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残酷な世界。  作者: うさぎぱん
2/5

老婆

ボクは町から走って逃げた。

町の人にはばれなかったからよかったけどバレていたらボクは体を売られる羽目になったろう。

もう、かなり遠くまで来た。

お腹も空いた、疲れた。

銃は持っているけれど人を脅す勇気も体力もない。

もう駄・・・・・・・・・・







目が覚めたら何処かわからぬ家にいた。

綺麗な部屋のベットの上で大の字で寝そべっていた。

体を起こし体を伸ばす。すると部屋のドアが開いた。

「おや、起きたのかい。」

高齢の女性が部屋に入ってきた。

「道端で倒れていたからね・・・・気になって連れ帰ってきたんだよ。打撲も酷かったしね・・・」

案外カミサマはいるのかもしれない。

「さ、おいで。新しい服も食べ物もある。」

その時ボクはこのおばあさんが太陽にも見えた。

「ついておいで、服を着替えておいしいもん食って元気になって・・・・」

ボクはおばあさんについていき、まず服を着替えることにした。

「この中だよ。さあ着替えておいで。」





服の部屋は思ってたよりも広く、且つ沢山の服があった。

女物、男物、やけに充実している。

フリルのついた可愛い服や、ドレスなんかもあった。

ボクはとりあえずジーンズとパーカーを着て部屋を出た。

「あらまあ似合ってるじゃないの可愛いわ。」

おばあさんはそういうと手招きして食事場所に連れて行ってくれた。


そこには沢山の料理があった。

焼いてソースをかけた肉や、ケーキ、ポテトとソーセージを一緒に乗せたものなど色々あった。

ボクにはそこが天国に見えた。

「好きなだけ食べていいよ。」

ボクは座るとまず肉をほおばった。

羊のような鳥のような今まで食べたことのない繊細な味がした。

ケーキも甘すぎず、けれど口の中にほんのり残る味がとても美味しかった。

ソーセージもポテトも物凄い美味しかった。

今までは肉しか食べたことがなかったからとても良い経験になった。

癖になってしまいそう。

「おいしいかい?孫が死んじまって、腕を振る舞えなかったが今はお前が孫みたいだよ。」

とても悲しい話をしているのだろうが食べ物前では関係ない。

「しかし、ほんと綺麗な顔だねえ。その髪色も。ところで、お前さん男の子なのかい?それとも女の子なの かい?」

お腹が膨らんだ。昨日保安官に襲われたのが嘘みたいに体が軽かった。

幸せだ。人生の中で一番の幸福だ。

「気に入ったならいつまででもここへ居ていいよ。身寄りもないんだから・・・子供一人ぐらい。」

安心と信頼とはこのことだ。幸せ。

この後おばあさんに甘いジュースを飲ませてもらい、部屋へと戻った。



部屋でから窓を見ていると、元の町と同じような光景が見えた。

「やめてくれ!大事な一人娘なんだ!」

「やめてください・・・・・お願いします・・・・・・・・・」

「大丈夫だぜ。ただ最初をもらうだけだ・・・・・・」

やっぱり神なんていない。

ボクの運がよかっただけなんだ。現実は残酷だ。

神様はボクたちの事を飴と鞭で洗脳しているんだ。

「・・・・・・私の孫もああやって連れてかれたんだ。」

おばあさんが入ってきた。

「蛮族に孫は連れていかれ変態どもに売りつけられた。孫の遺品は髪と右腕だった。ここの憲兵が死体を 見つけた頃には、精器は無残に壊され腕は切断され薬物の臭いがした。それだけ酷くやられたんだ。」

おばあさんの話を聞いて母親を思い出す。

「こんな話子供にはしたくないけどねえ・・・私の娘も夫も臓器目的で解体された。家族はみんな奴らに 殺されたんだ。」

あまりにも凄惨なことを聞いて嫌になった。

保安官たちよりもタチが悪い悪人がこんなにもいるなんて。

「へんな話に付き合ってもらって悪いね・・・・・ゆっくりしていってくれ・・・」

空は気持ち悪いぐらいの青空だった。




目が覚めるともう夜も更けていた。いつの間に寝ていたのだろう。

起きておばあさんの所へいった。するとひそひそとドア越しに話声が聞こえた。

「・・・・綺麗な子供だ。コイツは高い。髪は珍しい色だし、目はキレイな茶色。年齢もかなり若い。  15ぐらいだろう。見た目も物凄く綺麗ときた。女物も男物も似合いそうだ。ウケが良いと思う。   しばらく傷を治してコンデイションも良く仕上げるからね・・・・・その分。金は払っておくれよ。」

その会話を聞いた瞬間、嗚咽と感情があふれてきた。

今までの話は嘘だったのか?ボクをずっと騙したのか・・・・?

あのおいしそうな料理は?

死んだ孫は?

娘は?夫は?

気が付いた時、僕は左手に銃を取っていた。

震えた手で考えた。

これは正義の一撃か?悪人の殺しか?

僕は悪魔なのか?こいつが悪魔なのか?

そんなことを考えながら僕は引き金を引いた。



老婆は動かなくなっていた。

頭蓋骨が露呈し脳漿が吹き飛び原型をとどめないほどぐちゃぐちゃになっていた。

「はぐっ..うぅ・・・・・・・あぁ・・・・・うぇ・・・・・・・」

吐いていた。凄惨な光景じゃない。

人間の醜さと曖昧さにボクのココロは拒絶反応を示していた。

老婆が自分の娘を殺していたかはわからない。












ボクはしばらく考え、気持ちを落ち着かせた。

見てくれてありがとうございます。

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