保安官
ある街に一人の保安官がいました。
彼はそれはそれは良い腕で悪人たちを捕まえました。
彼は三連射が出来る拳銃と自身の腕っぷしの強さで登りつめていきました。
しかしそんな正義感のある人でも、権力と慢心には勝てないのでした。
最終的に彼は一番偉くなると、無理矢理捕まえたり、暴力をふるうようになってしまったのです。
以前の彼は優しかったのですが今は見る影もなくなってしまいました。
歪んだ正義を伝え人々を動かす燃えカスになったのです。
「やっちまえ。」
犯罪者が一人殺された。
「犯罪者」とは言っても生活が苦しく、盗みを働いたものだった。
彼は保安官たちの顔を見ることなく家ごとマシンガンで撃たれハチの巣になった。
かわいそう。
「犯罪の目をつぐめば町の人は喜ぶ。そのためにならどんな悪いことだってしろ。」
彼らはそんな狂った考えのもとにボクの身の回りに住んでいる人を殺した。
狂っているけど町のみんなは賛同しているから良いコトなのかもしれない。
「次は女か・・・・・何をしでかしたんだ?この女は。」
「はっ。体を売って多額の金を手に入れた・・・と。」
「なるほど。それは償わなければならない罪だな。ふふふ・・・・」
この町にはルールを作るリーダーはおらず、結果として功績を残した保安官が選ばれた。
その結果がコレだ。だがみんなは満足している。
「町から犯罪が減る」と、
皆が賛同するなら良いのかも。
「おい、坊やなのかお嬢ちゃんだか知らねえが、こんな顔の女見なかったか?」
ボクは当然「知らない」と答えた。
当たり前だ。
自分のお母さんの事なんて知るわけない。
秩序を乱す悪い奴の事なんて知らない。
「まって!やめて!子供食べさせな・・・・」
「締りが良さそうですぜ!コイツ。ヒヒヒヒ・・・・・」
知らない。
ルールなんだから。彼はこの町の王なんだから。
守らないと・・・・絶対。
その瞬間銃声がした。
「くそっコイツ噛んできやがった。すまねえ撃ち殺しちまった。」
どうでもいい。
関係ないこと・・・・・関係ないこと・・・・・
目から何かこぼれた気がしたけど気のせい。
気のせい。
気のせい。
「死体はどうしましょう?」
「捨てておけ・・・・」
彼らは英雄だ。
だってあがめられるんだから。
「おじちゃんすごいね!また悪人を倒したんだろ!」
「そうだろう。そうだろう。町の悪人は全て倒さなければな!」
「僕もおじちゃんみたいになれるかな?」
「ああなれるともさ。」
嘘はついてない。
不愉快だけど悪い所はなにもない。
彼らは町の人にはああやって振る舞う。見栄えも腕も良い善良な保安官として。
ボクはそんな人達に敬意を払いたい。
どれだけクズでもあそこまであがめられれば神様よりはタチが良い。
そもそもあれが神なのかもしれない。
「おいっ。」
話しかけられた。ボクはうつむく。
「お前、さっき殺したメスのガキなんだってな。ちょっと来てもらおうか。」
神様に呼ばれた。懺悔の時間なのかもしれない。
でもボクは今まで盗みもやったことはない。
「おい犯罪者の子孫とは言えまだ子供だ。荒く扱うなよ。」
「へいへい・・・・・・」
意外といい人なのかもしれない。
「先に行っててくれ。俺はこのガキと「会話」する。」
「ああ、わかった。」
しばらくすると一人の保安官はその場を離れた。
「よおし・・・・・・・連帯責任だ。」
その瞬間ボクのおなかに強い衝撃が走った。
ボクは頭がクラっとして気を失った。
ボクが目覚めるとそこはどこかもわからぬ小屋だった。
よーくみると手と足には縄がキツく縛られており
身動きが取れなかった。
どうにかして取れないかと模索しているとあの時の保安官が現れた。
「へへへ・・・・こいつは良い顔だ・・・別の国の変態に売りつければ高値が付くぜ・・・」
ボクはどうやらそこまで価値があるらしい。犯罪者の子供なのに。
「良いか?お前は犯罪者の子供だ。もはや町での価値はない。だがなそれはここだけの話だ。」
内心ホッとした。この町で生きるぐらいなら他の国で奴隷にでもなったほうがマシだ。
価値をつけてくれるなんて流石神様だ。
「俺はな今無性にイライラしてんだ。お前の母親のなっ!」
思いっきり顔を殴られた。
痛かった。
「俺の!腕に!噛みつきやがって!」
理不尽な痛みが僕を襲う。
腹や局部まで殴られたボクは口から血を吐き頭がぼうっとした。
「おっといけないいけない・・・・収入源を壊しちゃいけねえ・・・・」
ボクは痛みにこらえきれず涙を流した。
だけどボクが涙を流す度に蹴られた。
とっても痛かったけど価値を下げたくないから必死にこらえた。
「神様からの洗礼だと思え。」
ボクはこの理不尽な状況において自我を保つのに必死だった。
絶対無理だと思った。だけどチャンスがあった。
「おい呼んでるぜ早く来いよ!」
「ああ、わかった。」
そういって保安官は出て行った。
そんな中ボクはあるものを見つけた。
保安官の拳銃だ。
彼は間抜けな事にホルスターにしまったまま出て行ったのだ。
ひ弱なボクでも銃さえあれば何とかなる。
ボクは椅子から滑り落ちて地面をはいまわりその銃が置いてある机まで行った。
彼らが帰ってくる前に拳銃を使って縄を撃って抜けださなくちゃいけない。
頭を使って机を倒し銃を落とす。
もの凄い物音がしたが今は早くしなければならない。
ホルスターを指先をうまく使って動かし、小型の拳銃を抜く。
その拳銃を縄の所に向けて撃った。
頭をかすめたが気にしてはいられない。
縄は銃弾のおかげでちぎれた。
そして足の縄をその場にあるもので無理矢理切った。
抜けられたが走る音が聞こえる。
もう近くにいる。
「銃声がした!」
「まさか。。あのガキい!」
神様は残酷だ。
でも一つボクの願い事を聞いて欲しい。
「僕に人殺しをさせてください。」
銃を構え、入ってきた偽善者銃撃し、殺した。
しかし弾が切れた。
そして全力で走った。
すると昼間見た保安官がいた。
「お前は・・・・・何で子供がこんなことに・・・・」
僕は銃を構えた。
しかし、男に敵意はなかった。
「どうしてこんな・・・・こんな小さな子供に・・・・」
悲しんでいた。
「よ、よし、お前を逃がしてやる。だから銃は構えるな。子供は撃ちたくない。」
今は緊急事態だ。
猫の手も借りたかった状況でこれは好都合だ。
「逃げろっ!さあ早く!」
男の手招きのもと全力で走った。
全力で逃げている僕を他の保安官も探していた。
「ああくそっ・・・・・・・開かない・・・」
男は手元を震わせながらカギを入れようとした。
だがもうそこまで保安官が迫っていた。
「見つけたぞ!」
銃を撃とうとする。その時。
「危ないっ!」
銃撃を受けた僕の盾となり男は倒れた。
銃撃を辞めた保安官が言った。
「あんたは・・・何でそんなガキの盾に・・・・・」
虫の息の男が言う。
「へへへ・・・・知らねえよお・・・・言っただろ、子供には手え出すなって・・・・」
案外、良い人・・・・なのかも・・・・・・
「保安隊が腐ったのもダメな保安官増えたからだ・・権力に溺れるなんてよお・・・名が廃る・・」
「犯罪者の子供だぞ!」
「たとえ犯罪者でも子供はダメだ・・・・」
そうすると男はこっちを向いた。
「もう俺はダメだ。だけど・・自分の身は自分で守ってくれ・・・俺の銃をやる・・・・かつてのあの日の 物だ・・・・・・身を守るのに使ってくれ・・・・」
男の銃を抜いた。三連射できる特別製の拳銃だ。
僕は何を思ったのか銃に弾を込めた。
そしてふらふらと立ちあがりうろたえている保安官たちの頭を撃って全員殺し
そしてカギを回し全力で逃げた。
見てくれてありがとうございます。
これからも見てくれると嬉しいです。