗な空気が吸える。」

などという言葉が聞こえてきた。

これじゃああそことまるで・・・・・・

「すいません。会計は国王へのツケでお願いします。それじゃあ。」

そういってボクは別の場所へ行った。

銃の弾薬が必要だ。早急に。

道にいる人達を訪ね、銃砲店の場所を聞いてボクはそこに向かった。

「いらっしゃい。随分と小さな客だねえ。」

ハゲた店員がそこにいた。

「ここは子供が来るとこじゃあないよ・・・・」

それを聞いたボクは懐に隠していた銃を取り出した。

「・・・・・・ちょっとびっくり・・・・」

店員は唖然としていた。だって子供が銃を持っているのだから。

「これの口径に合う弾薬をください。」

店員はボクの銃を手に取った。

「なんだこれ・・・・見たことないモデルだ・・・・ラフィカ・・?女の名前か?」

店員が銃を眺め始めた。

「すごいカスタム品だ。こんなのどこで?」

「いちよう、ですけど命の恩人から預かったものです。」

「ちょっと撃たせて貰って構わないか?」

「かまいませんよ。」

店員は弾倉を見てこれに合う弾薬を見つけると装填し始めた。

「そこのシューティングレンジで撃つ。危ないから下がっててくれ。」

店員は銃を構えた。

引き金を男が引くと眩いマズルフラッシュと共に銃が三連射した。

「・・・・なんだこれは・・・・すごいぞ・・・・・・・・」

「何がですか?」

「三連射ってのはまだこの国では使える銃がないんだ。というか誰も作らないしその技術もない。」

いつの間にかいいものを手にしてたようだ。

「ちょっと撃ってくれないか?これを子供が扱うには少々きつすぎる。いいものを見せてくれた礼だ。カスタムしてやる。」

それを聞くとボクは銃を持った。

「・・・・君、ぎっちょかい?あ、いや分かりにくかったな左利きか?」

ボクはうなづいた。

「分かった。それに見合うカスタムをしてやるよ。」

銃のスライドを引き、構えた。

「その構え・・・なれてるね。」

「父が猟師で12番ぐらいなら撃ったことありますよ。動物相手ですけど。」

そういうとボクは銃を連射した。

銃はどんどんと弾を吐き出していき、ついにはスライドが止まった。

「ちょっと貸してくれ。色々やる。」

ボクは銃を手渡しするともう一つ注文した。

「消音筒ってありますか?」

「消音筒?なんでそんなものがいるんだ?」

「国を出た時、動物を狩ったりするときにいざこざが起きないようにするためです。」

「・・・・・おっけー分かった。」





見てくれてありがとう。

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